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司法試験予備試験 刑訴法 平成24年度


問題

次の【事例】を読んで、後記〔設問〕に答えなさい。
【事例】
1 警察官Kは、覚せい剤密売人Aを取り調べた際、Aが暴力団組員甲から覚せい剤の購入を持ち掛けられたことがある旨供述したので、甲を検挙しようと考えたが、この情報及び通常の捜査方法のみでは甲の検挙が困難であったため、Aに捜査への協力を依頼した。Aは、この依頼を受けて、事前にKから受け取ったビデオカメラをかばんに隠し、平成24年3月10日午前10時頃、喫茶店において、甲に「覚せい剤100グラムを購入したい。」と申し込み、甲は、「100グラムなら100万円だ。今日の午後10時にここで待つ。」と答えた。Aは、Aと会話している甲の姿及び発言内容を密かに前記ビデオカメラに録音録画し、Kは、Aからその提供を受けた。
2 Kは、同日正午頃、Aから提供を受けた前記ビデオカメラを疎明資料として裁判官から甲の身体及び所持品に対する捜索差押許可状の発付を受け、甲の尾行を開始したところ、甲が同じ暴力団に所属する組員の自宅に立ち寄った後、アタッシュケースを持って出てきたため、捜索差押許可状に基づく捜索を行った。すると、甲の所持していたアタッシュケースの中から覚せい剤100グラムが入ったビニール袋が出てきたことから、Kは、甲を覚せい剤取締法違反で現行犯逮捕した。
〔設問〕
【事例】中の1記載の捜査の適法性について、問題点を挙げ、論じなさい。

関連条文

憲法
33条(3章 国民の権利及び義務):逮捕の要件
35条(3章 国民の権利及び義務):住居の不可侵
刑訴法
197条1項(第2編 第一審 1章 捜査):捜査に必要な取調べ(強制処分法定主義)

一言で何の問題か

おとり捜査と秘密録音・録画

つまづき、見落としポイント

捜査の適法性については、おとり捜査のように判例がある場合であっても、強制処分➡任意捜査の限界の手順を踏む。

答案の筋

おとり捜査及び秘密録音・録画に関して、強制処分に当たらないか、当たらないとして任意捜査として許容されるかをそれぞれ検討する。

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