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「メディア酔談」で改めて考えた、うさぎさんの心を動かす方法とは?

うさぎさん=政治に不満がないマジョリティのこと

先日チャンネル登録者数が1万人になった「メディア酔談」7月31日の回について感想を書いてみたいと思う。

私がこの番組を初めて見たのは4月24日「うさぎさん」の会だった。

「うさぎさん」とは境治さんが考えた、政治に不満がなく、声を上げてこなかったマジョリティの方々の例え。

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でも、コロナきっかけで、一部のうさぎさんが政治に疑問を持つようになった。

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うさぎさんは別に「憲法改正して国民主権をなくしたい」とか「日本会議の伝統的な家父長制がいい」とか「教育勅語を復活させたい」から安倍さん支持ではないのだと思っている。

みんなが同じ方向を向いていて、平凡だけどちょっと幸せな、平和な毎日が好きなだけだと思う。世間的に正解の側でいたいし、反旗を翻す立場になるのは抵抗がある。だから、多少しんどい目に合っていても、いま目の前にある平和を信じたいのかもしれない。

うさぎさんを深く知る参考になった本↓

現場の平和に満足しているうさぎさん。でもその「平和」が実はぜんぜん平和じゃないことの1つの表出が、雅子さんが鋭く指摘し、相澤さん境さんも取り上げていた「嫉妬深い男社会」「猿山」のことなのかもしれない。つまりHomosocial ホモソーシャル、私は略してホモソと呼んだりする。

弱さを認めない男社会

私が男社会って痛いな〜と思うところは、自分の弱さを頑なに認めようとしないこと。自分は弱くないと思ってるから、無理ばかりして誰得か分からない戦いに明け暮れてる。強い人のミスをカバーするために、どんどん傷が広がっていく。弱さや傷を存在しないものとしているから、いざ自分や誰かが弱い立場になったときに対応できない。本当の強さは、弱さを認めることから始まるのに。ちなみに男らしさが男性自身を不幸にする現象はToxic Mascurinity(有害な男らしさ)と言われている。

自分を強いと勘違いしている巨大なホモソーシャルの怪物が、傷だらけになって悲鳴を上げながら、みんなを巻き込んで倒れていくような、そんなイメージ。いまの日本って。せっかく男社会の無駄な争いから逃れたはずの赤木俊夫さんが巻き込まれてしまったのはあんまりだ。もし逃れた赤木さんを意図的に狙ったのだとしたら卑劣すぎる。

うさぎさんも男社会ヤバイと気づいているよね

森友改竄で赤木さんを追い詰めた男社会の害は、近畿財務局だけでなく、さまざまな場所で日本をダメにしていると思う。

日本のジェンダーギャップは121位/144位で、男女の賃金格差は先進国で最大。少子化もどんどん進んでいるし、若者の地方からの流出は止まらない。なのに安倍政権は選択的夫婦別姓すら認めないし、女性管理職を2020年までに30%にする目標も断念し、世界から遅れに遅れている。

でも最近では「フェミニズム」や「ジェンダー」を取り上げるメディアが増えてきた。都内の本屋ではフェミニズム本コーナーができるようになり、関心を持つ一般の人たちも増えているような気がする。これはフェミニストの人たちが世間から叩かれながらも声を上げ、共感を得てきたからだと思う。

そんなご時世のなか、チャンネル登録者数1万人のメディア酔談で「真性右翼」を公言される相澤さんと、「保育園落ちた日本死ね」について発信してきた境さんが男社会の害について話しているのは画期的なことだと思う。「極左フェミニスト」「反日パヨク」とTwitterで呼ばれる私が酔談で交流していることも。私は完璧なフェミニストでは全くないが、50代、60代が中心だという視聴者さんに男らしさの害について知ってもらえるのは、小さな希望の光だ。

うさぎさんには余裕がない

私は結婚もしてないし、子供もおらず、自由にお金を使うことができる。海外で男女平等のために努力している社会や、政治に対して当たり前のように声を届けている社会をこの目で見ることができた。メディア酔談の視聴者さんも、政治や社会問題について能動的に知ろうとする感度が高い人が集まっていると思う。

でも同世代の友達を見ていると、日々の仕事や家事や育児に追われて、政治の世界で何が起こっているのか、それが自分にどう関係があるのか、情報を知る機会や余裕がない人もたくさんいる。

思想ではなくコミュニケーションの問題

いまの野党のコミュニケーションは、敷居が高かったり、難しかったり、長かったり、何らかの努力をしないと情報がとれなかったりする。(脱毛サロンの情報の方が簡単にとれる)政権批判は野党の仕事であり、私も野党が政権を批判してくれたからこそ自分のモヤモヤを確信に変えることができた。でも、うさぎさんが最小の努力で新しい未来をイメージできるように伝え方を配慮することも、また必要なことだと思う。

相澤さんも言っていたけれど、うさぎさんは政権批判に思考が停止してしまっているかもしれない。いまは忙しくて別の平和を想像できないうさぎさん。だけど今より安心して暮らせる平和な場所がきっとある。うさぎさんは声も小さいし、戦うのは苦手だし、負け戦もしたくないし、滅びたくないけど、みんなで新しい土地に大移動するくらいの行動力はあるのではないかと思う。

うさぎさんらしい声のあげ方や、行動の仕方がきっとある。その1歩を気負わずに踏み出してもらえるよう、促していくコミュニケーションが大切なのではないか。

微力ながらできること

広告はソリューションを作る仕事だ。広告には悪い評判もあるし、私自身うまくいかなくて悔しいことばかりだ。それでも負けたくないし滅びたくないから、なんとかこの状況を解決したい。私にとって市民としての活動は仕事じゃないけれど、小さくても世の中を前に進めるソリューションを作れたらいいなと思う。

ちなみに「週刊金曜日」にも、うさぎさんへの情報発信周りの考えを書いているのでご参考までに。

余談:新聞記者のこと

映画「新聞記者」私は見られてよかったし、多くの方に見ていただきたいと今でも思っている。当時、国会は見たことがなかったけど、伊藤詩織さんの事件などで日本おかしいのでは?と不安だった。この映画が作られたということは、もしかしたら私のように不安な人が大勢いるのではないかと思えたし、自分だけじゃなかったと安心できた。私のような人が政治に興味を持つ良いきっかけをくれたと思う。