憲法草案〜第6章 司法〜司法権

現行憲法の司法権

第七十六条
すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
第七十六条2
特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
第七十六条3
すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

三権分立の一つ「司法権」です。
2項では、軍事裁判所などの特別裁判所を設置出来ないとしています。
但し、第六十四条弾劾裁判所は、特例として認めています。
3項は、裁判官の独立を求めています。
しかしながら、現安倍政権の長期化により、最高裁判所判事は全員安倍首相の指名した人に入れ替わっています。
最高裁判所が下級裁判所の人事を行う以上、果たして本当に独立が保たれていると言えるのでしょうか。
また、衆議院選挙の時に行われる、国民審査において不信任となったことは一度もありません。

自民党(2012年)草案の司法権

第七十六条(裁判所と司法権)
全て司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
第七十六条2
特別裁判所は、設置することができない。行政機関は、最終的な上訴審として裁判を行うことができない。
第七十六条3
全て裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。

特に変わりません。

独自草案の司法権

第八十六条
すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより、三審制を原則とし、設置する下級裁判所に属する。
第八十六条2
憲法裁判所以外の特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行うことができない。
第八十六条3
裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束され、前例には拘束されない。
また、個人の自由及び人権は擁護しなければならない。

但し、条約および国連憲章、判例を考慮しなければならない。

1項には、「三審制を原則」と明記しました。
現行で高等裁判所から始まる裁判もあり、これを否定するものではありません。
2項には、後述の「憲法裁判所以外の」としました。
これは、次章に記載します。
3項には、「前例には拘束されない」としました。
前例主義の否定です。
「個人の自由及び人権は擁護しなければならない。」と義務にしました。
あまりにも個人をないがしろにした判決が続くからです。
「条約および国連憲章、判例」を考慮することとしました。
その事案により、考えて判決を出して欲しいという意図です。
また、いわゆる国際法上認められている「集団的自衛権」は、第九条4項で否定しているので認められません。あくまで憲法や法律に拘束されるのです。

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