おとなが本気になれない門司鉄道遺構問題
メモ的に書いてみる。
ツイートでも記述したのだが、門司鉄道遺構問題は「おとなが本気になれない」状態であることが明らかになったように思う。
以下データとして出してみよう。
なお、北九州市議会は、
2月市議会で市行政側が提案したもののうち、遺構移設に反対し、そのほかの施設建設関連は賛成。
6月市議会で、丁寧な記録保存、施設建設に賛成。なお、遺構の報告後の承認に反対の採決。
だと言われている。
■北九州市議会編
(1)請願 = 議員の紹介で提出されるもの
なし
(2)陳情 市民や市民団体が独自で出しているもので、市議会で認めたもの
7件
第177号初代門司港駅跡関連遺構の保存について令和6年6月14日継続審査
第178号初代門司港駅跡関連遺構の保存について令和6年6月14日継続審査
第180号門司港鉄道遺構の経済効果調査並びに市民意見の再聴取について令和6年6月14日継続審査
第184号市議会に旧門司港駅鉄道遺構の保存に関する特別委員会を新設することについて令和6年6月14日継続審査
第187号令和の北九州市が「世界遺産を潰した街」と呼ばれないようにすることについて令和6年6月14日不採択
第192号高潮災害危険区域(3メートル~5メートル未満)に建つ複合公共施設に新しい門司区役所を入れないで下さい令和6年6月14日不採択
第193号旧門司駅跡遺構の各区説明会の開催について令和6年6月14日継続審査
■北九州市教育委員会会議編
(1)請願
なし
(2)陳情
1件
5月23日
議案第4号「北九州市文化財保護審議会への諮問に関する陳情書について」
陳情書
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/001091720.pdf
議事録
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/001104355.pdf
※北九州市教育委員会会議規則第14条(1項)による
(請願及び陳情)
第14条 教育委員会に対して請願、陳情をしようとする者は、文書をもってしなければならない。
2 教育委員会に事情を説明しようとする者は、教育長の許可する時間内において事情を述べることができる。
(平22教委規則2・一部改正、平27教委規則3・旧第16条繰上・一部改正、平28教委規則11・旧第15条繰上)
★陳情内容メモ
(記述者によるメモ。正確性は保証しません。こういうものはテキスト化して公開していただけると助かるのですが・・・)
※メモですので、一部略しております。
陳情項目
初代門司駅鉄道遺構の試掘及び発掘調査の実施計画について、教育委員会は北九州市文化財保護審査会に諮問をすること。
内容
2024年4月18日 北九州市議会建設建築委員会 にて都市戦略局より追加発掘調査範囲を決めるための試掘を行う旨の報告があった(と聞いている)
文化財保護審査会には諮問されるべき、と委員から意見が出たと聞いた
北九州市議会の教育文化委員会 → 何の報告も無かった
委員長や副委員長が抗議(と聞いている)
2024年4月22日 某議員に、過去の試掘調査結果およびJR九州工事の立会結果が都市ブランド創造局(文化企画課)より行政事務照会によって開示された
→2023年3月、4月、7月に行われた調査(試掘)
→JR九州が管工事で行った際の立会
文化庁ガイドライン 平成10年通知 埋蔵文化財の保護と発掘調査の円滑化等について
※遺構が存在する場所で工事を行う場合 → 発掘調査をしなければならない
某議員は、北九州市文化財保護審査会の委員等考古学者に照会したところ、ガイドラインに基本的に違反などの回答を得た。
大きな問題点
①今回の調査は、初代門司駅遺構のみ。古代のものも対象とすべき。
②過去に行われた試掘調査によって文化企画課が判断しているが、文化企画課が判断したところにも遺構があるのではないか、と5人の専門家が言っている。事業予定地全てで遺構があるということだ。破壊されるか、破壊されなくても、長期間見れなくなる、と判断している。
平成10年通知では、発掘調査すべきとしている。
この問題点がある以上、文化企画課に調査を任せることはできない。外部専門家を入れたほうが良い。先行の試掘はすでに終わっている。今後は、諮問をすることが可能である。
文化財保護事務の責任は、教育委員個々にある。
(メモ終わり)
★審議内容議事録公開分メモ
(記述者によるメモ。正確性は保証しません。)
※メモですので、一部略しております。
陳情者=福島綾子。九州大学芸術工学研究院の准教授、北九州市文化財保護
審議会委員で、専門は文化財学である。隣席の方は、九州大学比較社会文化研究院教授、日本イコモス国内委員会副院長の溝口孝司先生で、専門は考古学である。
北九州市教育委員会事務専決規程では、文化財保護事務における局長、部長、課長の専決事項として、文化財の調査、指定及び管理に係る事業(重要なものを除く)の実施に関する事務を定めている。
専決規程に示すとおり、文化財の調査、指定及び管理に係る事業で、重要なものは専決事項から除かれているため、局長、部長、課長は決裁ができず、教育委員会会議で決定することになる。ただ、教育長、教育委員にこの専門的な判断を求めることは酷である。そのため、議会の議決を経た付属機関として、文化財保護審議会が設置されている。(略)
