父と私と魔法のコトバ

父は、どこに出しても恥ずかしくないようなクズだった。

朝から酒を飲み、ギャンブル漬け、気に入らないことがあれば母に手を上げる典型的なクズである。

しかし、幼い私は父が大好きだった。

洗面器が割れるまで殴り、熱い味噌汁を投げつけて母を病院送りにすることもあったが、酒が抜けると人が変わったように優しくなったので、「お父さんには悪魔が取り憑いていて悪さをしているだけ」と思っていた。

ここから先は

2,069字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?