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mhikで一番好きなシーンはどこか考える

 好きなシーンとは十人十色であり、何が一番どれか一番と順位付けを行うのは無意味。というのは一旦置いて感情の振れ幅や印象深さや主観を基準に自分の中でまほいくの一番好きな場面はどこかを考えようと思います。
 ※記事のタイトルで検索避けしている理由はサムネと内容がネタバレになるため。

restart後半

 まず真っ先に思い浮かぶのはrestart後半。具体的には那子死亡からエピローグまで。
 「青い魔法少女に渡せばいいんだよね」の台詞で人物死亡ムードから一転、物語は核心に迫り、メルヴィル戦→最後の生き残り達による戦闘→種明かし→墓参りENDと続く終盤の読み応えは抜群で自分がまほいくにハマった明確な瞬間はこの終盤を初めて読んだ時であり、一番好きなシリーズがrestartなのもあって思い入れの深さも大きい。
 restart後半と書くと範囲が広すぎるため、場面を絞るとしたら以下のシーンを挙げる。

 メルヴィルが移動しようとしたその時、足首にすっとなにかが触れた。ラズリーヌがメルヴィルの足首に手をかけている。ラズリーヌは顔を伏せたままで血溜りの中に突っ伏していた。死んでいる。足首に触れた手の感触も死人のそれだ。体温が失われつつある。
 なのに、動いた。執念か。怨念か。

魔法少女育成計画 restart(後)p.209

 ペチカの最期や宝石を砕くラズリーヌやグレドラ変身など数ある名シーンを抑えて「死亡したラズリーヌがメルヴィルの足首を掴むシーン」を選ぶ理由は牛股師範然りテラ然り、終わったかと思いきや最後にもう一仕事する描写が大好きだから。死亡寸前に何かする描写も次に好き。好みに関わらずあのラズリーヌがブチ切れているのと、右足潰されても躊躇なく宝石を砕きテレポートリンチをして、死して尚行動するのが良い。

魔法少女育成計画通信 Vol.22 画像抜粋

 公式のベストバウト人気投票でも頭一つ抜けてメルヴィル戦に票が集まっていることから多くの読者に支持されているのがよく分かる。自分としても一番好きなシーンの最有力候補。
 しかしながら、既刊17冊の作品で一番好きなシーン候補が一つに留まるはずもなく、まだ候補は考え出される。

ファニートリックの最後の独白

 終わるのか。このまま終わるのか。違う。終わらない。芝原海なら絶対に諦めない。だったら彼女の相棒もきっと同じだ。ファニートリックは胸を押さえて地面の上を這いずった。

魔法少女育成計画 limited(後)p.242

 独白兼地の文。ファニートリックは独白が好きな人物で、海死亡によって荒れ狂う心の中、熱気を帯びて一つの考えに収束していく様に惹かれた。そんなファニートリック視点の中でも最後の「芝原海なら絶対に諦めない。だったら彼女の相棒もきっと同じだ」が印象深く、前述した通り死亡寸前に何かする描写を好んでるのもあってこの後のファニートリックと繰々姫も熱かった。limited終盤のプキン戦全般が好きですが、特にこのシーンに心燃えたので抜粋。

お嬢が護を抱き締めるシーン

 QUEENSをエピローグまで読んで、最後のページのお嬢のイラストを見て、本を閉じて、喪失感やら何やら言語化し難い感情によってしばらく天井を見上げながら内容を咀嚼してた初読時を今も鮮明に覚えてる。
 二作目から登場し続けてきた、言わば「前作の生き残りキャラ」ポジション且つ出番が多く、それでいて特に好きな人物の死。単に好きな人物の死というだけでなくそこに行き着くまでの過程とお嬢が護を抱き締めたのがプフレとシャドウゲールでの魔法少女状態と護だけ変身が解けた状態と描写外ながら最終的にお嬢も死後変身が解けて人小路庚江と魚山護での状態と三段階に亘り抱き締めて身を寄せたいうのも感慨深い。
 人物の死亡シーンを「一番好き」と表現して選ぶのは不適切かどうか判断し難いものの好きの定義を心惹かれると見れば間違いなく心惹かれたシーンである。

ドリーミィ☆チェルシーが復活するシーン

月刊魔法少女育成計画 2021年1月10日ツイート画像

 bd挿絵アンケートで最も票を集め、ランキングの半分がチェルシー関連とその人気っぷりが数字で顕著に現れていた。かくいう自分も投票したのはチェルシー関連の該当シーン。
 チェルシーが蘇る回を読むまでの3ヶ月間、生存を祈る日が続き、来るべきWEB版第19話掲載を待ち望んでいたのが記憶に残っています。そして第19話でネフィーリアの魔法が発動=チェルシーの死が確定した時の肩が落ちる絶望感とその後の蘇りで「!?」となったあのV字感情は凄まじかった。幼馴染でも最強の魔法少女でも死ぬ時は死ぬまほいくにおいてまさか蘇るとは露程にも思わず、しかも2回蘇るとは。感情の振れ幅という点では最も好きなシーンといえる。

