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戯曲『株式会社 必死』を書こうとする

医者の分野の一つに緩和ケアというものがある。痛かったり苦しかったりする人に対して、その辛さを軽くするためのお医者さん、らしい。

その緩和ケアのお医者さんと安楽死を酒の肴に呑んでいた。呑んでたお医者さんは「安楽死には反対」ではあるけれど、それ以上に「安楽死に対する議論の貧弱さ」が課題だと思っている人だった。

というのも、安楽死の話を始めると
1.絶対反対!人の死は何があってもダメ!
2.絶対必要!人々の選択肢として存在すべき!
みたいになるらしい。
※酔ってた記憶だからディテールはアテにしないでください

要は賛成と反対の間にはもっとグラデーションがあるし、そもそも賛成・反対の対立軸だけでもないんじゃない?
という話だと解釈をした。

そこから話しは飛んで(酔ってるんだ、仕方がない)
「安楽死を望む人」

「安楽死を提供すること」
が本当に最適なソリューションなのか?ということを話した。

この辺になってくると僕も活き活きし始める。医療は専門外(地域医療だけは縁あって専門知識豊富だけど)だが、ニーズとソリューションの話は「アイデアとコンセプト」の話と同じなので大好物だ。

アイディアとコンセプトの話

そんな話をしていたおかげで『株式会社 必死』という戯曲のアイデアが生まれた。一昨日の夜からずーっと人の死に方について考えていて、なかなかまとまらないのでブログに書いてみる。

株式会社 必死は全員の余命が半年未満である

思考実験として、もし会社のメンバーが全員余命半年未満だったらどうなるだろうか?と考えてみた。

思いついた経緯は酔った勢いなので論理的に破綻しているかもしれないけど、そこは水平思考だと思って許してほしい。

とにかくこんな状況だ。
1.余命半年、もうさっさと安楽死したい
2.しかし日本ではできない
3.オランダならできるらしい
4.ただし金がかかる
5.金はない
6.余命で稼ごう
7.余命半年じゃ誰も雇ってくれない&稼ぎが足りない
8.一攫千金を狙って起業しよう

安楽死までの最短距離は「起業して一攫千金する」だと思った人がいたとしたら、どうなるか?

全員来期までに死んでいる。

そんな会社があったらどうなるのか?

演じられる状況まで戯曲に書く

これ、本当にやろうとすると世の中の先を行き過ぎて刺されそうだからフィクションとして、演劇としてやろうって話になった。

僕としては戯曲はオープンソースにしたい。誰でも自由に演じたり、改変したりしてOK。
なぜなら「安楽死」という入口を通じて考えてもらうための戯曲だから。

だから、戯曲の中は「演じること」だけに収まらない。「戯曲に取り組むこと」もまた、戯曲化されるべきなんだろう。
(モロに岸井さんの影響)

しかも、たぶんこれは最終的に「安楽死についての戯曲」ではなくなる。「安楽死についての戯曲の皮を被った何か」になるはず。

なぜなら、「安楽死を望む人に安楽死を提供するのは本当に最適解なのか?」がスタート地点だから。安易な「選択肢の多様性こそ正義」に終わらせない何かが必要だと感じている。

たぶん「私たちはどこからどこまでを生きていると言うべきなのか?」あたりが主題になってくると思う。昨日の夜はそう思った。今夜は変わるかもしれないけど。

例えば寝たきりの営業マンの話

戯曲の中に登場させようと思っているキャラクターに岩黒と言う名の寝たきり営業マンがいる。
彼は元広告代理店の営業マンだった。
しかしある病気で(この辺は飲んだお医者さんと詰めようと思う。にわか知識で病名は決められなかった…)全身がほぼ動かない状態だ。
ただし、思考ははっきりしているし、感覚もはっきりしている。

そんな彼が株式会社必死の営業担当をする。
どうやるか、と言うとロボットを使う。
脳波でロボットの声帯を動かして声を出す。ロボットが営業に行き(ヤマト運輸とかで営業先に届くのだ。絵だけで面白い。)交渉をする。

岩黒は伊達男なので見た目へのこだわりがすごい。ロボットは岩黒の営業として最高潮だった時代の姿をしている。
だから、彼を知る人々は驚く。
岩黒が帰ってきた、と。

ただし当の本人は寝たきりで病院のベットから自らの力では寝返りをうつことすらできないでいる。
彼の死へのモチベーションは、日々開き続ける「在りし日の俺」との乖離が認められないことにある。

株式会社必死の営業として、成果を出せば出すほど彼は悩む。
「俺はどっちだ?」

極限の人々を置く

こんな感じで一人ひとりに色んなものを背負わせようと思う。みんな「安楽死したい」と口では言うけどさ、本当なの?って事を延々と戯曲の中で追い詰めたい。

追い詰めて、追い詰めて、追い詰めた先にこのあいだの飲み会の答えが転がっている気がする。

そういえば、あなたはどんな風にアイディアを練ってるの?と聞かれたけれど、

「呑んでるだけです」

が答えです。ただ、たぶん、普通の人とは違うものにも酔いながら呑んでいます。そこらへんが、聞きたかった答えなんじゃないかな、と。
先日は美味い酒をありがとうございました、僕はかれこれ3日間酔いが続いています。

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