旧司法試験 民事訴訟法 昭和61年度 第2問
問 題
甲は、駐車場として乙が使用している土地をその所有者Aから買い受けたと主張し、乙に対して、所有権に基づき土地の明渡しを求める訴えを提起した。
乙はA甲間の売買の事実を認め、裁判所は和解勧告のため期日を続行したところ、次の期日になって、甲は、土地所有権侵害を理由として賃料相当損害金の支払いを求める請求を追加した。
乙は、従前の態度を変えて、A甲間の売買の事実を争うことができるか。
関連条文
民訴法
2条(1編 総則 1章 通則):裁判所及び当事者の責務
143条1項(2編 第一審の訴訟手続 1章 訴え):訴えの変更
179条(2編 第一審の訴訟手続 4章 証拠 1節 総則):
証明することを要しない事実
247条(2編 第一審の訴訟手続 5章 判決):自由心証主義
338条1項(4編 再審) :再審の事由
一言で何の問題か
訴えの変更に伴う自白の撤回
つまづき、見落としポイント
自白の当てはめのために、要件事実(主要事実)の認定が必要
答案の筋
乙の陳述は裁判上の自白にあたるところ、土地の明渡請求と明渡しまでの損害金の請求は、請求の基礎が同一であり、甲の訴えの変更は認められる。このため、従来の裁判資料が流用され、自白の効力もそのまま維持されることから、特段の事情がない限り、自白の撤回は認められない。
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