プリンセス・ライトニングの正体が判明するシーン

「悪いことはいわないわ。早く逃げなさい」
「ああ?」
 返事はないまま、ライトニングは力なく腕を伸ばし、アーデルハイトはその手を取った。戦闘で破れた手袋の下に何かが見えた。手袋に指をかけ、一気に剥ぎ取る。
 ライトニングの白い手の甲にハートマーク、傍らに小さく数字の9が刻印されている。アーデルハイトは眉をひそめた。
「私より、強いのがくるかも」

 予想外すぎて比喩ではなくリアルで叫んだ。「特別な……なにかには……なれなかった」の段階で死の流れを感じ息を飲み、最後の種明かしでえっ!?って声出た。
 黒では程々に好きだったライトニングが白だと揚げパン力説、お見舞いプリン、「給食の話はした?」、平手で机叩く、匂い提案、スキップなど面白可愛いシーンに加え、協調性にクラスメイトへの関心(ランユウィ退院に素直に喜ぶ、テティとメピスの歴史的和解に立ち会えず後悔)、自陣営の意向に反してるっぽいのと喜んだり怒ったり目輝いたり珍しく感情が出ている様子には一気に好感が上がり、アーデルハイトとの戦闘とその後の会話で最高に痺れる存在に。まほいくの全登場人物の中でも特に大好きな人物。アーデルハイトとの敵対同心の関係も好き。もし赤でどちらか片方若しくは両方死亡したらその時自分の感情がどうなるか計り知れなくて怖い。

「あなたも変わりましたねえ」
 口にした直後、躓きかけた。見れば、ライトニングが足を止めている。
「変わった? 私が?」
 カルコロを食い入るように見詰め、その双眸は窓から差し込む日差しを受けてきらきらと光り輝くようだった。

感情を表に出すことが滅多にない彼女にしては珍しく、とにかく嬉しそうだ。

 愛染さん関連のシーンといえばこのシーンも好き。まだ肝心な所(黒の学校での戦闘後に恐らくやったであろう行為)が明かされていないので言及が難しいものの特別に憧れていた、数ある量産品の一つでしかない(上記引用台詞が言われた段階ではその記憶は抜き取られているが)愛染さんにとって変わりましたねえと言われたのは本当に嬉しい言葉だったんだろうなあと。愛電ティティの確立。今の状況から生き残るのは流石に厳しいだろうなと思いつつも切実に生き残ることを願う。

魔法少女育成計画で一番好きなシーンはどこか考える

 JOKERSの砂漠戦での魔梨華視点、QUEENSのレーテVSプク・プックなど他にも好きな場面はあるが、書いてる途中でやっぱり一番好きなシーンは「お嬢が護を抱き締めるシーン」だと意思が固まったのでここで候補を挙げるのは止める。

 ラズリーヌの手が伸ばされるのを見て、プフレは目を瞑った。目を開けていた時より、護の体温と鼓動を強く感じた、ように思えた。きっと気のせいではない。プフレは両腕に力を込め、護の身体を強く抱き締めた。

 情緒、印象深さ、心の惹かれ具合、主観において一番好きなシーン。章題が「全てはあなたのために」なのも良い(※プフレのみに当て嵌まる章題と解釈している訳ではない)。
 お嬢と護が向き合っている挿絵を見た段階でどちらか片方か、或いは両方が死ぬかもしれない心積もりみたいなのは自分の中で無意識にあったんじゃないかと思う。先の展開を予想しながら読んでいるという話ではなく、「このままお嬢が何事もなく護を連れ出して無事に解決する訳ない」というある種の作品への信頼。
 ただ心積もりはあってもそれであーやっぱりとはならず、該当項目に記載したように初めて読んだ時はそれはもう感情が今まで味わったことのない状態になった。もう約7年前と時の流れの速さに震えるが、それほどの月日が経っても尚忘れられない読書体験だったので今回「一番好きなシーン」として選んだ所存です。

終わり

 それぞれに良さがあってそれぞれ良い、と無難なまとめ方で締めようか少し迷ったけれど、ここははっきりと一番好きを選ぼうと方針を固めて今回決める運びになりました。
 ここまで読んだ人の中には「自分の中ではこのシーンが一番好きなんだけどなあ」と感じた方もいると思います。それだけ魔法少女育成計画には魅力的なシーンがある訳で、異論がある場合は寧ろ良いことだと捉えてる。
 「一番好きなシリーズはrestart」と書いたが赤はそれを更新する内容だったらいいなと期待して待ってる。スノーホワイトとリップルの行く末、フレデリカとの決着(あること前提)、二年F組生徒達の生死、ラツムの行動、マナやうるるやダーキュなどの生存組、大量のライトニング、初代、中庭、ルールー、魔梨華VSエもの結果、アスモナVS三代目の結果、ファルの安否、シャドゲの謎機械、カルコロ先生の時空と空間に関わる術式の研究と開発とは等がどう展開されるか、そしてrestartアニメ化も楽しみにしています。

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