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山水のスプリンクラー

 山の恵みを活用すれば、様々なことが山でできます。もちろん、それなりの技術が必要です。私たちは何の経験も実績もない中で山づくりをスタートしました。「山には何かある。」、「山づくりをすることで何かを実現したい。」というような思いではじめただけで、チェーンソーやナタの使い方もわからないままでのスタートでした。

 右も左もわからない私たちでしたが、たまたま私の父が林業に興味を持っており、協力してくれることになりました。父はもともと土木のエンジニアであり、そして、その後独立して中小企業の経営をしていた経験を持っていたので、父の技術とノウハウを借りることになりました。加えて、山づくりを指導してくれる方との出会いもあって、何とか事業をスタートしました。

 その名は伊勢志摩林農プロジェクト。勝手に名付けて仲間とともに山づくりです。

山の水を活用する!
1、水回路をつくる
2、ため池をつくる
3、山水をキノコづくりに活用する

1、水回路をつくる
 私たちの山には小さな谷があります。まず、ここの枝葉や砂利を取り除き、水の流れをつくりました。また、その谷の水や雨水を活用するために、水が流れる回路を山につくっていきました。ほとんどが人力です。時間もかかり、お金も生まない作業を何日も、何日も繰り返すのです。お金を生み出さないのはきついことですが、山の将来ビジョンを思い描き、ひたすら人力で水回路づくりを行いました。

  鋤簾で水回路をつくっていると、水に流れが出てきます。このことで山の水の流れをある程度コントロールできるようになります。私の会社の山は昔は棚田だったので、それぞれの階で水の流れをつくりました。

2、ため池をつくる
 ある程度水の流れをつくった後は、水を貯蔵するため池を作ります。これも、ほとんどが仲間と共に人力です。なかなか壮絶でした。水を逃がさずため池に集めることで、畑での作物やキノコを栽培するときに活用できます。他にも水が使えることで山の作業はバリエーションが増えてきます。今考えると、よくこんなことできたなと自分でも感心します。もう一度、やれと言われたら迷います(笑)。

 3、山水をキノコづくりに活用する
 水回路とため池で天然の山水(と雨水)を活用できるようになります。現在は山の様々なところで活用しています。とりわけキノコの生産に活躍してくれています。この山水をキノコの原木や菌床にまんべんなく撒けるようにスプリンクラーを設置しました。山の高低差と水圧を活用しているので、ゼロエネルギーで山の水を原木や菌床に撒けることができます。もちろん、山の水を活用するという意味では、キノコ等の付加価値も高まります。

 自然を活用したゼロエネルギーの山水のスプリンクラーは、素人ながらたどり着いた生産方法です。今後、もっと機能的な生産方法を見つけ出したいと考えていますが、自然を活用するという視点が変わることはありません。また、素人の私たちが一人で山づくりをすることはできません。協力してくれる方たちに感謝し、みんなの知恵を借りながら行っていきたいと考えています。

水回路は自分たちでつくれる
 専門家の技術や仲間の力を借りながら、みんなでつくるのが私たちの山づくりです。人力で時間がかかってもコツコツやっていくことが大切です。素人の私たちは水の流れを自分たちでつくれることを知りませんでした。このことに気づいたことは私たちの貴重な体験となっています。

 


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