週記 10

今週は、今年に入ってから最も激動の一週間だった。


今週の月曜日より、派遣先が変わった。

高層オフィスビル内にある、コールセンターだ。
何百人という社員のいる大きな会社で、強固なセキュリティシステムが完備されている。
初めてこの施設に来た時、直感的に、耐え難い半年間になることを悟った。

一般的に見ると非常に働きやすい環境であると言われる、秩序正しい清潔なこの空間は、混沌と狂乱を愛する自分からすると、ディストピアも同然である。

入社期間より定められた二週間の座学研修と、さらにもう数週間のOJT研修。
今週から始まった座学研修は、数十人の同期と共に、業務に関する情報を頭に入れるというものだ。
学校という空間が心底苦手であった自分にとっては、これが本当に苦しい。

初日は半狂乱になりながら帰路に着いた。
珍しく母親に電話をかけ、つい愚痴をこぼしてしまった。

本当に長い長い一週間だった。
来週もまたこれが続くと思うと反吐が出る。
正直、「でも頑張ろう」と思えない程度には拒絶を覚える。

明日は月曜日だ。
また今週が繰り返される。
出勤前に起き上がることはできるだろうか。

他人事のようだが、自信がない。


恋人に別れてほしいと言われた。
原因が自分にあったわけではなかったので、解決策がなく、受け入れざるを得なかった。

振られた日の夜は、涙が出たかと思ったらすぐに止まって、とてつもない虚無感に襲われ何も考えられなくなって、また泣いて、体を起こすことはできないが、反対に眠りにつくこともできなかった。

大好きな映画を観る気分にも、本を読む気分にもなれなくて、ラジオも音楽も流す気になれなくて、当然SNSを見る気にもなれなかった。

自分で考えた物語をブツブツ呟きながら、体力が尽きるのを待った。
痛々しいことに、傷つけば傷つくほど、フラストレーションが溜まれば溜まるほど、面白い設定を思いつくことができる。

悪夢を見て金縛りにあったりしながらなんとか眠りについて、その眠りも長くは続かず、いつも起きる時間には目が覚めた。
暫くは、この喪失感に苛まれるしかないのだなと思った。

この空白に耐えることができなかった。
痛みや絶望なら、いくらでも受け入れられるが、退屈との向き合い方がわからなかった。

翌日には、本人に好きだと告げた。
時間がかかっても、何度も伝えてもう一度振り向かせることに決めた。

断られるだろうと思っていたのに、二つ返事で快諾された。
今日からまた片想いだと腹を決めたばかりだったために、こちらから交際を提案しているのだが、「もう少し考えたほうがいいんじゃない?」と言い出しそうになった。

趣味も思想も生まれた環境も合わないのに、なぜか一緒にいると楽しい人だ。
一生だなんて贅沢言わないから、もうしばらくは側にいてほしいと思う。

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