Last of us Part.2 があまりにモヤるので整理してみた

ついに新作が発売された、ラスアス2ことLast of us Part.2 !
第一作が大好きで発売日に入手し、3日間でクリアしたものの、あまりのモヤモヤっぷりに思わずnoteアカウントを作りました。

自分のモヤモヤとした気持ち・感想を整理するために書いたので長文・乱文になりますが、読んでいただければ嬉しいです。

【筆者の前提情報】

・第一作はプレイ済み。複数回クリアするぐらい好き。
・第一作の好きなところはストーリー。ジョエルとエリーの二人の関係性が善悪を越えたところに着地し、絶妙にほろ苦い結末となっているのを一番評価している。
・Part.2 はトレーラーをみて、エリーとジョエルの再結成を楽しみにプレイ。
・3日間で1回クリアした段階。きちんと網羅・消化できていないところ多いかもです。

【筆者の本作評価】 3/10点

・アクション、グラフィックは最高。
 →特に言うこと無し。
・ストーリーに大きな難あり
 →以下、ストーリーに絞って要点を整理してみたいと思います。

【参考にした情報】

IGNJ:The Last of Us Part II - レビュー
https://jp.ign.com/the-last-of-us-2/44388/review/the-last-of-us-part-ii

Youtube:なぜNaughty Dogは悪魔になったのか?
https://youtu.be/q6doFPU993M

=====ここからネタバレを含みます=====

【ストーリー総評】

・全体として語ろうとしているストーリー自体は面白いと思う
・ただし余りに強烈なストーリーの動機付けに対して、そのあとのストーリーで飲み込みづらいポイントが多い。その結果、モヤったり、拒否反応を示したユーザーも多いのではないか
 →筆者としてはアビーというキャラクターとの心理的な接点が作れず、受け入れられないでいます。(落ち着いて2週目をクリアしたら変わるのかもしれないが。)

【ストーリー 良かった点】

■エリーの復讐の動機付け

・あの残忍なジョエル殺害シーンにより、前作のファンは間違いなく感情を揺さぶられる(もちろん、あんな風に死んで欲しくは無かったが…)
・旅立ちの前にジョエルの墓から家を探索するパートはゲームならではの体験(あまりの没入感で心が折れかけた…ノーティドッグ鬼かよ…)

■エリーとジョエルのPart 1の後日談

・前作ファンが望んでいたエリーとジョエルの和解~拒絶~氷解が、ボリュームは少ないが、非常に丁寧に描かれてる
例:オープニングのジョエルの弾き語り(二人のムズキュン…最高かよ…)
例:エリーの誕生日イベント(二人のイチャイチャ…最高かよ…あとエリーの変顔やばし…)

・ジョエルのエリー救出に対する覚悟(あの台詞は本当にグッとくる…)と、それに対するエリーの葛藤が、エリーの復讐の結末にもきれいに繋がっている(※後述のストーリーテリングの問題点はあるが、大きな構造としては評価したい)

■アビーの正義感と、組織からの孤立

・目の前の命を救いたいというアビーの純粋な正義が、やがて組織や仲間との溝をつくり、最終的にWLF・セラファイトどちらからも追われることになる、という物語をプレーヤーがアビーを通じて体験するのは面白い
(※後述のアビーがセラファイトの島で、セラファイト・WLFを殺害できる問題はあるが)

・余談だか、島が文字通り炎上していくのは、対立の凄惨さ、また無意味さを理解するのに非常にわかりすく、演出としても盛り上がる。

■エリーとアビーの直接対決をプレーヤーに操作させる演出

・エリーとアビーの両面で物語を描いた上で、プレーヤーに□ボタン連打させてトドメを挿させようとするのは、「こんなことしたくないのに…!!」と言う感情をプレーヤーに体験させるのは非常に良くできた演出。
そして、おそらくこれが今回のラストオブアスPart2 という作品の評価が大きく分ける決定打となってると思う。
・というのも、後述のとおり、各キャラクターの違和感を感じやすいポイントが多く、中盤でエリーにしか共感できてない場合、また終盤でエリーにさえも共感できなくなった場合、「どうでもいいから早く終わらんかな、これ…」となり、クソゲー認定衝動が高まる。
・一方でアビー編を通じて両キャラクターに対して中立な理解を示せた場合は「なんやこれ、ホントにゲームかよ…!!」となり神ゲー認定衝動が高まると思う。(そしておそらく制作サイドはこっちを意図していたはず。)

【ストーリー 悪かった点】

■ストーリーテリングの順序の問題

・行動の後に、過去経緯・エピソードを提示することで、プレーヤーが置いてきぼりになる(IGNJの指摘の通り)
例:パーティーのエピソード~ジョエル・エリーの対峙
 (これらは最初に時系列で描いてたほうがずつと効果的だと思う)
 (特にエリーの最後のリベンジではジョエルのシーンが一瞬差し込まれ、後で全体が明らかになるので、感情の高まりが起きづらくなっており、非常に勿体ない!)
例:アビーの父親との過去、アビーの水族館デート(どちらのエピソードとしても月並みで、ここをプレーさせるのは長めのアビー編のテンポをさらに悪くさせている)

