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不動産競売 入札編③評価書

不動産競売の一番の基礎。3点セット。

今回はこの3点セットの中でも
「現況調査報告書」についてみていきます。

■評価書とは?

不動産鑑定士が作成したものです。

めくった1枚目にこのような記載があります。

「本件評価は、民事執行法により売却に付されることを前提とした適正価格求めるものである。
したがって、求めるべき評価額は、一般の取引市場において形成される価格ではなく、一般の不動産取引比較しての競売不動産特有の各種の要因(売主の協力が得られないことが常態であること、買受希望者は内覧制度によるほかは物件内部の確認が直接できないこと、引渡しを受けるために法定の手続きを取らなければならない場合があること、瑕疵担保責任がないこと等)等を反映させた価格とする。」

このような説明がされています。

ここで、ポイントは

1.一般の取引市場において形成される価格ではなく
2.競売不動産特有の各種の要因等を反映させた価格とする。

競売のことを少し知っている方はおわかりでしょうが、競売で購入した場合は買った人の責任で処理すること。
そのようなことがずばり書いています。

なので、買主側に不利になることもあるので一般市場に比べて安く評価されていると言えます。

【目的物件の位置・環境等】
こちらでは物件が存在する場所の情報が記載されています。
主だった項目だと

1.最寄りの交通機関
2.物件が存在する場所の法令の規制
3.道路状況
4.ライフライン
など。

いわゆる販売物件の資料に記載されている内容が書かれていると思って頂いても良いかもしれません。

我々不動産会社からすると「重要事項説明書」を作成する際に役所へ行って調べる内容が記載されています。

こちらには、土地、建物の情報がそれぞれ記載されています。(建物がある場合)

建物がマンションの場合だと、

1.マンション名
2.総戸数
3.建物の築年月(建物の経済的残存耐用年数)
4.建物の構造
5.建物の設備
6.管理形態(管理組合の有無)
7.建物を建てる際に必要な「建築確認」「検査済み証」の有無
8.マンション全体で積み立てされている修繕積立金の額
9.今後の大規模工事の予定の有無
など

こちらも上記と同様に販売資料に掲載される内容以上に詳しく書いています。
裏返した見方をすると、物件を選ぶポイントを抽出したのが評価書にでていると言えます。

例えば、
マンションの場合、修繕積立金の積立額は大事です。
積立額が少ないと将来大規模修繕の工事ができない。もしくは工事するためにお金がないので、各住戸に協力金として一時負担金の話が出る場合も考えられます。

専有部分の概要

1.部屋の場所や位置、部屋番号
2.専有面積(お部屋の広さ)
3.間取り
4.室内の仕様
5.管理費等(ここでは毎月マンションへ支払う明細や滞納額が記載されます)
6.専有部分の利用状況等(誰が使用しているのか?)
7.特記事項として(管理費等以外に滞納がある場合はこちらで記載されます)

マンション特有の問題として、管理費等の滞納金があります。
土地や戸建ての場合はありませんが、マンションの場合は必須です。

なので、この滞納額はしっかりと計算してもれがないようにしましょう。
滞納がない場合、滞納が少しある場合、滞納がいっぱいある場合ではまったく違ってきます。

滞納がいっぱいある場合は、遅延損害金として別途請求がされているケースありますので注意が必要です。
ただし、その分、競売の評価額へ反映されるため評価額は安くなります。しかし、購入した後にはご自身が滞納金を支払わなければいけないので、結果的には同じになります。

ここまでが、競売物件の物件について検討するための資料となります。

それ以降については、不動産鑑定士が鑑定評価するにあたっての評価方法が記されています。

ここではポイントだけお伝えすると

1.個別格差を見る
2.批准価格を見る
3.キャッシュフロー表を見る
4.評価額の判定を見る

この4点を見るとあらかた今回の競売物件の評価された経緯や個別の事情を見ることができます。

最初は流し読みでも良いので資料を見てみてください。
見ていくと「うん?」ってなる時がくるので、その時はご自身独自の考え方が生まれる兆しです。

※筆者の紹介

前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。

勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。

やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?


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