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漫才論| ¹⁹相方との関係性は"対等"がいいの❓

大抵の場合, ツッコミよりもボケのほうが目立ちます。通常ボケることで笑いを起こすわけですから,ボケのほうが目立つのは当然のことかもしれません。しかし,ボケのほうが目立つ要因はほかにもあります。それは,ボケの人がネタを作り,主導権を握っている場合が多いということです

ネタを書いている側が,ネタ作りにおいて主導権を握るのは必ずしも悪いことでありませんが,問題なのは,その関係性が「漫才」にも反映されてしまっている場合です。二人の関係が対等ではない漫才はみづらいです。友達のはずなのに上下関係になっている二人を見て,あまりいい気がしないのと同じようなかんじです

ではどうすれば,相方との関係が"対等"な漫才ができるのでしょうか?

ネタを書いている側にできること

「ネタを書いているのは自分なのだから,自分のやり方に合わせるべきだ」と少しでも思っているなら,その考えは捨てたほうがいいと思います。相方に合わせるよう求めるのではなく,「どうすれば相方の持ち味を最大限引き出せるだろうか」と考えたほうが,絶対にうまくいきます

相方の持ち味を最大限発揮できる台本が書ければ一番いいですが,それがなかなか難しい場合は,相方に,セリフを「間違わないで言うこと」「噛まないで言うこと」「速いテンポで言うこと」を要求するのではなく,「自分のテンポでやること」「どんどんアドリブを入れること」を進めてみるといいと思います。そして,相方が間違っても,噛んでも,テンポが悪くても,それさえも楽しみ,それさえも笑いにかえられる人になれたら素晴らしいです!

自分が書いたネタのイメージでやるよう相方に強制するのではなく,相方が活きるように,相方ではなく「ネタのほうをいくらでも変える」という姿勢は大切です。どうすれば相方が楽しんで漫才ができるかを考えます。相方が漫才を楽しめていないなら,今のやり方はたぶん間違っています

このように,相方の持ち味を引き出していくなら,相方が自分にはない素晴らしい才能を持っていることに気づくようになります。そして,相方を尊敬できるようになっていきます。こうして,対等な関係(信頼関係)が生まれます

ネタを書いていない側にできること

ネタを書いてくれる相方への感謝の気持ちを持つことはとてもとても大事なことですが,だからといって,変に遠慮してしまうのはよくありません。相方の意図をできるだけ汲み取って演じようとする姿勢も大切ですが,「ただ相方の言う通りにすればいい」というスタンスは違うと思います。それだと,「ネタを書いていない側が弱い」という関係性が漫才に出てしまい,みづらくなってしまうからです

対等な漫才になるようにネタを書いていない側にできること,それは,「相方を笑わせたい」という気持ちを持つことと,アドリブを入れることです。台本の意図は汲み取りながらも,そこに自分の色を加えていきます。セリフを自分のものにし,自分らしい言い方で言ってみます。これも一種のアドリブです。また,台本にはないアドリブも入れてみます

相方は台本を書いた張本人ですから,まったくその通りにセリフを言っても絶対に笑いません。相方の想像を超える言い方,相方が思いもつかないようなアドリブを入れないと,笑いません。ツッコミであっても,ボケである相方を「笑わせたい」という気持ちでツッコみます。これによって,ネタを書いている側の活き活きとした楽しそうな反応を引き出すことができ,対等な漫才になります

相手の持ち味を引き出し合う関係

理想の漫才というのは,「どちらがネタを作っているのか分からない漫才」「どちらが主導権を握っているのか分からない漫才」だと思います。どちらが主導権を握っているのかが見え見えのコンビの漫才はみづらいですし,みていて本当につらくなることさえあります。一方,相方との関係性は対等で,相手の持ち味を引き出し合っているコンビの漫才は,心から笑えます

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❶「自分たちにしかできない漫才スタイル」を確立する方法 ❷しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる ❸「漫才台本の書き方」と「オチのつけ方」 ➍ボケやツッコミってどのようにして思いつくものなの? ❺「言い訳-関東芸人はなぜM-1で勝てないのか-」は"現代漫才論"ではない-ナイツ塙さんが何を「言い訳」しているのかが分かれば,関東芸人がしゃべくり漫才でM-1王者になる道が見えてくる- ❻漫才詩集「38」

フィクション漫才『煮豆🌱』-いとこい師匠のテンポで-
作: 藤澤俊輔  出演: おせつときょうた

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