第三段 ガクチカと自己PRって何が違うの?問題に答える

最近、ESを見る機会が増えてきました。そこでよく聞かれるようになったのは「ガクチカと自己PRってどう違うんですか?」という質問です。

これは就活界隈では永遠のテーマとして扱われるものですよね。色んな人が色んな意見を言っているのですが、今回は僕自身が考えるガクチカと自己PRの違いについて述べていきたいと思います。

ガクチカと自己PR

まずはガクチカと自己PRの違いについて復習していきましょう。

ガクチカ:「学生時代に力を入れたことは何ですか?」という問い。
自己PR:「自分をPRしてください。」という問い。

[共通点]
・ES、面接など就活の様々な場面で聞かれる最頻出の問い。
・結論だけでなくエピソードまで求められる。
・社会人でも再現性のあることが求められている。

[相違点]
諸説あり
☞今日はこの相違点について書いていきたいと思います。

通説

 ネットで「ガクチカ 自己PR 違い」で検索してみると様々なサイトが出てきます。すこしまとめて見ました。

・ガクチカは「意欲」、自己PRは「特徴」
→意欲に差って出るのでしょうか?自分の強みが意欲の人はどうしたらいいのでしょうか?

・ガクチカは「どのように成長したのか」、自己PRは「採用するメリット」
→成長できるから採用するメリットがあるのではないのでしょうか?

・ガクチカは「壁の乗り越え方」を伝え、自己PRは「人柄」
→壁の乗り越え方に差が出るのでしょうか?(めっちゃがんばるor冷静に分析するしか思いつかない...)自分の人柄以外をアピールしたい人はどうしたらいいのでしょうか?

などと、様々な説が流れています。(個人的には自分のアピールにならないもの、就活生の間で差がつかないもの、対比になっていないものはふさわしくないと思っています。)


その中でも最もよく聞くのが

ガクチカは「問題を乗り越えた結果身についたもの(身につけたプロセス)」を自己PRは「もとから身についているもの(活かしたエピソード)」をアピールしているという説です。
これは通説と言っていいぐらい浸透していますし、就活生の間で差がつくことを対比してアピールすることができるのでかなり説得力がある説です。僕も、就活生の頃はこの説を信じて書いていました。

ガクチカと自己PRの違いは書き方の違い?

しかし、就活支援をしていく中で思ったのはこの、「プロセスor活かしたエピソード説」はガクチカと自己PRの書き方の違いでしかないのではないかということです。
下にそれぞれの一般的な書き方を書いておきます。

ガクチカ
結論:私が力を入れたことはサークル活動です。
状況(star):フットサルサークルで代表していました。
目標&任命(Target or Task):大会出場のためのメンバーが足りませんでした。
行動(Action):メンバーに来てもらうために一人一人ヒアリングをしました。
結果(Result):それぞれのメンバーの不満や要望をかなえました。
学び:一人一人の思いをくみ取ることが大切だと気づきました。

自己PR
結論:私の強みは、ヒアリング力です。
状況(star):フットサルサークルで代表しているときに活かされました。
目標&任命(Target or Task):大会出場のためのメンバーが足りませんでした。
行動(Action):メンバーに一人一人話す機会を設け、雑談の中でヒアリングしました。
結果(Result):それぞれのメンバーの不満や要望をかなえました。
会社でどう活かすか:チームで働く際に、メンバーの思いをヒアリングしてモチベーション管理することができます。

どちらも一般的にあるようなガクチカ、自己PRだと思います。
ここで注目していただきたいのが、同じエピソードでガクチカと自己PRの両方が書けるということです。エピソード全体で見ると、ガクチカではサークルの経験によってヒアリング力を身につけたというプロセスに、自己PRは元々あったヒアリング力をサークル活動で活かしたというエピソードになっています。しかし、一つの事実を書き方によってどちらでも書けてしまうんですね。なので、「プロセスor活かしたエピソード説」は書き方の違い、つまり結果論だととらえることができます。

「いや、違いないんかい笑」というセリフが聞こえてきますが、その通りです。この説に則ると書き方を変わると違いがあるだけで、書くエピソードを選ぶ段階での違いはなく、なんでもいいという結論になります。

僕はこの結論に半分賛成で半分反対です。賛成なのは「ガクチカと自己PRは書き方が違うだけで同じエピソードでどっちでも書ける」という部分です。一方反対なのは「ガクチカと自己PRを選ぶ際に基準はない」という部分です。
この微妙なニュアンスは伝わっているでしょうか笑
同じエピソードでどちらでも書くことができる。だからこそ迷っている就活生がたくさんいるんですよね。でも、ふさわしい内容とあまりふさわしくない内容があるから別の質問として使われているのも事実です。
今回は「どっちでも書こうと思えるけど、向いているエピソードがある」ガクチカと自己PRに向けて、自分のエピソードを振り分ける方法を考えてきましたのでご紹介いたします。

[新説] ガクチカと自己PRの違いは厚み×再現性?

