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個性の強い子どもたちの【無限のポテンシャル】を引き出す学び場づくり~~『多様な学びプロジェクト』萩原 裕子さん

不登校の子どもたちが学校以外のいろいろな場で学ぶ経験ができて、才能や個性を存分に発揮できるようにしていく!そんな思いで笑顔で楽しく活動されている 萩原 裕子さん にお話を伺いました。

萩原 裕子(はぎはら ゆうこ)さん
プロフィール 

さいたま市在住。長男の不登校をきっかけに、自分自身の在り方、生き方に大きな転換が起こる。今は自分の強みを生かして、才能や可能性あふれる、学校に行かない子どもたちの学び場づくりをワクワク実践中。

学校に行かない子どもたちは「自由な魂」をもっている

記者:『多様な学びプロジェクト』とはどのような活動ですか?

萩原さん:今学校の外で学んでいる、全国14万人の子どもたちの学び場、成長の場づくりです。学校に行かない子どもたちは、狭く深く突き詰めていけるんだけど、一方で「自分はダメだ」と思ったり、周りの目を気にしたりして外に出られなくなってしまいます。そういう子どもたちの才能が発揮できるようにしていくプロジェクトです。
 ひとつは『とまり木』といって、ステッカーを貼って【平日昼間に子どもが来ていいよ】という意思表示をする施設やお店を広げる活動です。だんだん全国に広がってきて「とまり木マップ」というものもできました。私たちはそんな子どもたちを“free bird kids”(自由な魂をもった子どもたち)と呼んでいます。
 他には、『まちの先生プロジェクト』という、地域の「好きを仕事にしている大人」に出会って学ぶ場、そして埼玉大生と一緒にスタッフをやっている『コドモギルド』です。子どもたちがチームを組んで、街の人からもらった課題を自分たちで解決していくというものですね。大人たちは手出ししないようにして。子どもたちは自分たちで決めてどんどん動いていきますね。

記者:プロジェクトをやるときに心掛けていることは何ですか?

萩原さん:「ゴールに着地することをやめる」ということなのかなと思います。「こうやったらできる・できない」「楽しい楽しくない」といったプロセス全てが学びなんだとわかる。途中で終わるとしてもそこであった気付きや葛藤がある。子どもだから失敗を恐れずにチャレンジしてほしい。それを提供する大人は安心の場を与えられる存在であることですね。
 特に「コドモギルド」では、スタッフミーティングを通して大人たちも楽しめています。純粋に「この子のここが面白かったよね」って観ている。そして学生たちの在り方にびっくりさせられるんですよ!(笑)私は母親だからストップをかけがちになるけど、学生たちはとにかく面白く、ゆるくやってる。「その使命感必要あるんですか!」って。(笑)そんな緩さが子どもたちの緊張をほぐして、よい影響をもたらしているのかなって。いつも刺激をもらっています。

不登校になった長男の一言で全てが変わった

記者:いろいろな年代の人達や新しい価値観との交流を楽しんでらっしゃるんですね!ご自身がそのように変化できたきっかけはどのようなものでしたか?

萩原さん:私も昔は、勉強を頑張ってまじめに仕事して、「ぎりぎりレールを歩めた」んですけど、いつも緊張していて、「こうしないといけない」が強かったです。
 そんな中で長男が不登校になりました。もともと個性が強い子で「いつかレールから外れるだろうし、それでいい」と思っていたんですけど、現実に不登校になって「もう元に戻れないのかな」ととても悩んでいる長男に対して、「あなたはあなたでいい」と言っていても、私もつらい思いをしていたんですね。
 そしてある日、「休めない、迷惑かけたくない」と無理して人との約束に行こうとしたとき、長男が「ママは行くんだ」って言ったんです。それが本当に衝撃で、子どもには「楽に生きていいんだよ」と言いながら、自分は無理をして生きている。そんな本質を子どもは見抜いていたんですよね。お母さんの在り方を見てそのまま子が育つ。それから「やっぱり自分なんだ」って思って、自分の人生とたくさん向き合いました。
 私は【苦手なことにチャレンジする】という生き方をしてきていました。苦手を克服して、自分を高めて、世の中の役に立ちたい。看護師の仕事もそんな思いでやっていたんです。でも人生を振り返って「克服するために全てのエネルギーを使っていたんだ。これからはそのエネルギーは得意なことに使えばいいじゃん!本当にリラックスして力を発揮できる場所でやろう!」と決めました。
 それから何をしようか考えたんですが、私、実は「古着選び」が大得意なんです!でもこれは役に立たない?と思っていた。一方で「面白い人」「変わってる人」も大好きで、「周りの人が困ってる子」の個性を生かしたいとイベントをやりました。
 そしてそれらがつながって、自分の強みが見つかりました!それは古着も人も、【誰も気付いていない、その中にあるポテンシャルを見つけること】だったんです。それからどんどん楽になってきて、今の活動につながってきました。
 学校に行かない子は、周りと同じようにできなかったことを責めてしまうんです。でもそんな必要はなくて、「本当にすごいから!」って、まだ見たことのないポテンシャルを引き出してあげたいです。
 そしてもう一つ言いたいことは、今は不登校の子が「支援される立場」という見方をされがちだけど、これを続けていくとどんどん消極的、受け身になってしまう。これはやっぱりおかしいし、ひっくり返していきます!

記者:子どもに教えられたことから生き方が変わったお話、本当に感動しました。最後に今の夢や目標を教えてください。

萩原さん:皆が自分の価値に気付けるようにしていくこと、それは自分たち、大人たちからですね!ウソはつけません。それから子どもたちが、楽しくワクワクしている大人たちの価値観に触れて体験していってほしいです。

記者:今日はお話しできて本当に嬉しかったです!ありがとうございました。

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【編集後記】
今回インタビューを担当しました 藤原 章人です。
長男さんの一言には、本当にお母さんの人生全てを変えてしまうパワーと涙がありました。そこから意志を立ててこうして夢と希望とビジョンを持って活躍されている萩原さんの姿は本当に美しいと思います。素晴らしい場に立ち会えてこちらも感謝の思いです。

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この記事はリライズ・ニュースマガジン“美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
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