3Dプリンタの銃規制必要論

「3Dプリンタの銃規制」は本当に必要なのか? - AKIBA PC Hotline!
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/column/3dpnews/20140516_648827.html

どうにも私の観測範囲では3Dプリンタ非脅威論ばかりが目に付く。流石に安全意識が足りなさすぎだと思うので脅威論で書いておく。

例えばこんなシナリオが考えられる。例えばヤクザ団体山□組(仮称)が突如として3Dプリントセンター事業に参入したとする。港湾地帯の組が管理する倉庫あたりにずらっと並ぶ3Dプリンター。抗争が近いという噂を聞きつけたマル暴が銃の摘発に入っても、そこに並ぶのは萌えフィギュアを延々と吐き出すだけの機械。「いやぁ、暴排条例からこっち商売上がったりでウチも色々やってるんですわ。萌えもある意味中毒ビジネスっちゅうわけですわガッハッハッ」。抗争の前夜、3Dプリンター群が突如として猛烈な勢いで稼働を始め、リベレーターが300挺ほど完成し、北九州が炎に染まる。

あるいは、某雑誌社の批判にぶち切れた某宗教団体があったとする。ネットで調べて3Dプリンターで銃を作って、日本のアングラの黒い闇とかそこら辺から銃弾を調達する。雑誌社の副編集長の額に神の鉄槌(物理)を叩き込んで逃走、銃は焼却し銃弾は海に捨てる。後日捜査線上に某宗教団体が浮かび上がる。銃撃事件の捜査の基本として、現場に残された弾丸のライフルマークと一致する銃を探そうとするが、そもそもそんな銃は既に破棄済で存在せず、立件を断念する。ほとぼりの冷めた頃にまた銃を作って、今度は編集長の額に銃弾が叩き込まれる。
(そもそも樹脂製の銃身で鉛玉にライフルマークが付くのかは知らないが)

あるいは、某シア国(仮名)が某クライナ(仮名)の政情を何らかの意図で不安定にしたいと思ったとする。某GB(仮名)が某クライナのネットに3Dプリンター銃の情報を死ぬほど拡散する。その上で、某クライナで銃弾を小口で大量の人間に適当に売る。普通は銃の入手困難性から言って、銃を買うような奴は完全にヤバイ系の世界の住人であり銃弾は100発くらいはないと話にならないが、萌えフィギュアをプリントする程度の気軽さで銃が手に入るのであれば、ちょっと担任の教師が気にくわないとか隣人の下手くそなピアノが気にくわない、などのカジュアルな理由でも銃を使う事が選択肢に入るし、そういう用途であれば銃弾は2,3発で構わない。つまり某GBが1000発持ち込んでも以前はマフィア10人に銃を持たせるのが精一杯だったが、一般市民500人に銃武装させる事に成功する。

あるいは某半島国家が近隣の島国が嫌いで嫌いで仕方ないとする。某半島国家は某島国のマフィア組織に既に深く浸透しており、銃器は普通に調達できるが、足が付くような真似を気軽にする事はできない。そこで、某半島国家が普段からその国で展開している玉入れ式電子遊戯機の試作台作成のためという名目で3Dプリンターを大量に保有、そこで銃を量産し、某半島国家の特産品である頭の悪く沸点の低い愛国心に優れたクズに3Dプリント銃と銃弾数発だけを渡して好きにさせる。銃弾はマフィア組織であれば腐るほど手に入るし、製造過程から追跡される心配も少ない。銃はフィラメントと電力とSTLデータを3Dプリンタに流し込むだけで無限に錬成できるので使い捨て上等だ。

と、こんな感じか。

3Dプリンタを規制したがっているのが「警察」ではなく「公安」な点がポイントだ。警察は犯罪の取り締まり、個別の案件の対策のために動く組織だが、公安は「公共の安全と秩序」の維持のために動く。つまり、公安は「銃」がある事を問題視するわけではない(それは警察の仕事だ)。公安は「銃が容易に入手できるような社会」を問題視する。バイト先の牛丼屋の店長を撃ち殺すために3Dプリンターで銃を1挺作るのは普通は割に合わない仕事だし(コーナンでバールでも買って殴った方が早い)、そもそも銃弾が入手できない人間にとってはクソの役にも立たない。しかし、銃弾が普通に手に入る組織や、あるいは大量に使い捨て可能な銃があると嬉しい組織、あるいは流通を介さずに銃を入手できると嬉しい組織、というのは現にある。

というわけで、規制したい、という人間がいたとしても全く疑問に思わないし、規制しないと危険だ、という意見にも賛同できる部分はある。技術的な問題(強度や工作精度)は時間の問題なので、今から動いておいた方がいいだろう。ただし、3Dプリンターの有用性は大きい(多数決を取ったら99%の人間には要らないと思うが、未来というのは残り1%の人間が作る物だ)ので、安易に規制するのは悪手である、という視点も必要だ。規制を主張するのが公安の仕事なので、産業的な利用の可能性等についてちゃんと経産省や文科省辺りが主張して対抗してもらいたい。

とりあえず、3Dプリンター非脅威論ばかりが目について不愉快だったので、危険側の想定を書いた。マスメディアが市民に悪の教育を施すわけにもいかないので仕方ないだろうが、賢い市民におかれましては、もう少し日頃からいかに人を殺すか、いかに大規模な犯罪行為を行うか、という視点で生活を送って頂きたい。

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