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【劇場版リョーマ!】サムライ南次郎の◯◯について

※最初から最後まで映画のネタバレです
※ついでに今月のSQ本誌ネタバレもあります
※内容は薄いです

画像は、初週特典ポストカード(付き合ってもらった友人分含む)が脅威の50%ダブリだったけど初日一発目で推しを自引きしたので言い残すことは何もないという自慢です。信号機の筋肉の描き分け最高。

公開1週間があっという間に過ぎてしまいました。あと3週間しかないのがもう凹む。
感想はふせったーなどでも喧しく流しているのですが、このメモだけちょっと長くなってしまったのでこっちに。映画の包括的な感想ではなく、ある1点のみに絞って書いた文です。考察と言えるような深みはない。

「どうしてそんなに強いの?」
南次郎のこのテーマについて、思い付いたことを。

原作読者はご存知の通り、無印テニプリ全42巻を通して出されたテニスが強くなるための答えは「テニスを楽しむこと」でした。テニスを長く続けてたくさん試合をしていくうちに楽しむ心を皆忘れてしまう、それを持ち続けていられる奴が最強だと。
映画のまさに冒頭で回想された全国大会決勝で、リョーマが見つけた天衣無縫の極みがそれでした。

しかし今回の映画では、その青学全国優勝を導いた直後のリョーマでさえ、目をキラキラさせながら生き霊を飛ばしてガン見するほどの鮮烈な強さで観客を魅了する"現役"サムライ南次郎が登場します。
クリスとのラリーの後、何故そんなに強いんすか?とリョーマが南次郎にド直球で質問しますが、少し悩むような素振りはするものの「お前が大きくなったらわかる」と答えは教えてくれない。
終盤、幼いリョーガリョーマ兄弟から同じように強さの理由をねだられても「まずテニスを楽しむことだな。あとは…お前らがもっと大きくなったらな」と再び同じセリフではぐらかされ、視聴者視点でも新しい情報は増えませんでした。

ただ、この「大人になったらわかる」というはぐらかし自体、私が忘れてたら申し訳ないんですが初出だったと思うんですよ。
つーかサムライ南次郎の強さの秘密云々という話自体、今月10月号のSQでいきなり出てきましたよね?秘密とかまだあったん?南次郎の強さにテニスを楽しむことプラスアルファがあるなんて先月の私知らなかったよ??この劇場版と本誌と同時に仕掛けてくる先生のしてやったり感…!エンタメ狂人の鑑…!

話を戻して、とにかく異なる状況で2回も言ってるのだから、この「大人になったら」は単なるその場しのぎの嘘やごまかしではなく、ちゃんと南次郎的には正解へのヒントを出してくれているのだろうと読み取れるわけです。
大人になれば自ずとわかる、強さの理由。それは…

結論から先に書くと、「守るべきもの」だと私は解釈しました。
リョーマはまだ守られる側の子供だから、「大人になったら」という言葉が出てきたんじゃない?

9/4舞台挨拶で神志那監督が話されていた内容が大ヒントというかほぼ答えだったと思います。
「(足手まといヒロインにしたくないので)桜乃にも何か、それを守るために強くなれるようなアイテムを出そうと考えてあの猫の缶バッジのアイデアが生まれ、先生に描き下ろしてもらった」というようなお話でした。

守るべきものとは?と考えると、映画本編でかなり明確に描かれていた場面がありましたよね。そう、桜乃が連れ去られた瞬間。
南次郎は真っ先に倒れた妻と子供のもとへ走り、リョーマは桜乃を連れて行かせまいと車の男めがけてボールを打ち込んだ。迷いなく行動する2人の対比が象徴的で好きなシーンです。

それからもう一つ印象に残ったのが、桜乃が拐われてしまった晩のシーン。くっついて眠る小さい兄弟と、頬に絆創膏を貼ってキッチンに立つ倫子さん。それらを見つめる南次郎。ちびっこの無邪気な寝顔にそぐわぬ、沈んだ空気のリビング。
この時、未来のリョーマは別の場所で脅迫状を眺めていてここにいないんですよね。
リビングの内側=手の届くところにいる、南次郎が守るべき家族、という描写だと思いました。(リョーマが未来の息子だと気付いていたと思いますが、ほんの一時訪ねてきただけの存在であることも同時に感じ取っていそう)

いっぽうリョーマは、序盤は守るべきものを持っていなかったと思います。が、物語が進み、南次郎との「彼女を守れるのか」「守ってみせる」というやり取りがあり、さらに後の教会で「俺が必ず…」が出てきます。
危ない目に巻き込んでしまった同級生、そしてそれだけではないかもしれない桜乃が、今回のストーリーにおけるリョーマの「守るべきもの」になっていった。
そしてもう一つ守りたかったのは、「サムライ南次郎のテニス」ですね。大好きだもんね。
両方を守るためには絶対捕まるわけにいかなかった。しかし…
逃げるのをやめてエメラルドに立ち向かったこと自体が「守るべきものがあったからこそ生まれた強さ」なんじゃないかなと。
だってリョーマ1人ならきっとマフィアから2日間逃げ切ることももっと簡単にできたし(そもそも拐われたか怪しい)、立ち向かわなかった。でも桜乃にこれ以上怖い思いをさせないで守り切るためには、「もっと強い行動」が必要だった。
そうしたら、部長やライバルが時を越えてヒントをくれ、強くなれた。
リョーマさん無自覚に正解のマスを踏んでいたという流れ。

