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ショートショート

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5秒で結末を迎える140字小説〜中編小説まで「ふふっ」「おおっ」「なるほど」「そう来たか」と思える作品をまとめています!
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2020年10月の記事一覧

『大人っぽさ』ショートショート13

「この間、年齢確認されたんだよね」 「え?そんな歳じゃないのに。若くみられるんだね」 「いい歳して学生と思われるのは辛いよ。見た目も大人っぽくなりたいもんだ」 「でも、大人っぽさの基準ってなんだろう。ありのままでいいんじゃない?」 「大人っぽさの基準……。言われてみれば、何だろう」 ■あとがき大人っぽい子どもがいれば、子どもっぽい大人がいる、と言われることもありますが、「大人っぽさ」って何でしょう。 何を基準、どこを境目にして大人と子どもを分けているのでしょう。

『背中』ショートショート12

「よいしょ、よいしょ」 「届くか?」 佑都はお父さんの背中の頂上を目指す。 「届けー!」 力一杯背伸びをした。 「届いた!」 「おぉ!ごしごしして、流してくれ!」 「うん!」 時は経ち、寝たきりになった親父の背中をタオルで拭いた。 大きく見えた背中が小さく丸くなり、目頭が熱くなった。 ■あとがき 久しぶりにTwitterサイズでお届けしました。 普段、文章を長く書きがちなので、140文字以内に収めるというのは結構頭を使います。何度も「Ctrl+Z」を使い、何度も

『カルボナーラ』ショートショート11

「お昼、何食べる?」 「うーん、そうだなぁ。久しぶりに紗季の作ったカルボナーラが食べたいな!」 「カルボナーラ!?いいよ!」 紗季との出会いは1年前。 大親友の結城、結城の彼女の香織、そして香織の友人、紗季と4人で結城の家で遊んだことがきっかけだった。 トランプで負けて不機嫌になっていた俺に 「しょうがないなぁ、元気になれるようにパスタ作るよ!」 と言って作ってくれたカルボナーラ。 「美味しい!?」 と少し不安そうにしながらも、ニコッと笑いかけてくれたあ

『もしも』ショートショート10

「もしも、生まれ変わるなら何になりたい?」 「次もまた俺として生まれたいかな」 「なんで?」 私はすかさず彼に尋ねた。 「今とは違う世界を俺として見てみたいから。あと、今を精一杯生きようと思えそう!」 「生まれ変わりたいと思えるように今を生きる……ね」 もしもの未来へ、今を。