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メッセージ 第1回 希望を伝えたい

ここ最近、新谷嘉孝さんという元プロ野球選手のお話や動画を配信させていただいています。私が住んでいる伊勢市小俣町という地域の大先輩ということで親しくさせていただいています。新谷さんは現在、鹿児島県に在住です。

新谷さんはガンとの闘病についてもお話しさせていただきましたが、闘病の中、地元での講演を昨年成功させて、今年もそれを企画しようとしていました。しかし、今回の新型コロナウィルスの全国的な感染拡大もあって、身動きがとりにくい状況になっています。

今年の新谷さんの講演のイメージも経たぬままあっという間に5月に入ろうとしています。そこで、新谷嘉孝さんと相談して、「私たちが今できることは?」。ひょっとしたら講演も開催できないかもしれない、社会はどうなっていくの?などなど、思うところはいろいろあるのですが、今のこの状況をじっとして過ごしているわけにもいかない。何か発信できないだろうかお話ししました。新谷嘉孝さんは、子どもたちに野球のすばらしさを伝えたい。自分と同じように病で苦しんでいる人に生きる勇気を伝えたいという想いを持っておられます。そこで、私が新谷さんに野球や人生についてインタビューしたものを投稿しようということになりました。もちろん会えないので電話とSNSでのやり取りになります。

以下、新谷嘉孝さんのメッセージです。

** 皆さん、はじめまして。新谷嘉孝です。私は若い頃12年間プロ野球でプレーしました。1軍で活躍する有名な選手ではありませんでしたが、野球をはじめスポーツが大好きで、自分なりに精一杯がんばってきました。引退後は妻の実家がある鹿児島県に在住し飲食店を経営していました。
 昨年の3月にガンと診断され、現在闘病中です。ガンの治療は大変つらく、厳しいものですが、希望を持って毎日治療に向き合っています。私は、この希望を持つことはガンとの闘いにはとても大切なことだと思っています。
 今年も地元に戻って講演会を開催する予定ですが、この度の新型コロナウィルスの影響により、地元に戻れるかどうかもわからない状況です。どうなるんだろうと不安な想いもありますが、今できることを考えて、後輩の藤田大助君と共同で私の想いを皆様にお届けしたいと思います。
 大助君が僕に様々なインタビューをして、それに答えたものを整理し文章にまとめて投稿させていただく形になります。初めての取組みで皆様の期待に応えられるかどうかわかりませんが、野球同様に精一杯取り組んできますので、よろしくお願いいたします。
                              新谷嘉孝

                                              

それでは、新谷嘉孝さんの想いを皆様にお届けしたいと思います。

希望を伝える 好きこそものの上手なれ

 僕たちの時代にはテレビゲームもパソコンもなかったので、一番の楽しみは友達と遊ぶこと、野球をすることでした。

 長嶋茂雄というジャイアンツの野球選手に憧れ、彼の闘志あふれるプレーをテレビで観る度に興奮し、彼みたいな野球選手になりたいとプレーしました。

 当時と今を比べると、スポーツ界における野球の位置づけは圧倒的でした。それもあって、僕は気づいた時には野球が身近にあって、野球にのめり込んでいきました。

 今の時代は、メディアも多様化し、それぞれのスポーツに注目が集まっています。サッカーはもちろんのこと、ラグビー、バスケット、卓球、バトミントンなど目覚ましい結果を出し、スター選手も生まれ、着実に成長しています。

 野球だけしか考えていないといった僕みたいな子どもの割合は減っているのではないかと思います。子どもたちを魅了するスポーツはいっぱいあって、選択肢も多くなっている。

 そんな時代に野球を志す子どもたちに伝えたいことは、「好きこそ物の上手なれ。」という言葉です。

好きこそ物の上手なれ
1、まず野球を好きなろう!
2、目的意識を持って練習を


1、まず野球を好きになろう!
 先ほども話したように、今の時代は野球以外にも注目されているスポーツは沢山あります。子どもたちの健全な成長、学び、そして、競技としての楽しさ。そういうものを総合して子どもたちはプレーするスポーツを選びます。

 もちろん、親の希望もあります。親が子どもにどのスポーツをさせたいと考えているかが子どもが選択するスポーツに大きく影響する場合もあります。友達と同じスポーツをしたいという考え方もあります。様々です。

私も引退後、少年野球の指導に携わった経験から感じていることなのですが、親に言われて野球を始めた子、友達が野球をやっているから野球を始めた子など、様々です。特に、親から言われて野球をやっている子は、一目でわかるものです。

 野球をするのではなく、「させられている」。そんな表現が当てはまる子もいます。この「させられている」状態が続くと、野球は上達しません。他にも指導者の顔色をうかがって野球をしている子なども、「させられている」といった表現が当てはまると思います。

 そういう子どもたちは、ぜひ野球の楽しさ、プレーする喜びを、まず知ってほしいと思います。僕は、子どものころから野球が好きだったので、どれだけつらい練習も耐えられたし、誰よりも練習しました。守備で今まで捕れなかった打球が捕れた時の喜び、ボールをバットの芯で当てたときの快感。仲間と協力して試合で勝った時のうれしさ。野球って本当に素晴らしいスポーツです。

 初めから結果を求めすぎたり、できない自分を責めたりしてはいけません。少し余裕を持って、野球を楽しもう。それが上達には欠かせないことなのです。特に小学校生などの少年野球を指導する指導者や親は結果や上達よりも、子どもたちが野球を好きになる環境をつくってあげてほしいと思います。

2、目的意識を持って練習を
 いわゆる「やらされている」と自分の目を使って、自分の頭を使って野球をしなくなります。自分の目を使って、自分の頭を使う。この「自分でやる」ということがスポーツにとってはとても大切です。言われたことをやることから、自分でやる意識に変わっていくことが大切だと思っています。

 自分でやるといった意識を手に入れると、目的意識を持つようになります。私は、中学校に入るとバッティング練習で、1、誰よりも遠くに飛ばす、2、誰よりも強い打球でライナーを打つ、3、誰よりもフライを高く上げる。という三つのことを大切にしていました。これは、誰から教えてもらったものではなく、野球が好きだから自分で考え。結果、そういう目的意識を持って練習をするようになりました。

 もちろん、10人いれば10の個性があります。みんな目的意識が同じになるわけではありません。まずは、それぞれが自分なりの目的意識を持って練習に励むことからスタートしたらいいと思います。

 目的意識を持って練習をしていくと、「どうしてうまくできないのだろう?」、「こうやったらもっとうまくいくのではないか?」といった疑問も生まれてきます。これを試行錯誤していくのが練習です。

 なので、野球は結構、頭と心を使うスポーツです。体が強い、器用。というだけではこの疑問を越えられません。疑問が次の成長につながります。

 そして、試合で自分が練習してきたことを試す。真剣勝負で自分の力を確認する場です。練習で考えていないと試合でプレッシャーを感じやすくなったり、緊張しすぎてしまったりします。

 野球をやるうえで参考にしていただければと思います。

今回のメッセージのまとめ
「野球を好きになる→目的意識を持つ→疑問が生まれる」。このサイクルを大切にしましょう。
野球が好きになれば疑問を生まれることは自然なことです。疑問を解決するための方法を考えるのが練習であり、それを試合で試して答え合わせしましょう!


 

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