次に、初代門司駅遺構の試掘と立会調査の問題点について説明する。既に送付した資料のとおり、文化企画課による試掘の方法と試掘結果の評価は極めて不適切である。
文化財保護審議会委員を含む専門家6名が意見書を提出し、なぜ不適切かを論理的に説明している。
県の文化財保護課が試掘に立ち会っても、市が県職員と協議しても、不適切なものは不適切である。考古学の専門家としても、文化庁のガイドライン平成10年通知に違反していると明確に言い切れる。全ての試掘・立会調査は、教育委員会の名前、責任において行われており、ガイドライン違反の最終責任は、教育長、教育委員が負う。
これから実施予定の門司駅遺跡の新たな発掘調査計画にも、重大な問題がある。文化財保護の模範を示すべき自治体が、文化財の適切な調査と記録を率先して拒否するという内容になっている。(中略)
埋蔵文化財の発掘・保存で、専門的、技術的に分からないところがあれば、この場で詳しく説明するので、ぜひ質問していただきたい。以上で終わる。
(補助執行について)
総 務 課 長/地方自治法第180条の7において、普通地方公共団体の委員会又は委員は、その権限の一部を、普通地方公共団体の長の補助機関に委任し又は補助執行させることが可能と規定されている。補助執行の目的は、組織機構や職員の配置の重複を避け、行政の能率的処理と一体性の寄与を目的としている。
総 務 課 長/補助執行によってどこまで業務を委ねるかは、地方自治の裁量の範囲で、各自治体に任されている。文化財の保護に関する事務については、教育委員会会議で決定するもの、つまり教育委員会の権限として残るのは、北九州市の場合、条例規則の制定・改廃と文化財保護審議会の委員の委嘱である。
(地方教育行政法では、「権限移譲」を認められている)
清 成 委 員/文化行政の推進、あるいは行政組織の効率的な運営という目的で、文化財保護等についての事務を補助執行させていること、専決規程とすること自体に、特に違法性はなく、適法であると理解している。
※清成委員は、弁護士 兼 私立大学理事
(中略)
総 務 課 長/平成24年度に、文化財保護に関する事務を当時の市民文化スポーツ局へ補助執行させることに併せ、教育委員会事務局内にあった文化財課と、金田にある埋蔵文化センターを市民文化スポーツ局へ移管し、補助執行させることにした。
これに伴い、教育委員会事務局内に、文化財保護に関する知見・経験を有する職員はその時から現在まで不在である。
(中略)
総 務 課 長/委員もご承知のことと思うが、教育委員会制度そのものは教育行政の「政治的中立性、宗教からの中立性」、また、「継続性、安定性の観点からのレイマンコントロール」、「専門的な意見に偏ることなく、一般住民としての意見を教育行政に反映させること」が重視されている。このため、教育委員の選任は市長単独の選任ではなく、議会で議決を経た上で任命する。レイマンコントロールを重視する観点から、専門家や市長の意見ではなく、一般住民の意見反映が可能な教育委員会、教育委員が文化財
保護審議会の委員を選任する権限を持つことにより、政治的・宗教的な中立性、行政の継続性を担保できるためである。
※ここで使われているレイマンコントロールってなんだ?という問いにここが書いていた。(2.教育委員会制度の在り方)
『(2)レイマンコントロールについて
レイマンコントロールは、専門家だけの判断に偏することなく、住民のニーズを適切に施策に反映させる仕組みである。
レイマンコントロールには緊張感を持たせるという役割がある。裁判員制度と同じで、専門家だけだと偏った方向へ行くという考え方が、レイマンコントロールに道を開いている。
レイマンは重要なコンセプトである。これまで素人という意味合いが強かったが、むしろ予断や偏見を排して事柄に臨む人たちと考えるべき。
レイマンは素人でなく、一般常識人と捉えるべき。一般常識人たる国民の代表が、教育について意見を言う機会を大事にしないと、特定の人間だけで教育が動いてしまうことになる。
教育の問題は、誰もが真剣に考えることができるものであり、教育委員は大局的な判断をなすことができる。議論が伯仲することはあるが、それによって事務が遅滞することはない。
レイマンコントロールの本来の趣旨は、選挙によるイデオロギーのブレを防ぐことにある。しかし審議会の設置などでそれは防げる。形式的なレイマンコントロールによって、イデオロギーのブレを防ぐというのは時代錯誤。』
『・・・レイマンは素人でなく、一般常識人と捉えるべき』
・・・一般常識人?一般常識人とは何だろうか。『レイマンコントロールは、専門家だけの判断に偏することなく、住民のニーズを適切に施策に反映させる仕組み』
専門家と住民のニーズは乖離する。と記述がある。
専門家だけ、というのはダメだ。という点。問題は、住民のニーズとは何か、だが・・・。wikiに直接署名入りで記述できる、よく嘘を書いたり、誤魔化して文章を改ざんしている**共のことか?過去の文化と頭脳破壊しているような・・・(ここでいったん休憩、公開20240924)
とりあえずこの先貼り付け(12:00)
