母と育児とコンドームと私

私は、目につくものすべてにいちいち解説を求めるしちめんどくさい子供だったという。

散歩中、変わった動植物を見つければ「あれは何だ」「何故あんなところに毛が生えているのか」「何が目的だ」などと持ち前の粘着性を発揮させていたらしいが、母はググレカスと切り捨てることなく、いちいちそれに答えていたらしい。

 彼女は、教師でも学者でもないただの主婦だったが、「好奇心の芽を摘んではいかん」という一心で、外出の際は咄嗟の質問に対応できるよう必ずミニ図鑑を携帯し、その場で解決しなかった問題は家に持ち帰り、百科事典で調べ、その日のうちに回答するように心掛けていたという。 

今思えばとんでもなくしちめんどくさい要求であり、その対価として肩たたき券の1枚も贈呈するのは子として当然の行いであると思うが、当時の私は母を、質問すれば即座に答えが得られる便利な何か、くらいにしか思っていなかった。我ながらひどい話である。

 ところで、この一見単純に思える「親が子供の質問に答える」が、子供にさまざまな好影響をもたらす行為であることに、みなさんはお気づきだろうか。 

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