そして桜乃は監督が言った通り、リョーマへのプレゼントを守るために見せた強さ。今にも自分が屋上から落ちそうなのに、ブーの持つバッグに必死に手を伸ばす。
大柄なブーから見れば子犬が唸っているようなものだったとしても、普段の桜乃からは考えられないような強情が顔を覗かせました。
そのせいで自分が死にかけ(怪我なくて本当良かった)たけども、結果的にはそのおかげで2人ともピンチを切り抜けました。
(話が逸れますが缶バッジがもし無かったとしても今回映画桜乃はメンタルが強い。神志那監督のヒロイン観が、テニプリ読者が思い描いていた桜乃というキャラクターのポテンシャルをかなり底上げしてくれたと感じます。「トラブル体質、大人しい性格、愚痴をこぼさない」までは原作のままだけど、「何回死にかけてもナイフ突きつけられてもすぐ立ち上がって笑える桜乃」は劇場版で再発見された要素でした。幼児より誘拐のターゲットにされるほど与し易そうで弱い、自分ではピンチ切り抜けられない。でもあのばあちゃんの孫娘だし肝っ玉が据わっていることと弱いことは矛盾しない。
十分足手まといだったじゃんと感じる人もいるでしょうが、今回彼女の役割は「(リョーマが守るべき存在になることで)リョーマの強さをブーストしたこと」と私は考えています。大活躍じゃないですか?
倫子さんも少ない描写の中ですごく魅力的な強い人だったし神志那監督が描く朋ちゃん杏ちゃんミユキらも見てみたかった)

さらに「守るべきもの」描写は続きます。エメラルドの父、マフィアの親玉ことベイカーがアダムに向かって放った言葉、「ビジネスも大事だが、私にとってファミリーはもっと大事だ」。
直前のやり取りから察するに、今回の依頼以外でもそれなりに付き合いがあったであろうアダムに、小型マイクひとつで罠を張ってあんな形で喧嘩を売るリスクは勿論ベイカーにも大いにあったはず。しかもその鍵を会ったばかりの12歳の少年に握らせるマフィアのボス、わりと正気の沙汰ではない。
でも愛娘のためなら即座にそのリスクを取ってしまえる、優先順位の揺るがない「強さ」を持っている。ビッグボスの呼び名にふさわしい大喝でアダムを圧倒します。楠見尚己さんの声めちゃかっけ〜〜

と、本編から集めてきた「守るべきもの」はこのようなところです。他にもあったら是非教えて下さい。

しかし、ここまでくどくど書いてて何ですが、こんな風に本編を分析しなくても、何なら映画館に行く前から、人によっては何年も前の許斐先生のライブから知っていた「世界を敵に回しても」の歌詞でまんま言ってるんですよね。
多分このnoteの冒頭から「あれのことでしょ?」と思う人も多いのでは。

「守るべきもの全てが 俺をまだ強く強くさせるから」って。
しかもここリョーマと南次郎のデュエットパート。
あからさまじゃない?
世界を敵に回しても。
大国アメリカで、日本から来た裸足のサルが全米オープン決勝に勝ち残って、観客席が全員対戦相手を応援していようと。
子供相手だろうと迷わずナイフを投げてくるようなヤバい地元マフィアに狙われようと。
守るべきものがあれば、それらの応援があれば、人は強くなれるんですよ。

ひと夏の少年少女の冒険譚、二重うつしで描かれた家族の絆、"お転婆"エメラルドの成長と転機、それらを通して今回の劇場版リョーマ!のテーマの1つはこれだったんじゃないかな。

ただ、守るべきものがあるだけじゃきっとダメなんですよね。それなら、立海三連覇を双肩に背負った幸村がリョーマに負けるはずがなかった。天衣無縫と守るべきもの両方があって初めて、サムライ南次郎の領域にやっと届くんでしょう。

さらに言えば、守るものは別に家族や恋人や大勢に関わる何かでなくてもいい。桜乃を強くしたのが缶バッジだったように、どんな小さな出来事や傍から見たらつまらない意地だって、その人にとって大事ならそれが力になる。そんなことも同時に伝えるストーリーだったと思います。


以上、南次郎のアレはそういうことじゃないかなと!!思いました!!個人の感想です!!

でももし万が一これが大体合ってて原作展開にも通じるとするとさあ、リョーガお兄ちゃんは一体何を奪うことになるんや 次のSQめっちゃ怖い

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