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漫才論| ⁹⁶「ボケ」と「ツッコミ」って同じものなの❓

「『ボケ』と『「ツッコミ』というのは"正反対"の性質のもの」と思っている方もおられるかもしれませんが,必ずしもそうではありません。フットボールアワーの後藤輝基さんも,「ツッコミ論」や「ツッコミの進化」についてのインタビューの中でこのように語っています

「ツッコミとかボケとか余り考えなくなったのは事実ですね。実はツッコミもボケも言葉尻を変えれば同じモンなんですよね。『○○やないか!』って言ってたらツッコミに聞こえるだけであってね」

そこで今回は,「ボケのフレーズがどのようにツッコミにもなり得るか」について,2005年のM-1グランプリで披露されたチュートリアルの「バーベキュー」というネタのカバー漫才台本の中から,銀シャリバージョン,笑い飯バージョン,おぼん・こぼんバージョンを抜粋して解説してみます


チュートリアルの元ネタ

福田:ピーマン→ウィンナー→鶏肉→とうもろこし→ホタテ
徳井:おぉぉぉ〜ええやないかおまえ ▽ボケ
福田:よかったんかいな △ツッコミ
徳井:おまえ初めてか ▽ボケ
福田:初めてや。適当に言うただけや
徳井:おまえそれニューヨークスタイルやないか ▼ボケ
福田:どこらへんがやねんおい △ツッコミ
徳井:近代バーベキューの父トーマス・マッコイと一緒やないか ▼ボケ
福田:そいつ誰やねん △ツッコミ

これが,チュートリアルがM-1で実際にやったネタの一部分です。この中の「ニューヨークスタイル」「トーマス・マッコイ」「近代バーベキューの父」という3つのワードはすべてボケのセリフですが,それがどのように「ツッコミにもなり得るか」という点に注目しながら,以下の台本をご覧ください

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