マガジンのカバー画像

拘りや小話

28
ブランドや時計の歴史や技術、当店の拘りについて書いた記事をまとめております。
運営しているクリエイター

2021年6月の記事一覧

徹底解析『Cal.Hシリーズ』【後編】

今回は時計の中身『ムーブメント』に関するお話。 ちょっとコアな話になるかもしれませんが、現ハミルトンオーナーの方にもこれからハミルトンオーナーになる方にも、ぜひ知っておいていただきたいことが沢山ありますので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです(^^♪ 多少長編になりますので【前編】【後編】に分けてご紹介していきます。 是非前編と合わせてご覧ください ↓ 前編ではHシリーズの3針を中心にご紹介しましたが、本日はクロノグラフやレギュレーターのムーブメント紹介です。

クロノスタシス

皆さんは、腕時計などで時刻を見た瞬間に「あれ?」と思うことはないですか? 時計の秒針が一瞬止まって見えたり、最初の1秒が少し長く感じたり・・・ 実はアレ、脳の錯覚で起こる現象なんですが、ちゃんとした名前が有るんですよね。 ■クロノスタシス ギリシア語の「クロノス」(時間、χρόνος)と「スタシス」(持続、στάσις)に由来します。 まず、サッカード現象というものが有ります。 サッカード現象とは、『ある視点から離れた別の視点に視線を移動させる時、眼球の急速な回転

徹底解析『Cal.Hシリーズ』【前編】

今回は時計の中身『ムーブメント』に関するお話。 ちょっとコアな話になるかもしれませんが、現ハミルトンオーナーの方にもこれからハミルトンオーナーになる方にも、ぜひ知っておいていただきたいことが沢山ありますので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです(^^♪ 多少長編になりますので【前編】【後編】に分けてご紹介していきます。 さて、というわけでご紹介に入ろうかと思うのですが、今回ご紹介するのは”H”シリーズの中でも機械式のみの12ムーブメントをご紹介します。 3針からクロ

時の記念日をご存じですか?

皆さんは『時の記念日』って知っていますか? もちろんご存じの方も多いと思いますが、年々この日の印象が薄れていってしまっている事実もございます。 6月10日。ちょうど本日がその日になりますので、今回は『時の記念日』についてお話ししたいと思います。 ■時の記念日 毎年6月10日に『時間の大切さ』を再認識してもらうため、1920年(大正9年)に生活改善同盟会により制定されました。 当時の日本は第1次世界大戦後の混沌の中にあり「生活は乱れ、時間に対する認識が乏しい」と、

「自由なき人生なんて惨めなものだ」

「Without liberty, life is a misery(自由なき人生なんて惨めなものだ)」 18世紀の法律家(弁護士)『アンドリュー・ハミルトン』の言葉です。 今回はこの人物についてお話ししたいと思います。 もちろん時計ブランド『ハミルトン』とも深い関係がございます。 ■アンドリュー・ハミルトン ハミルトンという名前から察する事が出来ますが、時計ブランド『ハミルトン』の名前の由来になった人物であると言われています。 1676年ごろにスコットランドで生

世界最大のムーブメントメーカー“ETA/エタ”を紐解く【前編】

今回はスイス最大のエボーシュ“ETA”の歴史についてご紹介しましょう。 皆様が抱く“ETA/エタ”に対するイメージがいい意味でひっくり返るかと思います。 多少長編になりますので【前編】【後編】に分けてご紹介していきます。 ■初めに ご存じの方も多いかもしれませんが、殆どのブランドでは、時計の中身「ムーブメント」までは製造しておらず、 ムーブメント製造メーカーから供給される「エボーシュ」を搭載して成り立っている、という事実があります。 最近では、そのすべてを一社で行

世界最大のムーブメントメーカー“ETA/エタ”を紐解く【後編】

今回はスイス最大のエボーシュ“ETA”の歴史についてご紹介しましょう。 皆様が抱く“ETA/エタ”に対するイメージがいい意味でひっくり返るかと思います。 多少長編になりますので【前編】【後編】に分けてご紹介していきます。 是非前編と合わせてご覧ください ↓ ■セイコーがもたらした時計産業の危機 1969年にセイコーが発表した世界初のクオーツ時計(製造は現セイコーエプソン)は、世界を驚嘆させました。 しかし、その後セイコーが特許を公開し、世界中の時計メーカーがク