杉並区議会における委員長職権について私見

区議会における委員長の職権について私見をまとめました。

杉並区議会委員会条例 第8条(委員長の開閉権等)では 

委員長は、委員会を開閉し、議事を整理し、秩序を保持する。と規定されています。

この条文を解釈し委員長の「議事整理権」と読み替えることがありますが、議事整理権とは地方議会運営事典によれば、議事日程の決定、開議の宣告、議題の宣告、議題の審議の進行管理、散会延会の宣言等会議の運営の主宰者として与えられた権限とされています。

委員会は本会議による議案(請願陳情を含め)の付託により審査が開始されますが、付託を受けた委員長は委員に招集通知を発し、そこに記載された期日において委員会を開く手続きを行わなければなりません。(杉並区議会会議規則第56条 招集手続)

また議会における審議、審査の際には、議長や委員長から「只今から議案第〇号(陳情〇号)を上程する」旨の議題宣告をしなければなりません。

これら招集通知や議題の宣告などは審査等を行うために必要な手続き規定であり、これを長の職権により独断で行使することは民主主義の本旨から乖離した運営と言わざるを得ません。

国会においても議事手続規定の全てをそのまま適用する議事進行は見られず、会議招集や議題決定などは委員会の理事会における事前協議方式によることが長年の慣行となっておりますが、これは委員長の中立公正を確保するための民主的統制とされています。

杉並区議会では議会運営委員会を除き、国会のような各委員会に理事会が設置されていませんが、これに代わる事前協議の場として長年の慣例で行われてきたのが、「正副委員長による事前打ち合わせ」と理解してきました。

今回、区民生活委員会における正副委員長の事前合意がないままに、ひわき委員長の独断で陳情を議題とし、審査を強行しました。

この行為は、正副委員長による事前協議を軽視し、これまでの杉並区議会の議会運営で、政党・会派の違いを超えて穏当に進めようとしてきた先人の知恵と経験の結晶を蔑ろにする行為であります。

今後の区議会運営においては、長の権限をいたずらに振り回し、会派、議員間に要らぬ分断を招くことがないよう、統制の取れた円滑な議論の場としていかなくてはなりません。


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