・アビー編への切り替えがエリーの復讐の中盤ピーク点の直後、かつ、いきなりすぎるため、プレーヤーが置いてきぼりになる
(しかも、映画館でジェシーがあっさり殺された直後にアビー編が開始することもあり、プレーヤーとしては拒絶状態になりやすい)

■主人公キャラクターたちの行動に対する違和感

・エリーは自身が誰かを殺すときには無慈悲である一方、追いつめられたときにあまりに弱気になるため、復讐への決意の堅さ、また人を殺すことへの覚悟があまりに無いようにプレーヤーに感じられる(結果、一番距離が近いはずのエリーとプレーヤーとの間にも距離ができる)
例:トミーを人質に取られたとき、ディーナを襲われたとき

・アビーのジョエルへの復讐の動機が、前作のプレーヤーならだいたい察しがつく。なおかつ、プレーヤーはその正しくなさを知っている上でジョエルを受け止めているため、アビーの動機を知ったところで、それなら仕方ない、とはならない。
(前作の最後はジョエル自身も正しくないと分かっていて、だからこそエリーに嘘をついている)

・アビーとエリー、ともに復讐を諦める場面を迎えるが、どちらも直前に理由が唐突に示される形となり、掘り下げ不足に感じられる。そのため、プレーヤーにとって納得感が薄く、困惑させる。
(前述のストーリーテリングの問題に加えて、量・描き込み不足の問題が存在)

・アビーがレヴとヤーラを助ける動機について、アビーの夢の中で罪の意識が描かれるが、個人的には納得感が薄い(アビーが仲間意識が強い、責任感が強い、という感触がそれまでに持てなかった…きちんと汲み取れてないかも?)

・アビーがセラファイトの島にレヴを助けに行く動機が、一日行動を共にした、というだけでは個人的には納得感が薄い(基本的に戦闘はアビー主体で、レヴはバディというより道案内+αくらいの温度感)
 しかもヤーラが死ぬ可能性を強く感じたし、案の定死んでしまうため、このミッションは何だったんや感が強い(腕切った後に屋外行動は無理あるやろ…)

・アビーがヤーラとセラファイトの島でセラファイト・WLFを殺害できるのは、もともとの動機である正義感と矛盾することになり、アビーとヤーラの一貫性をブレさせてしまう
(もちろん殺すか殺さないかはプレーヤーに委ねられており、それが制作サイドの狙いとは思うが、ラスアスは基本的にプレーヤーに選択肢のない一本道のストーリーとなっているので、ここだけ選択を委ねるのは判断ミスと思う。それなら、ノーキル縛りを設ける方が、プレーヤーの体験が明確になると思う。)

■アビーの「赦し」の描き方

・エリーと対照的に序盤、中盤で赦す場面が描かれるアビー。
 これはエリーが復讐にとらわれ、他のことが見えなくなっていることを際だたせる為の対比表現と思うし、一定の効果は達成している。
 一方で、このことはアビーのキャラクターとしての優しさというよりも、アビーが一度復讐を達成したうえで、それでもトラウマからは逃れられていない、という経験の側面が強いように感じられる。(具体的な描写としても、ジョエル殺害後にアビーのトラウマである手術室の光景が夢で蘇っている)
 その点、エリーはまだ復讐を一度も達成していないため、中盤でエリーとアビーを並べて復讐の無意味さ、赦すことの大切さを描くことにアンバランスが生じている。(しかも、プレーヤーの操作はアビー側になるため、そのアンバランスが際だってしまう。)
 極端に言えば、エリーにアビーを倒させて、その上で、エリーとアビーにこれだけの違いがありました、という描き方のほうがわかりやすく、飲み込みやすいのではないかと思う。(前作ファンとしては、エリーをあまり悪者にはして欲しくないが…。)

■トレーラーのミスリード

・ジョエルとエリーの再結成を楽しみにさせて、しかもあの仕打ち。弁明の余地無し。

■ゴア描写の制限

・これはノーティドッグというより、日本の販売ルールの問題と思うが、日本版ではゴア描写が削除されている。(プレーヤーに選択の余地無し)
制作陣が暴力の凄惨さを描くためにゴア描写を入れているだろうに、その意図を台無しにしているとしかいえない。

■アビーとオーウェンの情事 ※ごく個人的な好き嫌い要素

・あの流れで唐突に行為に及ぶのは、安っぽいラブロマンスみたいで嫌い。(まぁ、それまでにお互いに未練がある描写はあったが、ラスアスでこういうのをやって欲しくなかった。)
しかも、メルに罵倒されて、アビーが泣くのは「泣くくらいなら、そんなことすんなや~」とツッコまずにはいられない。
(あれで、揺れ動くが人間だもの、とか表現したかったのだとしたら、もっと他のシーンをしっかりいて欲しい)

以上、筆者なりの情報整理でした。


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