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ショートショート

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5秒で結末を迎える140字小説〜中編小説まで「ふふっ」「おおっ」「なるほど」「そう来たか」と思える作品をまとめています!
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2023年3月の記事一覧

『1時がバンジー』#ショートショート

「1時がバンジーなら2時は?」 突拍子もない質問。 1時にバンジージャンプをしたら、2時は何をしようってか?旅行か? 真夜中のバンジー?昼食後でもキツイぞ? となると、1時が夜でも昼でも2時は寝込んでいそうだ。 ことわざ大丈夫か? 「じゃあ壁に耳あり障子にメアリーのメアリーってさ?」 一事が万事。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】一事が万事:一つのことで全てが推測されること。 一つの悪い例を挙げて、そこから他の悪いことを推測できる。

『蛙化現象対策本部』#ショートショート

好きな人に「好き」と言われると急に嫌いになる。 気になる人の些細な行動で急に冷める。 通称、蛙化現象。 「無理かも」と思われたら挽回は難しい。 このままでは息苦しい世の中に。 "蛙化現象対策本部"が設立された。 相手に期待しすぎない。自分も欠点があると思え。 考え方をケロッと変えるのも難しい。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】蛙化現象が起きるのではなく、元々好きではなかったのでは?自分にない面を受け入れ、欠点も認められる段階でやっと真の

『生まれ変わったら』#ショートショート

「生まれ変わったら味の素になりたい」 生まれ変わりは一応信じることにしているが、調味料になりたい人がいるのは想定外。 「味の素?」 これまた"一応"ツッコミを入れてみる。 「そう。味の素」 「なんで?」 「女性の美しさには期限があるけど、味の素には賞味期限がないから」 なら砂糖でも塩でもいいな。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】限りがあるから、美しいとも。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 #ショートショート #140字小説

『酔う酒』#ショートショート

「ご注文は?」 「メーカーズマークをロックで」 答えは1択。こだわりの赤い封ロウのされたボトルが特徴。 封をする作業が全て人の手ゆえ、同じボトルは1本もない。 変わらないのはバニラのような甘みとまろやかな味わい。 「これ、好き」 彼女の声が懐かしい。 「カラン」 溶けゆく氷の音だけが、静かに響く。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】洋酒、酔う酒(ようしゅ)。過去に、酔う。 ちなみに、▼この子▼が話題の洋酒。 「「「「「「「「「「「「

『夢に見るなんて』#ショートショート

夢を見た。 君と一緒に過ごす夢を。 「またね」 あれから何年経っただろう。 今でも夢に見るなんて。 よほど未練が残っているのだろうか。 「さよなら」と素直に言えたら思い出すことはなかっただろうか。 ぽっかり空いた穴を埋めるのは簡単ではない。 忘れようと。変わろうと。 自分に言い聞かせる禁煙の日々。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】一度も吸ったことがないけれど、禁煙を始めたことを美化しようとする人の物語。 「「「「「「「「「「「「「

『感情』#ショートショート

「結婚しました」 おめでたいこと。 おめでたいことなのに素直に喜べない自分と出会うことがある。 感情を整理して出てきた言葉は羨望と劣等。あと葛藤。 羨ましい、悔しい、悩ましい。 祝福の鐘を盛大に鳴らせる余裕があったなら"良い人"になれただろう。 世界初、人間の心を持ったAIロボットの私、戸惑う。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】複雑な感情と向き合い続ける人類、偉大。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 #ショートショート #14

『春といえば』#ショートショート

「春と言えば」 「サロンパス」 見事?にブランディング戦略にハマった回答。 桜の開花の季節に"春"を"貼る"と認識するとは。 伝え方が悪かったか。 お酒を片手に花見をするのも心地よいが、貼って寝るのも気持ちいい。 二宮くんが浮かぶ。 「久光製薬に転職したから」 デキる彼に、目を見張る。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】貼って、寝て、気持ちいい、春。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 #ショートショート #140字小説 #小

『最善の選択』#ショートショート

選択の日々。 今起きるか、まだ寝ているか。 食事を摂るか、抜くか。 人に頼るか、頼らないか。 提案するか、しないか。 お酒を飲むか、飲まないか。 やるか、やらないか。 常に100%最善の選択をしているはず。 「人生の充実度は何%?」 聞かれて戸惑う。 100%を積み重ねたはずなのに、100%と言えない。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】充実度、何%?その選択は最善か。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 #ショートショー

『爆発注意』#ショートショート

「注意。爆発します」 触れると爆発するタイプなら触れなければ安全。 ……だったらまだ良かった。触れなくても爆発するタイプ。 時限式でもない。いつでも爆発する。 「回避する方法は見ないこと」 なんだよそれ。神の仕業か。 時すでに遅し。見てしまった。 ニコリと笑顔を振りまく少女。 かわいさ、爆発。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】このタイプの爆発物は注意書きがなく、気づいたら爆発し、関わる人々の心の壁を粉砕して、笑顔にしてしまう。 「「

『課長、それ』#ショートショート

「水着の女の子しかいない」 「何がですか?」 「TikTok使ってる人」 課長、それは。 言えない。口が裂けても言えない。 「水着でダンス踊ってるのとかありますよね!」 「そうそう!そういうのばっかり。Instagramもそうなのかな?検索しようとすると水着の子ばっかで!」 課長、それ、検索レコメンド機能。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】一度でも調べたら、レコメンド機能と鬼ごっこ開始。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 #

『きみひとひら』#ショートショート

「好き。嫌い。好き。嫌い……」 タンポポの花びらを1枚ずつ摘んでいく。 最後の1枚が相手の気持ちを示しているとか。 コスモスの花びらなら8枚。 「好き」から始めると最後は「嫌い」になってしまう。 タンポポは決まっていない。 あ。 最後の1枚。 「嫌い」 俯く私。 「花びら落ちたよ」 突然現れた彼。 好き。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】もういない彼かもしれない。今想いを寄せる彼かもしれない。物語はそれぞれの解釈で広がる。きみ

『前の前方』#ショートショート

「おい!ふざけんなよ!」 「いや、あの、ですから」 なんだ。若者と駅員が駅改札でモメている。 「こっちは急いでんだ!」 「十分理解しております。しかしお伝えした通りでして」 何かに急ぐ若者と受け止め対応する駅員。 「腹痛が痛くて南口のトイレはどこだよ!」 「南です。右に右折です」 前の前方にて。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】腹痛が痛い。南の南口。右に右折。前の前方。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 #ショートショート

『簡単なこと』#ショートショート

朝起きて布団から出る。 ときどき難しいと思うこともあるけれど、よほどのことがなければ無意識に出来る簡単なこと。 ご飯を食べるときに箸を使う。 もはや考えるまでもない。手が勝手に動く。 人に良いことをしてもらったときに「ありがとう」と言う。 私はすぐ言える。 簡単なこと。 何故なら、習慣だから。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】良い習慣を今日からずっと。今日からもっと。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 #ショートショート #

『春と恋』#ショートショート

お相撲さんの恋はどす恋。 マヌケ者の恋はすっとこどっ恋。 誰がうまいことを言えと。 出会いと別れの春がやって来て、過去の恋愛をふと思い出す傍ら、しようもない恋の形が浮かんだ。 想いを寄せた人に「好きです」と言う前に機会を逃し続ける人生。 春風のように一瞬で通り過ぎる恋は、すばしっ恋。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】春風に乗せて、行って恋。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 #ショートショート #140字小説 #小説 ▽▼no