ショートショート|シゴの世界へようこそ
「三途の川って本当にあるんだ」と僕は驚いた。川幅は30mくらいで流れは穏やか。周りをぐるっと見渡してもこの川、それから僕が立っている雑草の生えた土手(対岸にも同じく)が見えない距離まで果てしなく続いているだけで他には何もない。恐ろしく殺風景。
いざ三途の川を目の当たりにして、どう行動すべきか分からない。もちろん戸惑いがあるが、しかしどこか落ち着きもある。形容しがたい心境だ。変化球を投じられたバッターのよう、という例えは伝わるだろうか? こう言うとまるで僕が野球の熟練者のよう