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産直市場・花開道にみる政治家の形

高速の玉城インターから度会町に向かい、度会町をちょうど超えたところの交差点があります。その交差点を左に曲がり、車で数分。そこに花開道という産直市場があります。今年の7月10日にオープンしたばかりのお店です。




代表を務めるのは伊勢市議会議員の世古明さん。伊勢市津村町を中心に地域づくりをしながら政治家として活動されている方です。

これまでも地域の鳥獣害対策や一次産業の振興に取り組んでいましたが、もう一歩踏み出して、農家さんが生産したものを販売する場を作りたいと自ら産直市場を立ち上げたわけです。

違う角度から見れば、商売を始めた。そう見ることもできるのですが、私はこの世古明さんの取り組みにとても注目しています。

国会議員や県議会議員・市会議員などの政治家は税金の番人であります。議決権を通じて、税金の使い方をより良いものにしていく。そして、国や地域を発展させていくための取り組みについても有権者から期待されています。

しかし、国や地方の自治体の財政難で、あれもこれも出来なくなってきている。また地域は若い人が少なくなり、高齢化によって様々な課題が生じています。その課題に対応する能力が政治や行政に無くなってきています。

政治家が予算をここにつけた、あそこにつけたとアピールしますが、道路や補助金などの予算をつけただけでは地域は良くなりません。

政治家が予算獲得に努力することは否定はしませんが、それだけでは地域が発展しないということを政治家はよくよく考えるべきです。

また、プロデューサーやコーディネーターとしての役割を果たすのが政治家の役割と思っている人もいますが、私から言えばプロデューサー気取り、コーディネーター気取りの政治家は沢山いるけど、じゃあ、この地域の疲弊は何なんですか?

地域に必要なのはプロデューサーやコーディネーターではなくプレイヤーであるべきだ。というのが私の持論です。プロデューサーやコーディネーターが沢山いてもプレイヤーがいなければ何もできない。今、地方は高齢化等で圧倒的にプレイヤーが減ってきているということなのです。

政治家は会社に訪問して従業員の前で挨拶させてもらったり、ボランティア活動をしている人たちのところで挨拶させてもらったりすることもある。現職の政治家ならイベントに来賓で呼ばれたりすることもある。しかし、政治家が本当にしなければいけないのはこういうことなのだろうか?

話を戻すと、私は政治家がプロデューサー気取り、コーディネーター気取りで振る舞うのではなく、プレイヤーとして地域に貢献したらどうかと提案したい。もっと言えばプレイングマネージャーとしての役割を果たすべきではないかと。

もはや今の時代は政治家がプロデューサーやコーディネーターとしての立場に納まることができないはずです。それほど日本の社会の停滞や地域の疲弊は厳しくなってきています。

そういう意味で、世古明さんは議員としての活動のみならず、地域を支えるプレイヤーとして事業を始めたのだと私は理解しています。

ちなみに、私の会社の商品のキクラゲも出品させてもらっています。

花開道がオープンして間もない頃、そのキクラゲを持って納品に行きました。そこでは、お年寄りが自分が作った野菜を持って、タッチパネルのディスプレイに向かい、自分の商品を登録し、値札や表示のシールを出していました。

こういう場を作ったことで、小さいながらも経済活動が起こります。経済は地域社会を支える装置の一つです。予算をつけて、あとは住民にやってくださいという政治ではなく、世古さんが自らがプレイヤーになることで、また新たなプレイヤーが地域に生まれてくるはずです。

政治というものは、議会で発言することのみで完結するものではありません。選挙だけでも政治はうまく機能しません。政治家は経済や社会との関わりの中で何かを生み出していく役割を担っているはずです。

議会活動や選挙活動は狭義の意味での政治です。政治家が、それのみならず社会や経済も包含して活動すること。それは広義の意味での政治と言えるでしょう。もっと言えば、家族とは友人とは、一人ひとりの人生とか、そういうものを個別具体的に包みこみ、積み重ねていくのが政治なんだと私は考えています。

起こした事業を持続可能にしていくことは大変ですが、がんばってほしいと切に願っています。

いずれにしても、政治家が自問自答しながら、今の政治・経済・社会の現状の中で求められる新たな役割を見つけ、提案していく時だと私は考えている。

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