ある意味、忘れられないクリスマス
クリスマスにサプライズプレゼントを考えているすべての恋人たちへ
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12月に入ったばかりだというのに、街は早くもクリスマスムードに染まっている。
週末のデパートは「のんたん、クリスマスはこれが欲しい~~ん」とクネクネする女と金づる男でいっぱいになるだろう。そんなカップルたちを目にするたび、いつもあの日を思い出す。
失恋した私を慰めてくれた、というありきたりなきっかけで付き合い始めたシゲルは、見た目は地味だが優しくて聞き上手な父親のような人だった。恋愛するにはあまりに刺激のない男だったが、傷ついた私にはちょうどいい相手だったのかもしれない。
休みの日にはお弁当を持って公園に出掛けたり、寒い日には彼の家で鍋をつついたりという、彼の風貌のような穏やかな付き合いを続けた。そんなふたりにはじめてのクリスマスが訪れる。 恋人同士の最大のイベントともいえるクリスマス。とりとめのない時間に満足していた私も、この時ばかりは期待も膨らんだ。
シゲルに「クリスマスどうする?」と聞くと「ちょっと考えてることがあるんだ」と言った。なに?なに?と詰め寄ると「それはお楽しみ」と柔らかな笑顔で囁き「24日までは俺の家に入らないでね」と付け加えた。
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