競売入札予測3

今回取り上げる物件は

令和2年3月9日閲覧開始 開札日:同年4月6日

事件番号令和1年(ケ)第680号 売却基準価額12,300,000円

大阪市淀川区西宮原一丁目6番地12、6番地20のマンション 

面積80.74㎡ 2LDK+納戸のファミリータイプのマンションです。

■昭和55月1月築 ■3階部分 ■管理費等19,380円 ■総戸数40戸

では、裁判所の資料である3点セットをみていきます。

■○○が占有している。同人が留置権を主張するが認められない。

■滞納金2019年9月 調査現在 滞納無し

■日本ハウズイング株式会社

■表札の表示あり

■占有者の契約内容等

 ●占有開始時期:平成12年6月
 ●管理費及び修繕積立金は、私が毎月支払っています。

■占有者代理人のコメント

 ●平成12年6月から占有者は所有権を取得してから今まで住み続けている。
 ●平成22年9月に占有者から現所有者へ所有権移転しているが売買代金の受け取りをしていない。
 ●代金を受け取っていないので占有権限として留置権を主張。
 ●売買契約書は残っていない。
 ●現所有者が占有者の代わりに返済をすると約束し占有者はそのまま住み続けてよいと説明を受けて、確約書を交付している。
 ●占有者は無償で住んでいたが、現所有者から賃料の支払いを求めてきたので占有者代理人(当職)が反論書面を送付。現所有者から応答はなし。

上記のコメントの記載があり。言葉一部変えています。
簡単にまとめると占有者から現所有者へ売買で名義が移った。
しかし、売買代金をもらっていない。でも、売買契約書はない。
売買代金を受け取っていないので留置権として引渡しをせずそこに住んでいる。

■占有者及び占有者代理人との面談 あり

■所有者とは連絡がとれず。

■執行官の調査履歴 令和1年10月11日~同年11月5日

■立ち入り調査当日、有者及び占有者代理人立会。

■室内写真のチェック

・ご家族で住んで切る様子が伺える。キッチンの雑貨及び浴室のシャンプーなどアメニティグッズより。
・トレーニング機器が見受けられる。
・子供がいる様子は伺えない。
・生活感がある。 


上記よりリフォーム費用を考える。
キッチン、浴室は美装工事で綺麗になって使えそうな印象です。ただ買取再販事業では交換されるレベルです。
一般の方であれば改装費120万円。買取再販事業であれば最低350万円程度と予測。

■修繕積立金:約2.2千万円 

■大規模修繕予定計画なし。

■東北角住戸 

■駐車場敷地内空きなし。

■浴室の追い炊きができない。

■特記事項として、現況調査報告書によると、占有者が占有権限として留置権を主張しているが、執行裁判所に確認したところ、当該留置権は成立しないとの回答を得た。
つまり、執行官は留置権の存在は否定したと言えるでしょう。

評価人の算定基準価額1757万円

今日時点でレインズでは販売物件はありませんでした。過去の取引事例を見ると約7年前での成約事例しかありません。現在の市場の参考として利用ができません。直近の成約事例でみると坪90万前後といったところでしょう。

まず、再販会社が落札する場合の金額を考えてみます。

再販設定価格2480万円 

全面フル改装と落札時の経費+自社利益の総額が

約770万円とみました。

2480万円-770万円=1710万円が入札価格です。

今回の落札予想価格は1710万円!

この結果がわかるのは4月6日です。BITで公開されるのは翌日以降になるので、落札結果を見たらご報告します。


同額で個人で落札できた場合、不動産会社を通しての購入ではないので、仲介手数料はかかりません。改装費は350万円で予測を建てました。

再販設定価格2480万円からリフォーム費用350万引くと2130万円が物件価格となります。

この場合の仲介手数料は約76万円。

それも物件価格から引くと2054万円。

市場で購入するには2480万円+諸経費です。

簡易計算で1割が必要と考えると2700万弱が必要です。

それから見ると2700万円-2054万円=646万円安く購入できることになります。

2054万で入札すると落札予測が1710万円なので、このままだとかなり差を開いて落札してしまいます。

本気で落札するんだ!って思われるなら1800万円あたりが入札価格かと考えます。


今回のポイント

現在住んでいる占有者が問題ですが、執行官のコメント通り占有権限による留置権は認められないとの判断から、大きなリスクは考えなくても良いと考えます。また占有者代理人のコメントで当職と言う言葉を使用しているので、恐らく弁護士が介在していると思います。法律の専門家が入っているならばそれなりのことはあるかもしれませんが、法律に定められたことを否定するには厳しいだろうと考えます。
退去に伴い何かしらの交渉事はあるかもしれませんが、最終的に強制執行で退去頂く運びになると思われます。
入札の際には強制執行の費用もある程度考えたうえで入札が必要かと考えます。

※筆者の紹介

前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。

勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。

やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?


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