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結局、予防が一番大事~いったん虫歯になると長い戦いが続く

歯について私が語れることは、「あとで泣きたくなかったら、虫歯にならないように歯磨きをして、フロスをかけ、定期的に歯医者で検診を受けよ」となります。

現在65歳の私は、心身ともに健康なほうで、ふだん薬は全く飲まないし、医者にもめったに行きません。

1996年春にカナダに来てから、一般の医者に行ったのは、出産前後と、一度ストレップスロート(溶連菌感染症、のどがすごく痛くなる病気、抗生物質を飲まないと治らない)にかかったときと、健康診断(通算して5,6回のみ)に出向いたときだけです。


歯だけが異様に悪い私

ところが、歯医者は例外で、何回も行きましたし、今も行き続けているし、これからも行かねばなりません。

現在は1年に1回の定期検診(いつもの歯医者)と、4ヶ月に1回のクリーニング(インプラントをしてもらった歯医者)と、1年に1回の歯茎の定期検診(これもインプラントをしてもらった歯医者)を行い、検診で悪いところが見つかったら、適宜追加で治療します。

検診を受けると、たいてい悪いところが見つかります。

左下奥のクラウン(かぶせもの)の下に虫歯があり、治療するには、クラウンを撤去しなければならないため、ずっと様子見をしています。

クラウンを入れるのに大きななお金を払っていますから。

この虫歯の進行を遅らせるために、今、SDF(Silver Diamine Fluoride 銀含有フッ化ジアンミン剤)という薬を塗布しています。

これは全部で3回に分けて行うもので、2回目が終わったところです。

実は2年前も、同じ虫歯にSDFを塗布しました。

もう11月なので今年はこれだけの治療ですむと思います。

これまで、取れたり、欠けたりした詰め物の入れ直し、虫歯の治療、根管治療のやり直し(複数回)、治りきらなくて4本抜歯、インプラントを3本装着という数々の歯科治療を受けてきました。

そのたびに、多大なお金、時間、労力を投下し、顔の腫れや痛み、苦しみに耐えてきました。

一番の問題は虫歯になったこと

似たような治療を何度も受けていますが、そもそもの問題は虫歯です。

いったん虫歯になると、初期の初期なら削らずにフッ化物塗布などで対応すると思います。ですが、この段階では痛みがないので、本人は虫歯があるなんて気づきません。

幼い頃から、虫歯になって歯医者に行くたびに、削って詰め物をしてもらう治療を受けてきました。

その後、何年か経過すると、その詰め物の下にまた虫歯ができます。

すると、詰め物を取って、さらに削って、また詰め物をします。

そのうち削る部分がなくなると、歯の神経を取り除いて、根管治療をします。このときクラウンをかぶせることが多いと思います。

さらに年月が経つと、今度は根管治療をした部分に感染が起きて、抜歯するしかなくなり、その後はインプラントや入れ歯などで対応します。ブリッジを使うこともあるでしょう。

私の場合、この最終段階まで行った歯が4本あり、いずれはここへ行くだろうと思われる予備軍の歯が何本かあります。

私の寿命が長ければ、それに応じて歯の治療をする回数も増えるでしょう。

私の何が悪かったのか?

今は甘いものを食べませんが、私はもともと甘党で、あんこ系のお菓子が大好きでした。

でも甘党だからといって歯が悪くなるとは限りません。

歯の良し悪しは、身体のほかの部位と同じように、持って生まれた体質も大きく関係します。

たとえば、唾液の質や量、歯並び、歯のエナメル質の強さ、虫歯菌に対する感受性などは、私にはどうすることもできません。

歯並びはあとから矯正できますが、気付いたときは虫歯だらけだったし、金銭的な余裕がなかったので、矯正はしませんでした。

たまたま私は歯が悪くなりやすい体質だと思いますが、小さいとき、誰もそのことや、虫歯予防の重要性を教えてくれませんでした。

歯医者に行ったのは歯が痛くて耐えられなかったときか、学校の検診で指摘されたときだけ。

今もあるのかどうか知りませんが、昔、日本の学校は、年に1度、歯科医がやってきて、生徒1人1人の口の中を見て、歯の状態をチェックしました(私は昭和34年生まれです)。

