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競売入札シミュレーション 神戸地裁尼崎支部編R2.9.17開札①

今回は神戸地裁尼崎支部からピックアップです。

1R物件です。

さて今回はどのような内容か見ていきましょう。

事件番号 令和01年(ケ)第120号
売却基準価額 1,800,000円
買受申出保証額 360,000円
買受可能価額 1,440,000円

種別:区分所有建物
物件番号:1
所在地:尼崎市南武庫之荘三丁目
種類(登記):居宅
構造(登記):鉄筋コンクリート造1階建
専有面積(登記):1階部分 16.02m2
間取り:ワンルーム 
バルコニー:なし
バルコニー面積:なし
管理費等:9,000円
敷地利用権:所有権
占有者:あり
築年月:平成1年3月
階:1階
総戸数:47

■ポイント■
★物件明細書より
3.買受人が負担することとなる他人の権利
【物件番号1】
なし
4.物件の占有状況等に関する特記事項より
【物件番号1】
転借人【A】が占有している。現賃借人【法人A】の賃借権は抵当権に後れる。ただし、代金納付日から6か月間明け渡しが猶予される。
5.その他買受の参考となる事項より
【物件番号1】
なし

★現況調査報告書より
・その他の者が本建物を住居として使用している。
・所有者←→賃借人(転貸人)との契約内容
①契約開始は平成30年4月より
②賃料36,000円
③敷金等はなし
④譲渡転貸可
⑤その他
本物件を賃借人の選択した第三者(転借人)に転貸することを条件とする。転借人の情報を開示しない。賃貸人は転借人の選択変更に異議を述べられないものとする。
・賃借人(転貸人)←→転借人(占有者)との契約内容
①契約開始は平成30年8月より
②賃料33,000円(共益費8,000円含む)
③敷金等はなし
・本件目的建物の利用状況からは、関係人の陳述の通りと推認された。
・債務者兼所有者の【B】から、賃貸人【B】、賃借人【法人A】との間の平成30年4月付の貸室賃貸借契約書写しが提出された。
・総戸数は47戸、エレベーター、集会室、トランクルーム、ゲストルームは無い。駐車場は無い。

※関係人の陳述等より
・転借人、占有者より
1.私は、本件目的建物の賃借人です。
2.平成30年8月より入居、賃貸借契約書を提示
3.建物の位置関係で、結露が生じる
※マンションの場合、気密性が高いため、北側のお部屋は結露が貯まりやすいので一般的かと思われます。
4.たまにガスコンロが点火しない時がある。

・賃借人(転貸人)【法人A】の従業員より
1.目的建物の賃貸借契約について、現在は当社と物件所有者との契約ですが、本件競売手続きにより所有者が変更した場合は、当社との賃貸借契約は解約されます。
その後は、転借人と新所有者との直接契約となります。

※間取り及び室内写真より
1.1R洋室のお部屋のようです。
2.浴室、トイレ、洗面は一体型のユニットバス。
3.下駄箱があり。
4.ミニキッチンがあり。
5.コンロは1口コンロでガスコンロとなっています。
6.室内写真からは洗濯機置き場がわかりませんでした。バルコニーなしで室内にも洗濯機置き場が見当たらないのでどうされているのか?

★評価書より
1.最寄駅から徒歩9分。約650mと記載があります。
2.総戸数が47戸
3.経済的残存耐用年数は約10年とされています。
4.5階建ての建物でエレベーターはなしです。
5.管理人は日勤ではなく巡回となっています。
6.マンション全体の修繕積立金の額は約1100万円となっています。
7.近い将来において大規模修繕工事実施の計画はなしとなっています。
8.基礎となる価格として約257万円が評価額として算出されています。
9.転借人の賃料でみると3.3万円/月。年間で39.6万円となっています。

【では、入札時のシミュレーションを見ていきましょう。】

計算式1【売却基準価額での計算】
39.6万円÷180万×100=22%(表面利回り)

計算式2【基礎価額での計算】
39.6万円÷257万×100=15.40%(表面利回り)

計算式3【計算式2より2割減で求める計算】
39.6万円÷205万×100=19.31%(表面利回り)

上記のような数字となりました。

売却基準の計算で20%を超えているので、まずまず狙い目ではある物件ですね。

ただ、気になっていた賃借人(サブリース会社)の存在でしたが、コメントで新所有者が落札された後は、サブリース会社は関係なくなり、現在の転借人と直接契約とのコメントがありましたので、そのまま契約を解除して新たに募集をするのか?それとも現在いらっしゃる転借人と新たに契約を巻きなおして継続するのか?
選択できるのは良いですね。

バルコニーがない点を考えると、事務所使用も視野に入れた募集も検討になるやもしれませんね。これは管理規約をチェックする必要はあります。

総合的にみると落札額は計算式2の257万円前後での落札となりそうかな。

※筆者の紹介

前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。

勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。

やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?

現在下記のホームページでも競売投資のお話も書いています。

併せて読んで頂けたら幸いです。


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