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摂食障害とは何か?③

前書きを少し

※1と2に関しては、最後の方に貼っておきます。

先日うちの出演者の子から「やっぱり摂食障害っていうとガリガリとか食べれないってイメージなのかな?」と聞かれました。わたしは知っているので、そうじゃないことはわかります。

しかし、この質問に「そんなことないよ」とか「違うよ」とは答えられませんでした。

なんというか、自分の無力感をそっと覚えました笑。そうじゃないよ~って活動をしているわけですが、まあ響かないですからね。うん、何をやっているかよりも遙かに、誰が言っているかが重要なのでしょう。

でも著名になったり、有名になったり、権力を持った人が、声を出さなきゃ誰も聞いてくれない、という人々の価値観もいつか変わらないと、いつまでも体制は変わらないよな。わたしはわたし以外の誰かが主役になれる世界を創っていきたいよね。

ということで辞める理由はなし。

8つの群

摂食障害は精神を蝕んでいく病です。どのような影響が出るのか、それはその人の持つ気質や環境によって変わります。ある程度共通する傾向は②の程度で現れてくるようですが。※性格の傾向もありますがそれが症状由来のものか先天的なものかちょっとわからないです。

共通するものでいうと、やせ願望が強くなるとか、それも例えば「とにかく骨になりたい」という人もいれば、「今の体型を変化させたくない」という人もいれば、「太った自分は醜いので太れない」など、若干違ってきます。

これらの病理をある程度の群で分けた考え方があるので、今回はそれを紹介します。

またこちらも、いずれの性質もある程度誰にでも言えるものかとは思います。どの要素がより強く表れているのか、という指標にはなるのでしょう。

違う群の場合は、同じ摂食障害でも分かり合えないケースはしばしば散見されます。

■強迫群■

小児や思春期に多く見られる群です。周囲からは完璧主義、まじめな頑張り屋、大人や相手の求めるものへの反応が良い。など。一方で、他者の評価を中心とするため、自分の欲求や、願望を満たす能力に欠けます。また頑張るときに頑張ればいいはずが、常に頑張り続けることで、休み方を知らないことが多いです。

このタイプは結構見かけます(個人的に)。厄介なのは、これがきっかけで軽度の摂食障害に陥った場合、例えば回復後も、この考え方(認知のゆがみ)は抜けないことがあります。
その場合、やせに振り回されることはなかったり、食事は普通に取れたりしますが、またいずれ疲れ切ってしまう可能性があるので、周囲のサポートはとても大切なんでしょう。

■自閉症スペクトラム群(ASD)■

相手の気持ちや場の空気を読みとることが苦手で、対人関係に問題を生じやすいタイプです。低年齢のころは違和感を持ちつつ、何とか合わせることが出来ても、いずれのコミュニティにも参加できないでいるうちに、孤立していきます。知性が高いタイプも多いのですが、環境の変化などをきっかけに自尊心を失ってしまうことも。

こちらもタイプによりますが、相当特異な思考を持っていることが多く、場合によっては才能として評価されることもありますが、それらを受け止めてくれる環境は重要なのでしょう。
これは持論ですが「言葉にできない悲しみ」を抱えるタイプはこの群に多い気がします。独特な感情表現が悲しみとして心に生まれるのですが、まだそれを表現する言葉を持っていないときに、気分や行動にこれらが現れてしまうやつです。

■気分障害群■

不安や抑うつによって食欲が出なくなるタイプです。うつにもかなり種類があるのと、うつ症状と、うつ病は別物であることなど、診断は難しいものになりますが、こちらの群では根本に不安やうつを抱えています。

誰にでもショックな出来事があって、食事を摂れなくなることはあるのですが、それから立ち直る力や、環境があるのですが、それらをうまく発揮できないケースなのでしょう。
食事がとれずに一日泣いてしまう、という話なども聞きますから、そうした場合は気分障害の側面が強いのかもしれません。また食物回避性情緒障害という明確な理由なく食事を回避する状態もあるので、直ちに対応できないケースもあります。

■恐怖症群■

食物をのどに詰まらせたり、吐いてしまうことに恐怖を覚えてしまい、食事をきちんと摂ることができません。結果的に栄養失調になっていくことで、症状が悪化していきます。嚥下機能自体に問題があることもあるし、心理的側面だけでは測れない症状です。

幼児の場合、なぜか食べ物が怖いこともありますし、例えば幼少期に他人が嘔吐しているのを見てから嘔吐恐怖症を発症することもあります。
これらは複雑な心の働きを介して起きるため、回復にも心の働きを整えていく必要があります。また、別の群に属していた方が、治療中や生活の中で恐怖症を併発することも珍しくありません。

