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不動産競売 入札編②現況調査報告書

不動産競売の一番の基礎。3点セット。

今回はこの3点セットの中でも
「現況調査報告書」についてみていきます。

■現況調査報告書とは?
競売の申し立てが開始されてからのいきさつを記録しています。
執行官が現地へ行って確認したことなど様々な情報がでています。
ここの中身をしっかりと見ることで競売のリスクは大きく低減できます。

では早速ご紹介していきます。

1.【不動産の表示に関する内容】
「物件目録」(ぶっけんもくろく)
と、呼ばれるものが資料としてついています。
これは、競売になっている不動産の情報が記載されています。
法務局で全部事項証明書を取得する内容で、所有者などの情報は省略されて、物件の情報のみ記載されています。

★住居表示
資料についている住所?みたいなのは、すべて地番や家屋番号といった、登記手続きをする上で使用する番号を使用しています。
なので、住居表示と地番が同じところもあれば違うところがあります。
郵便物が届くのが住居表示ですね。

★建物について
誰がその建物を占有(せんゆう)しているのか?
※占有とは
簡単に言うとそこに住んでいる人です。

★管理費等の状況(分譲マンションの場合)
マンションに支払う①管理費、②修繕積立金など毎月支払うお金の支払い状況を記載しています。滞納があるなし、滞納額がここで記載されています。

★管理費等照会先
通常の分譲マンションだと管理会社と呼ばれる会社が管理をしています。そこの名前が記載されています。
稀にマンションに住む住人たちが管理している場合もあります。
その場合は「自主管理」などと記載がされます。

★敷地権(分譲マンションの場合)
分譲マンションの場合は、土地と建物が一体物として考えます。いわゆるセットになっていると思って頂ければ大丈夫です。
なので、土地と建物を別々で売買することができない。(区分所有法という法律で定められています)
一戸建ての場合は、土地と建物それぞれの利用が可能となるため、土地についても誰が占有しているのかが記載されます。

★執行官保管の仮処分
これは、競売での申し立て以外に裁判が行われている、いない。が記載されます。ほとんどの場合は「ない」にチェックが入ります。稀に入っているのでその場合はどのような裁判が行われているのか?これも同じ資料の中で紹介されています。

2.【その他の事項】
目的物件のことが紹介されています。
例えば、
・対象物件がどこに位置しているのか?
・表札の有無、ポストの有無など。
・課税面積について
・道路状況など

3.【関係人の陳述等】
・所有者のコメント
・管理会社のコメント
・破産管財人のコメントなど

4.【執行官の意見等】
執行官が占有者の状況をどのような関係性があるのかをコメントしています。
例えば、
・「所有者が家族とともに住居として使用占有しているものと認めた。」
・「所有者が、住居(空家)として使用、占有しているものと認めた。」
・「所有者と占有者の間で賃貸借が存在するとの事であるが、以下の理由で正常な賃貸借が存在するかどうか疑問である。」
・「所有者が動産を残置し空家の状態で使用占有してものと認めた。」
などなど。
ケースごとによってコメントが変わります。
しかし占有状況がどうなっているのか?ここではその点を見落とさないよう注意しましょう。

5.【調査の経緯】
執行官がこの競売物件の調査をしてきた記録が記載されています。
・法務局で資料を請求した。
・現地へ行った。
・電話をした。
などの記録が書かれています。

6.【法務局で取得できる資料】
①公図(対象の不動産がどこにあるのか?専用の地図に記載されています)
②各階平面図(建物平面図)
対象のお部屋がどこにあるのか?建物はどのような大きさか?
③地積測量図(全部事項証明書に記載されている土地の面積を計算した図面)

7.土地建物位置関係図
建物がどこに位置しているのかを記載している簡易図面です。
※番号が入っている場合は、写真撮影した角度と番号です。

8.間取り図
お部屋の間取り図面です。
※番号が入っている場合は、写真撮影した角度と番号です。

9.物件の写真
7.8.に記載された番号の位置から取られた写真が掲載されています。

大まかに言うと上記の内容が「現況調査報告書」に記載されています。
この中から最低限の情報を見れるようになると物件選定も楽になります。

ポイントは!
1~4まではしっかりと理解できるようになりましょう!

いかがでしたでしょうか?
見るポイトンも多く情報も多いので見慣れるまでは大変かもしれませんが競売をする上でここが理解できないと前に進むのはお勧めしません。
わかならくても、他の入札物件の3点セットと見比べてみるとよいでしょう。

次回は評価書について説明していきます。

Youtubeでは、動画での解説をしています。
よろしければ、併せてご覧くださいませ。

※筆者の紹介

前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。

勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。

やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?




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