見出し画像

【みやまん考察】呪術で読み解く血の人形儀式(降霊術・代理呪術・血編)

『発端となる出来事が起こったのは、1987年4月20日未明。

平塚市のとある山中。
そこには、6人の男女が集まっていた。
彼らは同じオカルトサークルに所属するメンバーで、18~21歳と皆若かった。
山中で何が行われていたか、その詳細については不明点が多い。
一説によれば、彼らは自らの身体にナイフを刺し、流れる血を人形に注いでいたという……。』
    - イマオカ・オカルト倶楽部より

これは平塚市で1987年4月20日未明に起きた事件の概要である。(ProjectCOLDを参照)
まずこの事件について ”呪術的な事が行われていた事を前提に” 話を進めて、箇条書きで書き出してみよう。

  • 平塚市内の山中でその儀式は行われた

  • 血の人形事件と呼ばれている

  • 古い書物を手に入れて、その内容を解読する事で実行した

  • 「シラノ」は女性である可能性が高い

  • 自らの体にナイフを刺し、血を人形に捧げた

  • 13日周期で儀式を行った人が亡くなった

という内容である。
ここから導き出されるのは、降霊術。その中でも「ひとりかくれんぼ」や「呪いの藁人形」に近い儀式である事は確かである。
まず類似する2つの儀式について概要を語ろうと思う。

代理呪術・降霊術としての血の人形儀式

呪いの藁人形について

正確に言えば、これは呪いをかける呪術ではなく代理呪術であると言える。
わかりやすく言えば、「藁人形に霊を宿らせて、「お前がいまいじめられているのはあいつのせいだ!」と信じ込ませて、藁人形に呪わせる」と言う手法である。
(秋山眞人著/布施泰和協力「日本の呪術大全」夢の設計社 48ページ 10行目より引用)

これだけである。

これに近いものに『丑の刻参り』という物も存在している。
丑の刻参りとは、憎い相手に見立てた藁人形を五寸釘で神社等にあるご神木に午前2時から2時半の丑三つ時の間に打ちつけ、相手を呪うというものです。
これも代理呪術です。
しかしながら、そもそも丑の刻参りは国土豊潤のため、丑年丑月丑日丑刻に神社の祭神が降臨される時に心願成就に詣でたのが始まりとこちらには書かれています。

後世に残されている呪術としては血の人形儀式に近いものの、古来の呪術として考えると遠い存在である事が分かります。
・地主神社公式ホームページより

しかしながら、後に紹介する別の文献には呪いの藁人形や丑の刻参りに使う藁人形には人体の一部を人形の中に入れるとより効果的とされており髪や爪などがある中で、血を使った物が1番強い効果を出すものと考えられています。

ひとりかくれんぼについて

こちらは2ちゃんねるに2007年4月18日に立てられた「【降霊】検証実況スレ本館【交霊】」にて語られた降霊遊びです。
人形に特化して交霊方法をまとめます。
「名前を付けた手足がある人形を用意し、そのお腹を切り、綿など詰め物を全て抜いて、代わりに米と自分の爪(血が1番強い力を持つとされる)を入れ、縫い合わせる。」
これがひとりかくれんぼにおいて降霊させる為の人形の下準備とされています。

そして人形に霊が宿り以下のような怪現象が起こるともされています。

  • ポルターガイスト、ラップ音の発生

  • 機械が故障を起こしたり、壊れてしまう

  • 耳鳴りや悪寒、怪我をしていないのに激痛が走るなどの身体異常

  • 誰もいないのに声が聞こえだす

  • 霊感が無い人でも幽霊が見える

  • ひとりかくれんぼに使ったぬいぐるみの失踪

・朝里樹著「21世紀日本怪異ガイド100」星海社
・竹書房怪談文庫


もしこれらが仮に血の人形儀式で起きた場合、仮にオカルトサークルが遊びとして楽しんでやっていて、ほんとに怪現象が起きたとしたらパトカーや救急車に運ばれる程の正気を失っていった可能性も大いにある。
何故なら、正気を失ってしまえば血の人形儀式を正確に終える事も困難でありその呪詛が自分達に帰ってくる可能性が大いにあるからだ。
ひとりかくれんぼも正確に終えなければ自らに呪詛が帰ってくるし、丑の刻参りも誰かに打ち付けている所を見られたら呪われる。
呪詛とはそういうものである。

シラノに関する考察として、1つ気になるTwitterでの記述を編集中に見つけたので、本人のご好意のもとその内容の添付の許しを得たので紹介したいと思います。
氷室サキ(@sizkmai)様のツイートです。

血の人形事件がレジスタンス側が銀の弾丸などで消す案件だった可能性があるという非常に興味深い指摘である。

ここからはそれを踏まえた上での私の考察として、もしそれが事実だった場合、このような流れが立てられないだろうか。

「オカルトサークル部員が血の人形儀式において、途中なんらかの介入を受けてその儀式を完全に成功しえなかった。だから参加者に呪詛返しが起こって全員亡くなった。」

と。そもそも自分達が犠牲となる儀式を当時の若者がやるのだろうか。もしやるとしても明らかに異常な出血を起こすような事をやるのだろうか。儀式が正常に終わっていれば呪詛ならば誰か生贄にかかったり、犠牲のない(降霊の為の少量の血液採取は除く)降霊が行われたのではないか、と。
つまり、何か「妨害」があったから呪詛返しが起こり、精神状態が荒れるような自体になったのでは無いかということです。

「血」に焦点を当てた血の人形儀式

「チ(血)」に込められたる霊力

では、何故血を使う必要があるのかについて考えていきます。
「血」と言う漢字の訓読みは日本の古語である「チ」から来ているとされ、それは自然の中のものや自然現象の霊力を表わす言葉とされています。
日本神道という物は先祖崇拝や山岳信仰、海洋信仰、太陽崇拝など多くの自然的な信仰を持っていた事が確かです。
実際に何にでも神は宿るとされ、御神木や御霊山など多くの神聖なものが存在しています。 

この「チ」と言う言葉は火の神であるカグツやヤマタノオロににも使われています。
それ以外でも、実際に日本神話においても、火の神カグツチが斬り殺され流れたその血からは岩や水の自然の神々が産まれたとされています。

生命力の根源である「チ」はそういう意味から、古来から呪力を持っていた事が確かである。

参考)加門七海著「呪術の日本史」宝島社

今回のまとめ

血の人形儀式について、今回の内容を踏まえ、より深く血の人形事件についてまとめれば、

「山中でオカルトサークル部員が降霊術、代理呪術と思われる儀式を人形に血を捧げる事で行使し、何らかの怪現象や心霊現象又は降霊に会い自らの気を狂わした」

とも書き連ねる事が可能ではないかと思います。

今回の内容は非常に多くの内容を含み、読者の方々に1度落ち着いてこの内容を考察したり、まとめて欲しい為に1度ここで今回の記事を終わらせてもらいたいと思います。

次回は山岳信仰や宇宙一体化呪術、浅間社等とも関連付けて考えていきたいと思います。

もしこの記事が「為になった!」「面白かったよ!」という人がいらっしゃいましたら、是非いいね等お願いします。
ご覧いただきありがとうございました。
次編へ続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?