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競売入札シミュレーション 大阪地裁本庁R2.6.17開札②

今回取り上げるのは下記の競売物件です。

大阪地裁本庁管轄で開札日は6月17日です。
入札期間は6月3日~10日までの間に入札が必要です。

事件番号 令和01年(ヌ)第256号
売却基準価額 1,830,000円
買受申出保証額 370,000円
買受可能価額 1,464,000円

種別:土地
物件番号:1
所在地 大阪市生野区小路東三丁目
地目(登記):宅地
土地面積(登記):91.63m2
用途地域:近隣商業地域
土地の利用状況:
建ぺい率|80%
容積率|300%
種別:建物
物件番号:2
所在地 大阪市生野区小路東三丁目
種類(登記):居宅
構造(登記):木造瓦葺2階建
床面積(登記)
1階 53.71m2
2階 53.71m2
間取り:4LDK
敷地利用権:所有権
占有者:債務者・所有者
築年月:昭和27年

■3点セットより■

※裁判所調査事項
・土地の測量図が備え付けされていない
・建物図面では土地は四角形なのが、公図では旗竿地の形状になっている。
・土地の面積は登記簿よりも少ない可能性がある。
・建物1階、2階の複数個所で天井に雨漏りあり。床面も損傷個所あり。
・建物外壁、内壁共にクラックが存在。
・建物2階部分は損傷が激しく奥の方へは危険を伴うため進入することはできなかった。
・西側隣接地の建物と接着されていた。

※占有者コメント
・本人が居住
・10年間2階に上がっていない
・2階に上がるのは大変危険

※前面道路に接する幅は10㎝程度。
再建築不可の物件。

※室内写真より
・雨漏りによって天井が抜け落ちそうになっている。
・設備は改装をされているが古い。

※評価書より
・都市計画道路予定地に該当。(但し調査時点において計画決定のみ)
・建築物の建築は許可が必要。構造等に制約を受ける。
・ライフライン
上下水道、ガス配管、下水道いずれも利用はされていそうだが、引込経路不明。


■入札時のポイント■

1.再建築不可
2.ライフラインの引き込みが不明

この2点をどうとらえるか?
考えられるケースとして、

1.再建築不可
道路に接道する幅が10cm程度で残りは東側の敷地を利用して通行しているように見えます。
そのため、所有者が代わった場合、通行利用料を求められるケースも考えられます。

そのため本人が住む分であればまだ気を遣いながら利用されると思いますが、賃貸でお貸しになる場合は、賃借人はそこまで配慮されないと思うので住む方には注意を促さないと隣地の方ともめることが想定できます。

2.ライフラインの引き込みが不明。

これもよくあるケースですが、今まで住んでいた方に対しては何も言わなかったけど、所有者が代わったことによって、引込管をやり替えて下さいと言われることがあります。
そのようになると接面している道路幅が10cm程度であるならば現実的にその間から通すのが難しいと考えられるので、やはり他人地を利用して引込のやり直しが求められる。
結果、やりかえができないため使用料を支払う。そのようなことも想定されます。

■安い理由を理解する■

土地の面積や建物延べ床面積を見ると大阪市内でも広く取れていますが、そのほかに付随することが色々と問題を抱えています。

名義が変わった後、修繕して賃貸で貸そうと考えても隣接する方々との調整なども必要があると考えられるため思う以上の手間暇がかかるでしょう。

■入札予測■

この場合は、改装後の転売をされる買取業者の入札はないと考えてよいので、このような物件を専門に取り扱う会社のみでの入札と考えられます。

なので入札数は1~3と予測します。

入札額は近隣の家賃を参考にして算出するのが一般的な金額の立て方です。

家賃設定を8万円(改装後)として考えます。

20%の利回りで計算してみましょう。

8万円/月×12ヵ月=96万円(年間)

96万円÷20%=480万円

売却基準価額が183万円。改装費は400万円と考えると約500万円弱が原価です。

改装内容次第ですが、至る所で損傷が多くあるため、原状回復程度でもかなりの費用がかかることは覚悟が必要ですね。

後は、ご自身で入札する際の利回りをどれほどにするかです。


今回の個人的な入札シミュレーションは

買受可能価額146.4万円
から
売却基準価額の183万円。

この間で入札金額を立てて入札をします。

先ほども記載しましたが、安い物件には安い理由が必ず存在します。
今回は初心者向けではありません。

中級から上級向けとなりますので、安いと言って飛びつくと後から後から色々な問題がでてくるので値段だけで入札するのは差し控える方がよいでしょう。

※筆者の紹介

前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。

勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。

やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?


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