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競売入札シミュレーション 神戸地裁尼崎支部R2.8.6開札③

今回はファミリータイプのマンションをシミュレーションしていきます。

築年数が古い建物なので、買取再販事業者との競合も落札価格が近いところでの競合になるか?

早速見ていきましょう!

事件番号 令和01年(ケ)第109号
売却基準価額 3,690,000円
買受申出保証額 740,000円
買受可能価額 2,952,000円

種別:土地 持分売り
物件番号:1
所在地:尼崎市大島二丁目
地目(登記):宅地
土地面積(登記):607.51m2
用途地域:第一種中高層住居専用地域
建ぺい率:60%
容積率:200%
持分:36分の1

種別:土地 持分売り
物件番号:2
所在地:尼崎市大島二丁目
地目(登記):宅地
土地面積(登記):1473.76m2
用途地域:第一種中高層住居専用地域
建ぺい率:60%
容積率:200%
持分:36分の1

種別:区分所有建物
物件番号:3
所在地:尼崎市大島二丁目
種類(登記):居宅
構造(登記):鉄筋コンクリート造1階建
専有面積(登記):3階部分 51.30m2
間取り:2DK 
バルコニー:向き
バルコニー面積:あり
管理費等:16,000円
敷地利用権:所有権
占有者:債務者・所有者
築年月:昭和44年5月
階:3階
総戸数:36

■ポイント■
★物件明細書より
本件所有者が占有している。それ以外にはコメントはありませんでした。

★現況調査報告書より
1.所有者が居住されているようです。
2.3階建てマンションの3階部分に位置する。
3.室内は家財道具が散乱しているようです。そのため細部まで確認ができなかったとコメントがります。
4.天井には雨漏り跡があったようです。
5.管理状態は不良で、全体的に老朽化が進んでいると思われたようです。
6.近日中に建物の劣化診断を実施予定との事です。

※関係人の陳述等より
・債務者兼所有者のコメントより
1.私が住んでいる。
2.室内の不具合として押入れの天井から雨漏りがある。屋上の防水が悪いようです。
3.湯沸かし器が使えない。
4.室内でペット飼育はしていない。
5.室内で人が亡くなったと言うことはない。
6.建物の地下にあるガス管からガス漏れがあるとの話が大阪ガスと消防署からあるようです。
7.建物の耐震補強はされていない。
8.物置を使用している。登記もされていたと思う。

※間取り及び室内写真より
1.2DKの間取りで和室が二部屋あるようです。
2.室内は整理されていない状態で荷物があふれているの様子が窺えます。
男性がお一人で住んでいるかと思います。
3.物置の写真も写っていました。

★評価書より
1.最寄駅から約1.1kmの場所にあります。徒歩約14分です。
2.経済的残存耐用年数は約5年程度となっています。
3.総戸数36戸は2棟合わせた全体の数のようです。
4.マンション全体の修繕積立金は約6600万円
5.近い将来の大規模修繕計画があるようです。(近日劣化診断実施予定)
6.基礎となる価格として合計527万円が評価額として算出されています。
7.評価人が算出した賃料の設定額は賃料、共益費込みで3.85万円/月。年間だと46.2万円です。

【では、入札時のシミュレーションを見ていきましょう。】

計算式1【売却基準価額での計算】
46.2万円÷369万×100=12.52%(表面利回り)

計算式2【基礎価額での計算】
46.2万円÷527万×100=8.76%(表面利回り)

計算式3【計算式2より2割減で求める計算】
46.2万円÷421万×100=10.97%(表面利回り)

上記のような数字となりました。

過去のレインズよる成約事例を見ると、直近での事例登録はありませんでした。4,5年前の成約事例では450万~500万での事例が登録されています。

建物の建築年度を考えると現在も同様の目線になるかと思いますので、買取再販事業者が改装済みで販売するとしても580万円スタートが一番高い目線かと思います。

そちらから逆算すると、高く見積もっても260万円が上限なようなきがします。最低のライン以下での価格です。

となると、買取再販事業の入札数は限りなく0に近い感じがします。

そうなると収益目線での入札で十分落札できるか?と、思いたくなるのですが、別の問題があります。

それは、物置などの持ち分が債務者兼所有者と故人の持ち分が存在することです。分離して譲渡・処分ができないとされているので、今回の競売にあたって同様に名義が移るのではないかと思うものの、物件目録にその記載がないため、現在では不明確です。
入札前に今一度確認が必要ですね。

入札としては狙い目な気がしますが、退去交渉と複合的問題を考慮して入札の有無を検討する必要があると感じました。

個人的な入札予測は、見送りです。

買受可能価額も少し高い気がしますので、今回は入札を見送り、次回にもでてくればその時に考えても良いかと感じました。

※筆者の紹介

前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。

勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。

やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?

現在下記のホームページでも競売投資のお話も書いています。

併せて読んで頂けたら幸いです。


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