そのとき、歯医者が拡大鏡をつけていたかどうか記憶にありません。

医者は学校の講堂に集まった大勢の生徒を流れ作業のごとくチェックしていたので、そんなに詳細な検診ではなかったと思います。

今、日本は少子化で子供の数が少ないですが、私が子供のときは、子供が大勢いて、1クラス40人ぐらい。小学校6年のときは8組、中学2年のときは11組までありました。

校舎が足りなくてプレハブで作っていた時代です。

少子化は国の経済的には打撃ですが、生徒にしてみれば、きめ細かい指導を受けられます。

私が子供のときは、大勢の中の1人で、歯に関しても、大雑把な指導を受けたのではなかろうか、と想像しています。

少なくとも、今ほど「歯の健康を守ろう」「虫歯にならないように予防しよう」と言われてはいませんでした。

残念ながら、学校でも家庭でも、歯の健康の重要性や磨き方、フロスの存在を知る機会がありませんでした。

今、私が検診を受けている歯科医が備えているツールを考えると、学校で受けたチェックはひじょうに制限のある状況での検診だったと言えましょう。

検診で「異常ありだから、歯医者に行ってね」と言われても、歯医者に行ったかどうかのチェックや、その後の歯の状態を調べるフォローアップもありませんでした。

私の両親も歯の健康にそこまで気を配っていなかったようです。中学生のとき、私は自分で歯医者を見つけるために、近所をぐるぐる歩き回った記憶があります。

「どうしよう、歯医者に行かなきゃ。でも、どこの歯医者に行ったらいいんだろう。どこに歯医者があるんだろう?」なんて半泣きになりながら。

去年、日本に帰ったとき、実家のそば(名古屋市守谷区)を歩いていたら、歯医者をはじめとした医院がいっぱいあったので、びっくりしました。

「え? いつのまにこんなに歯医者が? 昔は全然なかったのに」と。

インターネットがある今なら、すぐに評判のいい歯科医を見つけられますが、昭和40年代に小中学生だった私にそんなことはできず、適当に見つけた歯科医院に飛び込みました。

今思うと、30代のとき、カナダに来る直前に行っていた歯科医院が、一番まともでした。

この医院で、はじめて、歯磨きの指導を受けましたから。

それまでの医院では、基本的で一番重要なことを教えてくれなかったと思います。

日頃の歯の手入れの方法、定期検診を受ける重要性、ときどき歯医者で歯垢を取ってもらう必要があることを知ったのは、歯が悪くなってからのことです。

神経を抜いたのは26歳の時でしたが、治療前に詳しい説明もなく、問題意識が低かった私は、全面的に医者に任せてしまいました。ずっと後になってこの根管治療のやり直しをし、結局うまくいかず、抜歯することになりました。

現在の歯のケア

歯科の治療で、苦しい思いをし続けているので、普段のケアはまめにしています。

たとえば、

・定期的に検診やクリーニングに行く

4ヶ月に1度のクリーニングになったのはわりと最近のことで、それまでは3ヶ月に1度でした。

・電動歯ブラシでブラッシング

・デンタルフロスをかける

・ブラッシングしにくい奥歯のあたりをサルカブラシ(Sulcabrush)で磨く。サルカブラシは、歯と歯茎の境目(歯周ポケット)を磨く専用の歯ブラシです。

私は歯周ポケットが深い奥歯がいくつかあります。

・ハンディタイプのウォーターフロスを併用

歯医者や歯科衛生士にやれと言われたことは全部しているし、甘いものはあまり食べず、レモン汁のお湯割りを飲むときはストローを使います(酸っぱいものは歯によくない)。

もともと健康志向なので、よく寝て、定期的に運動をし、身体に悪いものは食べず、免疫状態を良好に保つ努力もしています。

それでも、毎回クリーニングに行くたびに、「奥のほう、出血が多かったから、しっかり磨いてね」とか、「あなた、甘いものが好きなの?」「ふだんどんな手入れをしているの?」と歯科衛生士のチェックが入ります。

やれやれ。

疲れますが、今後も今の努力を続けるしかないでしょう。

自分が歯で苦労したので、娘は小学校1年のときから毎年歯の検診に連れて行き、高校生のときは歯並びの矯正も受けさせました。

娘は私より甘いものをよく食べるし、ふつうの歯ブラシとフロスしか使っていないのに、26歳の今まで、虫歯になったことが一度もありません。

本人はそれが当たり前だと思っていますが、実はこれはとても貴重でありがたいことです。

いったん虫歯になると、長くて終わりが見えない治療が続くのですから。

歯の健康は人生の質に大きな影響を与えるのです。

#いい歯のために


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筆子|ブロガー
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