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俺だけのものじゃない

相棒が、ある小説家の人のインタビュー記事を送ってくれた。
ぼろぼろ涙が出て、嗚咽が漏れた。

歴史的文化的な、多くの人が抱える痛みを題材に書く人だった。

インタビューを読んでいると、抑圧されて地下に渦巻くマグマが、その人という一点から、物語の形をとってこの世界に返されていく映像が見えた。


俺もまた、その一点だ。この人と同じことをやるのだ、と直感した。

俺のストーリーテリングが小説なのかしゃべりなのかなんなのかわからないけど
とにかく、歴史的文化的に抑圧された多くの人の痛みを物語る役割に違いないと思った。
そういえば俺はよく言う言葉がある。
『こんな気持ち、こんな体験、俺だけじゃないでしょ?』

その一点が目詰まりしている様を想像する。
パンパンに膨らんで、やがてその一点は破れてしまう。
破れたところからは、安全に加工されてもいないマグマが溢れ出る。

それが現実世界では、自傷に出るか他害に出るか。

この痛み苦しみは俺だけのものじゃないのだ。
この感情は、この感じは、俺だけのものじゃないのだ。

でも、それをストーリーとして表現するのは、世界に「確かにある」ものとして返していくのは他でもない俺なのだ。

なんてこった…!!!! いやほんまに、なんで俺なん。
ぶっちゃけほんまにしんどい。

でも、俺だよな、そうだよな。それには確信も納得感もある。
しんどいと嘆きながらも、それは間違いなく自分の仕事だ。

書かなきゃ。しゃべらなきゃ。
自分が見てるものを、感じていることを。

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