想像力


今年に入ってから最も目にする言葉といえば、“体調不良”であろうか。

新しく生まれた言葉でも概念でもなんでもないのだが、最近はインフルの蔓延に加えてコロナも再燃しており、より拍車がかかっている印象がある。


それに陥った場合は仕事に穴を開け、日常生活にも支障を来すことになる。
「休む理由ができてツイた^ ^」なんて考える人でない限りはデメリットしかない。


日々の生活において健康の維持というのは、万人にとって重要課題であろう。



個人的には、感染症はどこで貰うかわからないため運ゲーに近いものだと捉えているのだが、仕事やら何やらを休むにあたって
“(それ以外の)体調不良で休むのは仕方ないよね”
の一言で片付けてしまう感覚には前々から違和感を覚えている。


ただ、この考え方に関しては世の理解はほぼ得られないであろうし、今回の話の趣旨ではないのでここでは割愛する。





さて、その体調不良に関してだが、ゲストとして雀荘やbarなどに来店予定だった人が急遽お休みになることが毎日のようにどこかで発生している。

その際に、そのお店自体も当日営業せず、店休にするというケースが散見されている。


体調不良を始めとして、出勤できないものはどうにもならないため、その日は欠勤せざるを得ない。
ただ、ゲストの人が来られなくなったところで、営業ができなくなるということはないはずである。


雀荘なら、ゲストを除いた人員数だと立卓すらできない(3麻ならスタッフが1名しかいないとか)なんて事はまず無いし、barではゲスト扱いならドリンクを作るなどの具体的な仕事は基本的にはお願いされない。


来客は減ったとしても、通常営業という点では支障は無いはずだ。




そういった前提がある中で、敢えて店休という選択肢を採る理由は何だろうか。



これは外から見る人の共通認識だと思われるが、ゲストが不在になると集客できず、売上が立たない、或いは営業しても割に合わないと判断して店を閉めているのだと思われる。
一般的にはそういう見られ方をされるだろう。



個々のお店の事情は知る由もない。
もしかしたら、それなりに広いbarでゲストが不在でスタッフが2人になり、仮にほぼ満席になってしまったら接客的な観点でカバーできないから(放置されるお客が出てしまう)、という理由で店休にするのならまだギリギリ理解を示せないことはない。


とはいえそれは現実的ではないし、他にあり得る理由としては

・スタッフが不足しており、労働過多だから適度に予定外の店休日を設けたい
・ゲストが休んでまで無理して営業する気はない(単純にそこまでのやる気がない)
・休んだゲストへの見せしめ(お前が休んだせいで店休になって売上が0になった。お店にも来店予定のお客にも迷惑がかかるし、しっかりしろ的な)


…ぐらいしか浮かばない。


お店の人の性格が非常に良かったら後者の理由もあり得るのかもしれないが、そんな理由での店休は無いと信じたい。
(メインの理由ではなく、その意図が少しだけ含まれるというならまだわかるが)



※ちなみに、“性格が良い”など、世間一般の言葉の解釈とは異なる意味で書かれることがこのNoteではよくあるので、素直になり過ぎずに適度に歪んだ心で読んでいただきたい。







いずれにしても、営業しようが休みにしようが、個々のお店が判断して決める事だ。

そして、背景にどんな理由があろうと、周りからの見られ方については全て自己責任である。

前述したような理由に加え、ゲスト客以外の来客には期待してないと言ってるように見えるとか、赤になるかもしれない日に営業するほどのやる気はないとか、そもそも店休自体にポジティブな要素が無いのだから、マイナスな見られ方をされてしまうのは不可避である。


ただ、そういう見られ方も込みで判断しているのだろうし、それによるお店の印象の変化についても受け入れないといけないのは当たり前の話だ。








ここまで書いたところで念のため補足しておくが、お店の通常営業に支障を来すケースであれば、店休にするのは仕方ないしせざるを得ない。

また、中には毎日必ずゲストを呼んで、その集客を前提として営業しているようなビジネスモデルのお店も存在する。

新橋の某雀荘はその類のお店だと認識している。(違ったらすいません)


常連客の定着を必要としていないわけではないのだが、そもそも毎日ゲストを呼ぶだけでコストの面でも負担になるし、雀荘への風当たりが強まる中で麻雀プロの雇用を創出しているともいえるし、その意味でも業界に大いに貢献されていると考えている。

実際に、同卓による顧客満足度を考慮し、卓回しもかなり徹底されている(癖があるともいう)


ゲストありきの営業であるため、不在となればマイナスが大きいと判断されるのは仕方なく、実際に平日ならほぼ店休にされているイメージがある。

ただ、このようなお店に関してはスタンスが明確であり独自性が確立されているため、店休にされたところで個人的にはマイナスな印象を抱くことはない。
要は、有事の際の判断にあたっては、お店のコンセプトも大事だということだ。





余談だが、先ほど雀荘への風当たりが…と書いたが、そのテーマでNoteを書くつもりも少しだけあった。
だが、結局のところ●リーグ批判という何の生産性もない結論にしか行き着かないのが容易に想像できたため、永久にお蔵入りとなった。

