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天才投資家の素顔

「貯金したお金に働かせよ」。

これは、前回読んだ「バビロン大富豪の教え」にあった<黄金を増やす7つ道具>のうちの一つ。

一番印象に残ったとともに"もっと知りたい"と思った教えだったんだけど、それは今までずっと距離を置いてきた「投資」と向き合うということを意味する。

幸いなことに無職でたっぷり時間もあるから、いきなり投資の実践書ではなく、「投資」に対する興味を高めるためにこの本を購入。

かの有名なライブドア事件で、ホリエモンとともに世の中を騒がせた男"村上世彰"の半生を綴った著書。守銭奴と罵られる一方で、天才投資家といわしめた彼の半生を知ることで「投資」の本質に近づくことができるのではないかと思い、手始めに読んでみた。

最初に言ってしまうと、ライブドア事件時にテレビや新聞などのメディアによって造られた"悪のイメージ"から一転、日本経済の永続的成長のために日本企業のあるべき姿を徹底的に追求した改革者だったのではないかと思ってしまうほどイメージがガラッと変わる内容だった。

ざっくりとした本書の構成として、東大法学部から通産省に入省し、株主が経営者を監視・監督する仕組みである「コーポレートガバナンス」を研究。その後、いわゆる"村上ファンド"を立ち上げ、コーポレートガバナンスを通じて日本企業のあるべき姿を追求すべく、様々な企業との熾烈な戦いが描かれている。全てを網羅すると膨大の量になるので詳細は本書を手にとって確認して欲しいんだけど、面白すぎてすぐ読めちゃうほど。

この本の軸となるのは、上記にも記した「コーポレートガバナンス」、これに尽きる。「コーポレートガバナンスってなんやねん?」って思う人もいるルカもしれないが、本書を読む限りこれです。

"コーポレートガバナンス"とは
投資先の上場企業で健全な経営が行われているか。
企業価値を上げる、すなわち株主価値最大化を目指す経営ができているか株主が企業を監視・か監督するための制度。

コーポレートガバナンスを理解していない上場企業、つまり"株主の存在をないがしろにしている上場企業"の経営者が多く、「銀行(債権者)>株主」「企業の私物化」「計画性のない遊休資産の保持」「名ばかりの社外取締役」など多くの矛盾を抱えていることを村上氏は嘆いている。そして、その問題を多く抱える上場企業の最たる先進国が"日本"だとも。

村上氏が上場企業のあるべき姿を求めて行ってきた企業との熾烈な戦いの歴史が本書には記されている。東急グループ、昭栄、東京スタイル、ニッポン放送・フジテレビ、阪急電鉄と、どれも日本の上場企業を震撼させた有名な出来事ばかり。

村上氏の半生を綴った著書だということもあり、明日から実践できることはあるかと言えばそうではなかったが、企業としてのあるべき姿や、優れた経営者、そして日本としての問題点などの根幹を垣間見ることができた。
もちろん過去に連日報道されていたニュースや記事に対して誤解していた部分もスッキリとした。

「投資」は、為替や有価証券報告書などの数値から読み取る定量的要素と、経営者などの言動から読み取る定性的要素の2つある。
この2つの要素を正しく理解できていなかった日本だからこそ、村上世彰という存在に震え、最終的には見世物のように逮捕まで追い詰めてしまったんだろうな。

村上氏の発言が全て正しいとは思わないが、投資をする上で企業や国に対する考え方の選択肢は明らかに増えたと思う。


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