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旧司法試験 刑訴法 平成11年度 第1問


問題

窃盗罪の現行犯人として逮捕された甲について、現行犯逮捕の要件は欠けていたが、緊急逮捕の要件は備わっていたことが判明した。
1 右逮捕に引き続いて、甲を勾留することはできるか
2 甲について、勾留請求をせずに釈放した後、同一の被疑事実で再逮捕し、勾留することはできるか

関連条文

刑訴法
1条(1編 総則):この法律の目的
199条3項(2編 第一審 1章 捜査):逮捕状による逮捕の要件
203条1項(2編 第一審 1章 捜査):
 司法警察員の手続、検察官送致の時間の制限
204条1項(2編 第一審 1章 捜査):検察官の手続・勾留請求の時間の制限
206条(2編 第一審 1章 捜査):制限時間の不遵守と免責
207条1項(2編 第一審 1章 捜査):被疑者の勾留
210条1項(2編 第一審 1章 捜査):緊急逮捕
212条1項(2編 第一審 1章 捜査):現行犯人
213条(2編 第一審 1章 捜査):現行犯逮捕
429条1項2号(3編 上訴 4章 抗告):準抗告

問題文の着眼

先行する逮捕が違法性を理由に釈放された場合で、再逮捕する場合

一言で何の問題か

1 違法な逮捕に引き続く勾留(逮捕前置主義)
2 当初の逮捕に違法があった場合の再逮捕(一罪一逮捕一勾留の原則)

答案の筋

1 要件を欠いていたにもかかわらず現行犯逮捕しており違法。要件は満たしていたが逮捕後の逮捕状請求を欠いており、単に逮捕の種類選択を誤ったものということはできず、令状主義の精神を没却する重大な違法と言え、これに引き続く勾留は不可。
2 原則として再逮捕・再勾留は認められないが、当初の逮捕の違法の程度、犯罪の重大性、逮捕の必要性等を考慮した上、不当な蒸し返しといえない場合には、例外的に再逮捕・再勾留も認められる。

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