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競売入札シミュレーション 神戸地裁本庁編R2.9.15開札④

今回も神戸地裁本庁からピックアップです。

三木市の一戸建ての物件です。

さて今回はどのような内容か見ていきましょう。

事件番号 令和01年(ケ)第185号
売却基準価額 2,910,000円
買受申出保証額 590,000円
買受可能価額 2,328,000円

種別:土地
物件番号:1
所在地:三木市自由が丘本町
地目(登記):宅地
土地面積(登記):200.49m2
用途地域:第一種低層住居専用地域
建ぺい率:50%
容積率:100%

種別:建物
物件番号:2
所在地:三木市自由が丘本町
種類(登記):居宅
構造(登記):木造スレート葺2階建
床面積(登記):
1階:52.17m2
2階:38.09m2
床面積(現況):
1階:約67.17m2
2階:38.09m2
間取り:
敷地利用権:所有権
占有者:債務者・所有者
築年月:平成1年2月

■ポイント■
★物件明細書より
3.買受人が負担することとなる他人の権利
【物件番号1~2】
なし
4.物件の占有状況等に関する特記事項より
【物件番号3】
本件共有者らが占有している。
5.その他買受の参考となる事項より
【物件番号3】
なし

★現況調査報告書より
・建物所有者が本建物を住居として使用している。
・1階の床面積が約15㎡ほど未登記の増築部分があるようです。
・占有状況は、臨場時に在宅していた共有者である両名の陳述及び立入調査をした結果、その他に第三者による占有を示すものは認められない。
・建物には次のような損傷個所などが認められた。
主要な部分のみピックアップしています。
①1階リビング、洋室の天井に雨漏り跡
②結露によると思われるクロスの剥離、カビ
③台所付近の床に若干の傾斜
④室内で小型犬が1匹飼育されている。

※関係人の陳述等より
・共有者(A)より
1.私と共有者(B)と居住している。その他の第三者の占有は無い。
2.近隣土地所有者と境界等でもめたことは無い。
3.24~5年前に増築。
4.大雨や台風の時に雨水が染みてくる程度の雨漏りがある。
冬は気温が低いので室内に結露が発生する。ライフラインの設備等の不具合箇所はない。
5.台所の傾斜は住んでいて感じない。1階東端の洋室を増築する際に台所付近をジャッキアップしたことがある。これは阪神大震災の影響か、池が東側にある影響で建物が傾いたのか?台所の勝手口のドアが開閉しにくかったから。浴室のタイルの剥離も建物の傾きに関係があるかもしれない。
・共有者(B)より
両親の面倒を見るため一時的に別の場所で寝泊まりしている。私の動産類は本件建物内に置いている。

※執行官の意見より
記載がありませんでした。

※間取り及び室内写真より
1.土地建物位置関係図に増築部分の記載があります。
2.建物間取り図も同様に増築部分の記載があります。
3.間取りは2階建てで5LDKとなっています。
4.室内写真にて生活雑貨や家電製品など生活感が感じられます。
5.室内は丁寧語使用されている様子が窺えます。

★評価書より
1.最寄駅から徒歩24分。約190mと記載があります。
2.接面状況:北西側約6.8m市道
3.経済的残存耐用年数はほぼ満了しているとされています。
4.ライフラインについて
上水道、ガス配管、下水道すべてありとなっています。
5.背後地は池となっており、周囲を遊歩道が巡っていると記載があります。
6.保守管理状態はやや劣る。
7.基礎となる価格として約581万円が評価額として算出されています。
8.評価人の賃料設定がないので近隣の募集事例の賃料でみると6.5万円/月。年間で78万円となっています。

【では、入札時のシミュレーションを見ていきましょう。】

計算式1【売却基準価額での計算】
78万円÷291万×100=26.80%(表面利回り)

計算式2【基礎価額での計算】
78万円÷581万×100=13.42%(表面利回り)

計算式3【計算式2より2割減で求める計算】
78万円÷464万×100=16.81%(表面利回り)

上記のような数字となりました。

売却基準価額近い金額で落札できれば良さそうです。
個人的には前回三木市の落札結果を踏まえると350万円まで表面利回り22%この辺で落札されそうな気がします。

今回の物件のポイントは

1.未登記の増築部分がある。
これは転売する場合に住宅ローンを利用される買主さんがいてると登記を入れてからの売却になるので登記費用が発生します。
2.建蔽率、容積率の問題
今回は土地の面積が大きいので、未登記の建物部分を登記しても法令の範囲内でおさまりそうです。
3.雨漏り跡
3点資料を見ると、大雨、台風などの際に雨漏りが発生しているので、早めに雨漏りの対応はしておきたいですね。
4.建物の傾斜
これが一番気になるキーワードです。
一般の方は建物の傾いた家に入ることが少ないと思うので少しやったら大丈夫かな?って思われがちですが、私は仕事柄色々なお家に入らせて頂きます。その際に物件を管理している不動産会社さんから傾き感じるかもしれません。ただ個人差があるのでそう感じられないかも知れませんね。
そう言われてお部屋に行くとかなりの傾斜を感じます。
個人差はあるといえど、誰かが傾きを感じると言うことは大抵の方は傾きを感じると言うことです。

以上の点を考えてどのようなリスク対策を講じれるか?それに対する費用がどれくらいかかるのか?その点を抑えておきましょう。
ただ、傾きだけは実際に中へ入らないとわかりませんので、出たとこ勝負になるかと思います。

※筆者の紹介

前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。

勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。

やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?

現在下記のホームページでも競売投資のお話も書いています。

併せて読んで頂けたら幸いです。


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