「あなたは何者ですか?」に5秒で答えられるか
「もしかして、“ケツくん”……!?」
自転車に乗った女性が、道端ですれ違いざまにつぶやいた。
ケツくんとは、僕の学生時代のあだ名である。その呼び方を知っているのは一部の友人に限られる。自分でも忘れていたが、かつて僕はケツくんだったのだ。
君の名は。マスクをしていて最初は気づかなかったが、昔よく遊んでいたA子だった。もうずいぶん会っていなかった。ほんの一瞬に過ぎなかったのに、僕のことなんてよくわかったな。
A子の自転車はいわゆる“ママチャリ”で、後部にはチャイル