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粘りはタチ悪く

何者かになれる。
自分はもっとできる。
30歳を過ぎて、やっと故郷を出た。

やりたい仕事に半分足をつっこむ。
形にならないアイデア。振るわない結果。
やらなければならない仕事に追われ、
制約される時間。
役割は別のところばかり。
「おまえは必要ない」と、
つまはじきにされているように思える。

誘惑に抗う。たまに負ける。
それでも机に向かう。
かつての場所なら、こんな思いはなかったかもしれない。
違う巡り合わせがあったかもしれない。

停滞ばかりの今を眺め、手が止まる。
そんなわけないと、机に俯き、また向き合う。
タチの悪い諦めきれなさ。

書いて、考えて、書く。
わずかな楽しみを辿る。
生きるために、今日を生き延びる。