ここからは、ガクチカ向きと自己PR向きのエピソードを選ぶ基準をご紹介します。
それは、エピソードの厚み×再現性説です。

何を言っているか分からないと思うので順を追って説明していきましょう。

まず、説の説明です。
この説は、選考に使えそうなエピソードはいくつかあるとは思いますが、それぞれエピソードの厚みや再現性でガクチカと自己PRを選ぼうという説です。

具体的には、厚みのあるエピソードはガクチカに、再現性のあるエピソードは自己PRに向きます。

抽象的な言葉を説明すると、エピソードの厚みとは、「なぜその活動を始めたのか」、「組織での自分の役割」など活動自体に対して話せるか、また「希有な体験なのか」、「役職があったのか」など聞き手にとってインパクトのある体験なのかということを意味しています。一方で再現性とはその能力・強みを活かした場面が他にあるかを意味しています。

スクリーンショット (102)


次に、なぜこの説がいいのかの理由を説明していきます。

それは、ガクチカと自己PRは話題としての使われ方が異なるからです。

具体的に見ていきましょう。
まず、ガクチカは「学生時代に力を入れたこと」を聞かれています。従って、ここで話されている話題を面接官は学生時代に頑張った活動だと認識します。なので、エピソードに対する疑問以外にも、「なんでこの活動を始めたんだろう?」や「組織でどんなキャラクター、役割なんだろう?」、「どれぐらいの継続して頑張れるんだろう」「このエピソードの他にどんなことをするんだろう」といったような活動や組織に対する興味、疑問も出てきます。つまり、ガクチカはその一つの一時的なエピソードだけでなく、活動や組織全体まで含めた話ができる、「厚みがあるエピソード」が求められるのです。
一方、自己PRは「自分の強みが活かされた経験」を聞かれています。従って、ここで話されるエピソードを面接官は、就活生が持っている能力や強みが活かされた例だと思っています。なので、「その強みが本当にあるのだろうか」という疑問が出てきます。エピソードの中身自体に矛盾点がないことを前提にすると、「他の場面でも活きたかどうか」でエビデンスを求めることは自然な判断でしょう。つまり、自己PRは一時的なエピソードでもいいので、他の場面でその強みが活かされていることが求められるのです。

では次に、具体的な例を挙げてみます。
例えば、以下のような大学生活を送った就活生がいるとします。矢印は時間の流れ示しています。

スクリーンショット (103)

サークル(3年間)、バイト(2年半)、TOEIC(3ヶ月)、留学(6ヶ月)を想定しています。
※持っているエピソード数としては多い方なので、これを見ても就活生の読者の方はどうぞ気を落とさないでください笑

では、この中でガクチカと自己PR向きのエピソードを選ぶことはできるのでしょうか?
上で示した表に当てはめて考えてみましょう。
まず「エピソードの厚み」で見てみると
厚い:留学、サークル
薄い:バイト、TOEIC
(☞TOEICは動機は良いが、継続期間が短く点数を取る以外の活動はないので薄いにに分類、サークルは動機は薄いが部長という希有な体験をしており継続期間も長いので厚いに分類した。)

次に「再現性」で見てみると
再現性あり:バイト、TOEIC
再現性なし:サークル、留学
(☞今回は大学生活に限定したが、高校生のエピソードで再現性があるのであれば十分話せるます)

となります。
従って、ガクチカ向きのエピソードとしては留学とサークルを、自己PR向きのエピソードしてはバイトとTOEICを選ぶことができます

これで本番にガクチカで留学の話をしたときにエピソードに書いていない動機やボランティア企画の役割を聞かれても答えられますし、自己PRでバイトのバイタリティの話をしたときに他の場面で活かされたかを聞かれてもTOEICの話ができます。

まとめ

今回はガクチカと自己PRの違いが分からないという就活生に向けて、「厚み×再現性」という新説をご紹介しました。
ESだけでなく、選考まで見据えた戦略なのでぜひ使っていただきたいです。
次回は具体的なガクチカ、自己PRの書き方について話していきたいと思います。それでは就活頑張ってください!