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拘りや小話

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ブランドや時計の歴史や技術、当店の拘りについて書いた記事をまとめております。
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#歴史

徹底解析『Cal.Hシリーズ』【後編】

今回は時計の中身『ムーブメント』に関するお話。 ちょっとコアな話になるかもしれませんが、現ハミルトンオーナーの方にもこれからハミルトンオーナーになる方にも、ぜひ知っておいていただきたいことが沢山ありますので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです(^^♪ 多少長編になりますので【前編】【後編】に分けてご紹介していきます。 是非前編と合わせてご覧ください ↓ 前編ではHシリーズの3針を中心にご紹介しましたが、本日はクロノグラフやレギュレーターのムーブメント紹介です。

時の記念日をご存じですか?

皆さんは『時の記念日』って知っていますか? もちろんご存じの方も多いと思いますが、年々この日の印象が薄れていってしまっている事実もございます。 6月10日。ちょうど本日がその日になりますので、今回は『時の記念日』についてお話ししたいと思います。 ■時の記念日 毎年6月10日に『時間の大切さ』を再認識してもらうため、1920年(大正9年)に生活改善同盟会により制定されました。 当時の日本は第1次世界大戦後の混沌の中にあり「生活は乱れ、時間に対する認識が乏しい」と、

「自由なき人生なんて惨めなものだ」

「Without liberty, life is a misery(自由なき人生なんて惨めなものだ)」 18世紀の法律家(弁護士)『アンドリュー・ハミルトン』の言葉です。 今回はこの人物についてお話ししたいと思います。 もちろん時計ブランド『ハミルトン』とも深い関係がございます。 ■アンドリュー・ハミルトン ハミルトンという名前から察する事が出来ますが、時計ブランド『ハミルトン』の名前の由来になった人物であると言われています。 1676年ごろにスコットランドで生

ベンチュラのデザインと歴史

ハミルトンのアイコン的アイテム『ベンチュラ』。 非常に珍しいフォルムで60年以上の歴史を持つ奇妙な腕時計。 その後の腕時計の進化に決定的な影響をもたらすと同時に、つくり手であるハミルトンの声価を歴史に記した金字塔です。 今回はその魅力に迫りたいと思います。 ■ベンチュラファーストモデル ベンチュラが誕生したのは1957年。 実は、世界で初めて一般販売された「電池で駆動する腕時計」だったのです。 加えて左右非対称であるデザイン性、金無垢(ゴールド)をケースの材質

ハミルトンの歴史【前編】アメリカと共に

今回は九州最大規模の商品ラインナップを誇り、福岡天賞堂のメインブランドである“HAMILTON(ハミルトン) ”というブランドを詳しくご紹介させて頂きたいと思います。 多少長編になりますので【前編】【後編】に分けてご紹介していきます。 創業は1892年。現在でこそ、スイスメイドウォッチとしてブランドが知れ渡っていますが、アメリカで誕生した時計ブランドとなり、当時は、蒸気機関車の鉄道時計を製作していたウォッチブランドです。 1900年代初頭に、アメリカの鉄道は路線を含

ハミルトンの歴史【後編】キングオブロックとレトロフューチャー

今回は九州最大規模の商品ラインナップを誇り、福岡天賞堂のメインブランドである“HAMILTON(ハミルトン) ”というブランドを詳しくご紹介させて頂きたいと思います。 多少長編になりますので【前編】【後編】に分けてご紹介していきます。 1957年には、ハミルトンの歴史を知る上で、避けることの出来ないモデルが誕生。 前記の「ブルーハワイ」、「メン・イン・ブラック」シリーズといった映画に登場し、ハミルトンのアイコンウォッチともされている『ベンチュラ』です。 世界初の電

時計の針はなぜ右回りなのか?

■時計の針はどちらの方向へ回るのでしょうか? 当たり前すぎてそんな事考えた事もありませんでした。 もちろん右に回ります。 ヨーロッパで作られた時計も、日本で作られた時計も全てが右に回るので(一部逆回転の時計も存在します)、海外で購入した時計をそのまま日本で使う事が出来ます。 ■統一されない様々な世界のルール そもそも世界には様式や方式が統一されてない事は少なくありません。いや、統一されている事がほとんど無い、と言った方が正解かもしれません。 言葉は何千にも分かれ

世界最大のムーブメントメーカー“ETA/エタ”を紐解く【前編】

今回はスイス最大のエボーシュ“ETA”の歴史についてご紹介しましょう。 皆様が抱く“ETA/エタ”に対するイメージがいい意味でひっくり返るかと思います。 多少長編になりますので【前編】【後編】に分けてご紹介していきます。 ■初めに ご存じの方も多いかもしれませんが、殆どのブランドでは、時計の中身「ムーブメント」までは製造しておらず、 ムーブメント製造メーカーから供給される「エボーシュ」を搭載して成り立っている、という事実があります。 最近では、そのすべてを一社で行

世界最大のムーブメントメーカー“ETA/エタ”を紐解く【後編】

今回はスイス最大のエボーシュ“ETA”の歴史についてご紹介しましょう。 皆様が抱く“ETA/エタ”に対するイメージがいい意味でひっくり返るかと思います。 多少長編になりますので【前編】【後編】に分けてご紹介していきます。 是非前編と合わせてご覧ください ↓ ■セイコーがもたらした時計産業の危機 1969年にセイコーが発表した世界初のクオーツ時計(製造は現セイコーエプソン)は、世界を驚嘆させました。 しかし、その後セイコーが特許を公開し、世界中の時計メーカーがク