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ショートショート

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2022年6月の記事一覧

推敲|コーラに浸したミスター・ブルー・スカイ

拙作ショートショート『コーラに浸したミスター・ブルー・スカイ』を推敲しました

ショートショート|血と汗と涙とプール水

 クイックターンで足裏が端壁を押し返すと、引き算された残りの距離が脳裏をよぎる。その瞬間に文字通り息が詰まり、クロールの息継ぎは一段と激しくなる。  僕の通っている中学の水泳部がなぜここまで異常にハードなのか誰か教えてほしい。こう書くとまるで僕が軟弱な人間のようだが、そこは頑として否定したいところだ。現に辞めていった仲間も多い中、僕はまだ戦っているから……いや、辞める勇気もないのか。思い出してほしいのは中学において部活を辞めるというのが一大行為であることだ。頷いてくれている

ショートショート|地下室が空っぽだとして

「突然だが、地下室が空っぽだとして、そこに至る階段に意味はないと思うかね?」 「……いいえ、思いません。ちゃんと意味があります。今後、地下室を用いる際にまず階段を降りる必要がありますから。例えばワインセラーとして……あの、こういうことではなくもっと観念的な話ですか?」 「君の捉えた通りで構わないよ。ワシにとって君の意見は大変に貴重だ。悪かったね、無駄に考え込ませて。この家に入る際に屋根は見たかね。風見鶏がついておっただろう。今の時代、気象会社による天気予報があるんだから個人が

改題 推敲|招待券を探せ!

拙作ショートショート『招待券を探せ』を『招待券を探せ!』に改題しました また、推敲もしました

ショートショート|普通の人生を送るのって難しすぎない?

 人に歴史あり。以下の文章は、おかしな書き方をすれば〈時代の寵児となった凡夫〉の一代記です。あなたもこの男をどこかで見聞きしたことがあるはず。たとえ人生が驟雨であっても、それで生命が息吹くことを考えれば無駄ではない。どうかお付き合いを。まずは序文からです。    SNSや電子掲示板でこう述べられているのを(本当に)よく目にする。こう書くとまるで上から目線だが、そういうつもりがないことは承知してほしい。私もそう受け取られないよう重々気をつけたい。さて何が書かれているかというと〈

ショートショート|コーラに浸したミスター・ブルー・スカイ

 どうしようもなく夏だ。あくまで入道雲は白く高い。クチナシの香りがする。短めのハーフパンツから伸びた脚の脛にぶつかる風が心地良い。  僕が高校3年生の頃——厳密には終盤の受験真っ盛りの時期——に、僕も例に漏れず勉強に根を詰め憂鬱にもなっていたのだが、ある日クラスメイトでたまたま同じ大学を志望していたためよく話していた女の子がこう助言してくれた。「心が疲れた時には幼少期によく耳にしていたアニソンを聴くといいよ。『クレヨンしんちゃん』とか『名探偵コナン』とか」  なかなかどうし

推敲|病棟患い

拙作ショートショート『病棟患い』を推敲しました

推敲|シゴの世界へようこそ

拙作ショートショート『シゴの世界へようこそ』を推敲しました