ナオキとの思い出
ひょんなことから大学生主催の合コンにお呼びがかかった。
当時、私は25歳の社会人だったので、猛烈に浮くんじゃないかと一抹の不安はあったが、とにかく「若いエキスを吸いたい」の一心で二つ返事で参加した。
男性参加者は5人。
いかにもサッカー部という感じの男臭い集団を見た瞬間、「夜のハットトリック」というフレーズが浮かんじゃったもんだから、もうワクワクが止まらなくなって、気が付いたらジョッキ5杯空けてた。
テンションもMAXになり、「涙の数だけ強くなれるんだったら、桂小金治最強だよね~あはは~」などと軽妙なトークで盛り上がっていると、主将の視線を感じる。ずっとこっち見てる。ああ、あなたもそうですか。まあ、大抵の男性はそうなりますよね、と最高のスマイルで見つめ返した瞬間、
「おまえさぁ、何そんなに飲んでんの?しかも、女の癖に生ビールかよ。あと、料理取り分けとかしないの?食ってばっかじゃん。帰れよ」
と罵声が飛んできた。「断る。」とだけ答え、唐揚げをモリモリ食べてたら、テーブルの隅で、静かにカシスオレンジを飲んでる男の子が目に入った。よく見ると、とてもかわいらしい顔をしてる。
「唐揚げ食べる?」と皿に入れて渡すと、「あ、すみません」ととても嬉しそうに口に放り込んだ。かわいい。辛抱たまらなくなり、1次会が終わった後、半ば強引に私の知ってる店に連れて行った。彼は20歳で、名をナオキといった。
気が付くと、朝だった。知らない部屋で寝ていた。頭は割れるように痛く、喉が乾ききっている。
「大丈夫?」
声の方を見ると、ナオキが心配そうな顔をしている。
「これ、よかったら食べて」
と、梅干しがひとつ乗せられたおかゆを差し出された。お前を一生守ると思った。
こうしてナオキと私の楽しい同棲生活は始まったが、半年もした頃、異変が起こる。
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?