ゲスト告知にあたって規制を設けた団体もあるようだが、規制は今後強まることはあっても緩くなることは無いと思われる。
残念の一言に尽きる。

仮にも雀荘反対派に回るようなプロが出てくるようなら、その人とは以後距離を置いていきたいと考えているため、個人の動向は注視していきたい所存である。



 






話を戻すが、店休にするにあたって、各方面への影響を考慮できているのかという点については疑問符が付く。

実際に、ゲストを欠勤されたプロの方が、店休にされてしまうとプレッシャーが凄いと発言されていたこともあったようだ。





店休にした場合、問題点としては何があるだろうか。

・当日のスタッフの給料が0になる(時給制の場合)
・休んだゲスト本人が自責の念に駆られる(まともな人間性をお持ちの場合)
・予定外の店休が多いというお店のマイナスイメージの問題
・行く前提でスケジュールを組むなりしていたお客の予定が潰れる


これは雀荘でもbarでも同じである。


お店都合で急遽シフトを削るのはそもそも契約違反だとか、会社都合のシフトカットなら休業手当を出す義務があるなどの指摘もあるが、契約面の話はわからないのでここでは言及しないでおく。

スタッフにとっても休みになった方が嬉しいのならそれはそれで良いのかもしれないが、店休にしていいかと言われたら1スタッフの立場で嫌とは普通なかなか言えないだろう。

そのスタッフが集客したりするわけでもなかろうし、お店が当日赤にならない保証も無いためだ。


複数店を掛け持ちしているような人なら他店に入っておけば良かったとなるし、麻雀で負けたわけでも本人が休んだわけでもないのに、収入を度々減らされるのはなかなかに厳しいのではなかろうか。



2、3点目については既述の通りだが、最も問題視されるべきだと自分が考えているのは4点目のお客の問題である。


これは全てのお店に言えることだが、いつどんなお客が来店されるのかはある程度の予測はあれど、事前に全てわかることはまずない。

限られた日にしかそういう場に行けない人が事前に来店を計画していることもあるし、地方在住の方が突然遠征してくるのだって珍しい話ではない。


そういった方々の楽しみを無にしてしまうリスクが、常に潜んでいるわけだ。



実際に、自分も年に数回は遠方に行く機会があるのだが、事前には一切言わずに必ず黙って行くようにしている。

言ってしまったら知り合いに会っても驚かれなくなってしまうし、想定外の楽しみが失われてしまうからだ。
(お前に会っても誰も嬉しくないし別に驚かないという正論は甘んじて受け入れるが)


常連客ならまだしも、そういった潜在的なお客の来店の機会が失われると残念な気分になるであろうし、満足度は下がることになる。



店休にするなと言っているのではない。
判断にあたって多方面への影響を考慮したり、想像力を働かせるべきだと言いたいのだ。





なお、同じ理屈だが店休にまではしなくても、事前に公開していた常勤スタッフのシフトが変更されることがある。

やむを得ない場合を除き、これもできるだけ避けるべきだと考えている。



一度お店のシフト予定が出たら、それを踏まえて来店予定を考えるお客もいるはずだ。
遠征してくる人だったら尚更である。


特にbarに関しては急増している昨今だからこそ、どのお店に誰がいるのかというのは行く側にとっては重要である。

酒なんてどこで飲んでも味は変わらないのだから、お店にいる“人”を見て行く場所を決めているお客が多いはずだ。

※どこも同じ味というのはやや言い過ぎかもしれないが、大差は無いはずである。
自分にとっては気分が悪い日はどこで飲む酒も等しく不味い(気分が良い日など無いが)


お店というよりは特定の人に会いに行こうとしていたお客にとっては、勤務予定を変更されたりすると行く目的が失われてしまう。

公開していない勤務予定ならいくら変えたところで問題は無いが、これもまた誰にどんな影響を及ぼすのかわからないのだから、そこに想像を巡らせるべきだということを言いたい。

勿論、別件の仕事や対局のような事情での変更が仕方ないのは言うまでもない。



それに関連した話だが、雀荘なら最後の本走を終えたら退勤時間前に早上がりしたり、barでも来客が少なく人員も足りている日に早上がりさせたりというケースがたまにあると思われる。


給料がその分減るという場合、お店とスタッフ双方の希望であるならどちらにとってもWIN-WINである。
否定される筋合いはないかもしれないが、ここまで書いてきたような観点でいえば望ましくはない。
それも広義のシフト変更であるからだ。

自分も何度か経験があるのだが、いざ行ってみたら当人が予定外に退勤済みだったというような、そんな憂き目に遭う人が以後少しでも減ってくれることを願っている。





長くなったが、お店の都合だけでなく関わる人々の都合を想像できれば、お店の判断も変わってくるのではなかろうか。

目先の数字だけでなく、長い目で見た損得を考えられる人やお店が増えてくれたら、こんな駄文も少しは価値があるのかもしれない。

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