再開(23:30~)
中 島 委 員/(中略)
自身も文化的なものに関心があり、昨年来の報道も注視しているが、教育委員に就任してからこれまでに教育委員会の所掌事務について勉強した部分と、報道情報との間に少々ズレがあると感じ、ネットでも検索を行ったり、一般にどのような意見があるのかというのを見ていた。
その際に感じたこととして、失礼な意見かもしれないが、本市のホームページから必要な知識に飛ぶことが、非常に分かりづらく、手間がかかり難しい。規則を含め、文化財保護についての仕組や手順なども分かりづらい。そういった情報発信を適切に行う必要があると思うが、事務局ではどのように考えているのか伺いたい。
文化企画課長/委員の言われる通り、文化財指定の仕組や、関連情報の発信は大切だと受け止めている。門司の遺構についても、複合公共施設の整備のホームページに立ち上げたが、今後、発信の効果的な策を検討したい。
中 島 委 員/ユーザーにとって分かりやすい情報発信を心掛けていただきたい。我々教育委員であっても「これはどういうことだ」というようなものが散見されるので、文化財保護の審議に関するプロセスも発信が不十分であったのではないかと思うところがある。
事務局の考えを伺いたい。
文化企画課長/先ほど申し上げた通り、分かりやすく伝えることは非常に大切だと認識しており、引き続き検討していく。
香 月 委 員/今回の陳情の内容からは少し逸れるかもしれないが、今後に向け、初代門司駅の遺構の取扱と複合施設の建設について、市の見解をお伺いしたい。
文化企画課長/複合施設の整備にあたっては、やはりこの施設の完成を待ち望んでおられる地元の市民の方々と、老朽化した施設を利用されている方々の安全性、利便性の向上といった点もあるが、遺構を大切に保存してほしいと願う方々、それぞれいろいろな意見・要望がある。
総合的な判断として、開発部局で複合公共施設の整備を進め、我々も協議した中で、2月議会では「遺構は移築保存する」ということを考えていたが、修正可決という結果になっている。
今後は我々が記録し、保存することで、きちんと次世代に残していきたいと考えている。
文化企画課長/2月議会で、そういった意見をいただいている。修正の理由として、「重要な遺構であるとの指摘が相次いでいる現状に鑑み、市民や議会への説明責任を果たした上で、発掘調査を行っていない部分のうち、重要な箇所で遺構の存在が確認された場合は、適切な埋蔵文化財発掘調査と厳密な記録保存を行うとともに、速やかに複合公共施設の建設を進めるべき」という意見を承った。
我々はこれを受け、今度全体の説明会を行うが、そういった丁寧な市民説明であるとか、追加の発掘調査を行い、複合公共施設の速やかな建設を進める予定である。
文化財保護行政の執行機関である我々であるが、記録保存について最大限の努力を行っていることは、ご理解賜りたいと考えている。
今回の陳情の項目は、初代門司駅鉄道遺構の試掘及び発掘調査の実施計画について、教育委員会は北九州市文化財保護審議会に諮問をすること、という内容であった。この陳情の趣旨に賛成の方は、挙手をお願いする。
いかがであるか。賛成の挙手はないということでよろしいか。では、賛成の方がいないということで、この陳情については反対、不採択とする。
原 案 否 決
(関係課入退室)
検証を終えて感想
高齢者などに対する交通の便で決定した。ということは分かった。
発掘調査拡大が必要かどうかの検証は、都市デザイン創造局などに投げることが効率的であり、その判断を追認した。ということであろう、と判断した。
保存派が主張できるとしたら、同じくらいの交通の便の代替地はあるんじゃないのか?
①同じ交通の便として、JR貨物九州本社後のビルはどうなのか、
②その他場所は無かったのか?栄町銀天街内。
あるいは、やっぱり大里地区にあるじゃないか。(大里公園整理中+栄町銀天街など)
③代替地購入資金
という話を出さない限り、あるいは、土地の調査を続行させ代替地を発見しない限り、は、建設するだろう。ということになり・・・そこから、複合公共施設1Fでの保存案が先にあったため、一部の流れとしてそれに乗っかろう、という話なのかとも思われる。
特に、JR貨物九州本社後のビルの再構築案で保存派が市行政および市議会に提案したらどうなったのであろうか?と思ったのであった。(誰も質問しないけれど、あれどうするんだろう・・・)
門司区役所および門司図書館を含む複合公共施設の大里案は市議会でもたびたび議論されているが、正確に市行政が検証した形跡はない。人口の50%以上が大里地区に集まっているのに、である。もっとも、大里地区は、別に複合公共施設が現在整備中ではある。一旦契約したのだから・・・という話なのだろうが、建設場所、大里地区にあるにはある。ということは申し添えておきたい。
それとは別に、大里地区の複合公共施設案と門司港地区の複合公共施設案はほぼ同時期であり、上記人口比を知っていながらの計画は、『何年も熟考した』という某副市長の説明会の発言を聞いて、不快感をぬぐえない(大里地区の複合公共施設案もそうだろうから)ムッとした思いを少しは理解していただけると幸いである。
※資料等付記する可能性があります(2024年9月25日0:30)