■身体愁訴群■

食後の吐き気や腹痛、食べても便が出ない(便秘)、または下痢、膨満感など、身体の不調により食事を拒むケース。身体の不調自体は決して嘘ではないので、回復には身体面も含めて考えなければならないのですが、摂食障害に至っていると、身体の治療も難しくなります。

特に消化管の不良など、まだまだ未解決である部分が多く、これらをきっかけに食事に問題が起きていくことも珍しくありません。また例えば間違った認識などが理由に深刻化することもあります。便秘などは多くの方が誤解しています。毎日排便が無ければ便秘と考えている人は多いですが、そんなことはありません。
これらの症状で生活に支障が出ることで、精神に影響も与えることもあります。こうした症状を、うまく自己申告できない、申告しても否定されてしまう、といった状況にも注意が必要でしょう。人体は複雑です。我々の考えている1000倍くらい。

■統合失調症群■

食事に関する妄想(毒が入っている食べたら死ぬなど)で食事摂取が出来なくなります。統合失調症の症状である妄想などがにあたるので、摂食障害として認知されぬまま症状が悪化していくこともあります。

こちらの場合は、摂食障害よりも統合失調症の治療がベースになると思います。あまり多いケースとは言えないようですが、摂食障害も悪化した場合には、かなり治療は深刻になるため、簡単ではないでしょう。

■演技性パーソナリティ群■

過剰な感情表現や、食事を拒むことで、人目を引こうとするタイプです。恐らく自傷行為や排出行為にも、こちらのタイプと、そうでないタイプと散見される気がします。こうした経験や行動は、誰にでも無いとは言えないでしょうが、障害となる背景には、これらでしか他人の関心を引けないと思い込んでいる認知のゆがみがあります。

演技というと、嘘をついているように聞こえますが、パーソナリティ障害も摂食障害も、立派な精神疾患です。
またどこまでいっても本人の心のうちはわからないので、本人以外が、本人の感情を決めつけてしまうのは良いケースとは言えないでしょう。それでも、心の状態がどのような地点にあるのかということは、深く読み取らないとならないので、難しい症状と言えます。

■境界性パーソナリティ群■

自分自身の衝動に振り回されて、対人関係や感情表出は苦手になってしまい、生活に支障が出るタイプ。慢性化した摂食障害であると、そのコントロール不能な衝動に振り回されることも多い。衝動的行動、二極思考、対人関係の障害、慢性的な空虚感、自己同一性障害、薬物やアルコール依存、自傷行為や自殺企図などの自己破壊行動が見られる。

境界性パーソナリティ自体、さまざまな症状があります。心の働きによりどのように現れるかは難しいものです。
共通点としては、生きづらさであったり、生活が困難になることです。が、摂食障害自体がそもそも生きづらく生活も困難になるため、そこからさらに境界性に入っていくことで、治療も複雑になっていきます。

■・・・■

はじめは辛い症状であった摂食障害が、アイデンティティや心の支えにすり替わってしまい(そして実際になっているわけだし)、治すことへの葛藤を生んでいたり、症状を都合よく解釈したり、といったケースも見られます。

もちろん、そうした部分が本人にとってあるのは事実ですし、生きづらさが解消していかなければ、根本的な治療に進むのは大変難しいといえるでしょう。が、これは当事者ではないから述べることが出来る意見だったりします。

否定するのもまた、我々ではなく、当事者本人が導き出す答えなんじゃないかな(持論)。その手助けは、出来るかもしれませんが。

そしてなにより、専門性の高い知識や経験が無ければ、これらの症状を簡単に取り除くことはできません。癒したり願ったり祈ったり一緒に笑ったり話したり、そういうことは出来ると思うけどね。

これでも一例です

さて今回は8つの群を紹介しましたが、これも一例ですし、治療するにあたってこうした群に分けることが、有効なために考えられた知識です。

しかし少なくとも傾向だけでもこれだけの違いがあるのですから、簡単に「摂食障害っていうとガリガリとか食べれないってイメージ」とか「ダイエットが失敗するとなる」とか「親子関係が原因だ」とか、そういう話ではないと思います。

そうじゃないよ!と声に出せる人が増えること。間違った情報(あるいは誇張された情報)が出ているときに、そんなことないんだけどな~!と思える人が増えること。

その積み重ねが、当事者が治療に向かいやすくなるための最初の第一歩なのかな。どうだろうね。

いろんな人の目に届くといいです。シェアとか紹介してくれると助かります。次回は原因やきっかけについてのことを書こうかなと。

1はこちら。

2はこちら。

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