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旧司法試験 刑訴法 平成16年度 第2問


問 題

現住建造物等放火の共同正犯として起訴された甲と乙は、公判廷において、いずれも公訴事実を否認している。検察官は、甲が捜査段階で警察官Aに対して「乙と一緒に放火した。」旨を述べた供述調書の取調べを請求した。これに対して、甲乙それぞれの弁護人が異議を述べた。審理の結果、警察官Aの取調べ中、否認していた甲に対して、Aが「甲と乙が火をつけるのを目撃した者がいる。」旨の虚偽の事実を告げたため、甲の上記供述がなされたことが判明した。
1 この供述調書を甲に対する証拠とすることができるか
2 公訴事実に関する甲の被告人質問が行われる前に、甲が死亡したとする。この供述調書を乙に対する証拠とすることができるか

関連条文

刑訴法
319条1項(2編 第一審 3章 公判 2節 争点及び証拠の整理手続):
 自白の証拠能力・証明力
320条1項(2編 第一審 3章 公判 2節 争点及び証拠の整理手続):
 伝聞証拠と証拠能力の制限
321条1項(2編 第一審 3章 公判 2節 争点及び証拠の整理手続):
 被告人以外の者の供述書・供述録取書の証拠能力
322条1項(2編 第一審 3章 公判 2節 争点及び証拠の整理手続):
 被告人の供述書・供述録取書の証拠能力
刑法
60条(2編 罪 11章 共犯):共同正犯
108条(2編 罪 9章 放火及び失火の罪):現住建造物等放火

一言で何の問題か

虚偽の事実を告げて得た自白調書の効力、死亡した共同被告人の供述

つまづき、見落としポイント

共犯者供述の322条の適用可否

答案の筋

1 虚偽である可能性があるか、人権侵害のおそれがあれば319「任意にされたものでない疑のある」自白にあたり、証拠能力が認められず証拠とできない
2 320原則伝聞証拠➡伝聞例外に当たるか➡322Ⅰ、321Ⅰどちらの問題とすべきか➡共同被告の供述は322Ⅰの趣旨が及ばない➡321Ⅰ「特に信用すべき状況の下にされた」ものであるとはいえず証拠とできない

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