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はがせる壁紙をはがしたら、5年前にタイムスリップした

先日、新卒から5年間住んだ家から引っ越した。

正直、住んでいた街への愛着は特になかった。不便ではなかったが、いまいち自分にフィットしていないような気がして、「大好き!!!」とは思えていなかった。部屋はそれなりに気に入ってはいたけれど、名残惜しいという程ではなかった。

わたしの中で引越しは、次の家に移動するためのただの作業で、それはもう一重に、とてつもなくめんどくさいものだった。

こんな感じだったので、引越し前日まで私が抱いていた感情といえば、「荷物多いめんどくさい!!!」と「大好きな美容室、ちょっと遠くなるな。めんどくさい!!」ぐらいで、感慨深くなどなるわけがなかった。むしろ感慨深くなどなってやるものかと謎の苛立ちを覚えていた。(本当に謎)
いち早く引越しという作業を終えたいという一心で段ボールに荷物をつめまくり、最後の方はもう力尽きていたので、これは何の箱ですか???という段ボールがたくさん出来上がった。

そんなわたしにとって、めちゃめちゃ腰の重い作業が1つ残ってた。
5年前に貼った、はがせる壁紙をはがすという作業。

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※この左側の緑のやつです。窓枠とかに貼ってるのも全部木目シールです。なかなか頑張ったな5年前のわたし

たしか、「賃貸でも大丈夫!」という触れ込みのはがせる壁紙だった。はず。

「うまくはがせなかったらどうしよう。はがす拍子に元の壁紙が剥げたらお金めっちゃかかるのでは」という不安がつのって、なんかとりあえず後回しにしていた。(嫌いなものは最後に食べるタイプ)


引越し前日にしてあらかた荷物が片付いたので、ついに壁紙を剥がすことに。

ぺり、ぺりぺりぺり。


これが驚くことに、めっちゃ簡単にはがせた。

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壁紙のメーカーさん、疑ってすみませんでした。素晴らしい商品を作ってくださってありがとうございます。(貼るのすっごくたのしかったですほんと)

そして、はがした瞬間、わたしは2016年の3月にタイムスリップした。ブワァッと。

白い壁の部屋にぼうっと座っているわたし。部屋には実家から送ってもらった段ボール2箱ぐらいとマットレスしかない。まともなカーテンすらなかった。あ、そうだ。気に入ったカーテンを見つけられなかった5年前のわたしは、シャワーカーテンをいったん窓につけていたんだった。ズボラだな。

学生時代まで実家暮らしだったわたしは、これから始まる一人での生活に、不安と期待を抱えていた。静まりかえった部屋で、自分の気持ちと向き合って「不安と期待抱えてるな〜わたし」と思っていたのを覚えている。一人はなんだかとってもさみしかった。けれど確かに自由を感じた。


5年前の気持ちが一瞬にしてもどってきたので、時間旅行をした気分になった。実際は5秒ぐらい立ち尽くして「あぁ…」と言っていただけなんだけど、心はとてもセンチメンタルな状態になっていた。

感慨深くなんてなるものかと思っていた自分が、ばかみたいに思えるぐらい、とても穏やかな、センチメンタルジャーニーだった。(「あ、ちょっとうまいこと言えたかも」と思った。5年経っても人ってあんまり変わらない。)

・・・

引越し当日はものすごく晴れた日だった。
たくさん写真を撮って、お礼を言って、家を出た。

結局、ちょっと切なくなってしまったなぁ。


そこそこ好きだったよ。また気持ちを新たに、不安と期待を抱えて、頑張るわ。さようなら。ありがとう。

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