『中村天風と神心統一法』の趣旨(その3)

拙著『神心統一法』(プレジデント社)が2月15日に出版されます。改めてその趣旨について説明致します。
少子高齢化で我が国の衰退が懸念される。これを克服するための「予算ゼロの方策」を考えた。一人の人間の潜在能力を2倍引き出せば、例え人口が半減しても、人口オーナスなどにより国力は衰退せずに、現状を維持出来ることになる。

それには先例がある。中村天風師は「心身統一法」を創始し、これを多くの人々に普及した。中村天風師は「人生は心一つの置き所」と述べ、「心」こそが人の運命・健康・成功・幸運・長寿などを支配・左右すると訓えている。

敗戦後の混乱期、中村天風師は、「心身統一法」を広めることにより、人々の心と体を積極的にし、人間が本来持っている「潜在勢力」を引き出し、幸福で充実した人生を作り上げることで国の復興に貢献した。天風師門下の代表的な人物として、松下幸之助氏(松下電器産業創業者)、越後正一氏(伊藤忠元社長)、稲盛和夫氏(京セラ名誉会長)などが上げられる。

私もこれに学び、天風師の『心身統一法』と、人それぞれの宗教・信仰を統合・融合するための、オリジナルの理論と実践論――『神心統一法』――創出した。私も、『神心統一法』を普及・実践することにより、人々の信仰心を深め心の態度を積極的にすることにより、心身の状態を健全に保ち、その潜在力をフルに発揮させ、健康で幸福な人生を堂々と歩むことができるようにお手伝いすることを目指している。

『神心統一法』とは、いわば、人間の総合力を倍増させるメソッドなのである。『神心統一法』の特徴を端的に申せば、それは「核融合の原理」に似ている。水素の仲間(同位体)である重水素(D)と三重水素(T)の原子核が融合するDT核融合反応では、ヘリウムと中性子ができる。その際には、有名なアインシュタインのエネルギー E が質量 m と等価であるという原理(E=mc2)により、わずかな質量が非常に大きなエネルギーに変わる。(cは光速で約30万 km/s、従ってEは膨大なエネルギー、水爆の威力の所以)
私が創出した「神心統一法」も核融合に似た仕組みで、中村天風師が創出した「心身統一法」と国民それぞれの「宗教」を〝融合〟することにより、それぞれが持っている「無限の潜在力と人間力」を引き出すほか、信仰心すなわち「心」が強くなるとともに、「神仏の力(ご加護)」が得られるというものである。

天風師は、「宗教=神仏」に相当する部分を「宇宙霊」と位置付けられていた。「宇宙霊」では、皆様の心に響きにくいのではないだろうか。この「宇宙霊」を皆様それぞれの「宗教(キリスト教、仏教、神道など)に置き換えれば、遥かに具体的な「神仏」のイメージが得られ、前述のように、「個人の宗教」と「心身統一法」が〝融合〟して、皆様の潜在力・人間力を存分により一層強力に引き出すことができる。

戦後、中村天風師の「心身統一法」で、松下幸之助氏や稲盛和夫氏を始め多くの人々が奮起して戦後復興に貢献されたように、「神心統一法」が現下に迫る危機――中国の脅威と少子高齢化による国力の衰退――を克服する一助になればと願う次第である。中国の脅威を克服するのは国防力のみならず、「国民の不撓不屈の強い心」であると筆者は確信する。

 戦後、日本では、左翼の台頭により、唯物史観が世を覆い、宗教や精神世界を否定する傾向が強く、日本人の信仰心は停滞しているように見える。人間は、マルクスの「宗教はアヘン」であるとする〝無味乾燥な世界〟の中で生きるのは困難なのではなかろうか。神が自らのかたちに似せた創造物である人間は、神の存在を無視しては生きられないのではなかろうか。人間は「心」を通じて、創造主なる神と親しく交わることができる――と私は確信している。

戦後と同様に、今日においても、日本再生の秘訣は中村天風師が言われる日本人の「心」を回復することだと信じる。「心」を回復することは同時に宗教と信仰心を回復することだと筆者は考える。

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