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うたかた夢幻のナイトメアの話(感想とか)

◆今日スタマイの話しかなしないよ。12,000文字以上あるけど引用多いよ
◆これ書きかけで置いといた記事で、もうイベントもめっきり終了したので思う存分全面的にネタバレなんですけど、何……○○の本編序章……?みたいな反応が散見されるマップストーリーでしたね……
◆10日で読めなくなるイベントマップストーリーとしては情報の量と質がすごいので、記録のために抜粋・引用して少々の感想とともに書き出しておきます。

うたかた夢幻のナイトメア 開催期間2020年7月20日~7月30日

◆STAGE1
早乙女さんのモノローグと悪夢の内容。推測だけど、いじめを受けている級友をかばったり助言したりした結果がうまくいかなかったような感じか。話が超絶前後してしまうけど、終盤で語られる『今の早乙女さんにとってそれがどういう夢なのか』の説明からして、この夢は『他人の〝弱さ〟に寄り添おうとして拒絶された』ことで本当は早乙女さんが傷ついていた(本人は絶対に認めないだろうけど、私に言わせれば彼は傷ついてた)ということなんじゃないかと思ったりした。
〝弱さ〟に寄り添おうとした理由は、自分が(玲ちゃんに)そうしてもらえたことで救われた経験があるから(メインストで指針にしていたって言ってたし)、でもうまくいかなかったことでやっぱり『あいつは本物、俺とは違う』という思いを強くしてしまうんですよね。本当に拗らせるのがうまいな!
あとお部屋の写真立てのことに気がついた方がいらしたんですけど、つきあっていない玲ちゃんが部屋に入ってくるイベスト「拗らせた思いの処方箋は」で寝室にあった伏せられてた写真立てが、このマップストとか3周年SSRのスタンドスト(つきあってる設定)だと飾られてるんですよね。いずれのストでも何の、とは言及されてないと思われるものだけど、手をつないだ二人の人物の写真。

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◆STAGE7・STAGE10
潔くんの実家は飛行機の距離。ということはあの素敵なお部屋に一人暮らしなのか。部屋の感じから勝手に実家だと思ってた。

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ご両親のことは、メインストSeason3-54で

親戚の集まりとか、そういうのでも陰に、隠れてばっかりになって。親は普通に、明るくて、ちゃんとしている、人たちなので。だから、どうして俺だけ、こんななんだって。いつも二人が、育て方が悪い、とか……言われてしまっていて。本当に申し訳ないって、思うのに、やっぱり、全然だめで……

と心情を語るシーンがあるので、家族仲が悪いというのとはニュアンスが違うと思う。昔歳編ではもうちょっとつっこんだ内容のお母さんの台詞が出てくるシーンがあったけど、このイベント時にはまだ配信されてなかったことなので割愛します。ただまあやはり親御さんに対して申し訳ないという強い思いを持っているのは間違いないみたいですね。
潔くんお酒はあまり強くない設定。【R】やすいお酒は♡反応なんだけどまあ細かいことはいいよねごめん。
変な夢を見るチーズ(スティルトン)を食べる瀬尾研のみなさん。潔くんとひかるくんはブルーチーズが苦手っぽい。玲ちゃんはブルーチーズを食べられることになってる(けど、私が未読の神楽キズナストでブルーチーズ苦手設定があったらしい)。

◆STAGE15・STAGE17
早乙女さんの悪夢に登場する〝本物〟こと玲ちゃん(子供)。早乙女さんの意識の中には
(1)泉玲は本物(の善人)
(2)自分は本物ではない
(3)泉玲は〝いなくなる〟
ということが強く根付いていて、それが現在もなお言動に影響を与えているっぽい。
いなくなったのは転勤族のおうちの子供だった早乙女さんのほうで、玲ちゃんではないんじゃないのかと思うんだけど、こう、手を差し伸べたけど結局はいなくなるんじゃないか!! って寂しいとか悲しいとか会えなくなるなんて嫌だという気持ちを『怒り』に変換したままいい大人になっているのが早乙女さんなんだなというかね。それを拗らせてるという一言でまとめていいのかどうかはわからんけど、本当は弱音を吐きたい場面で、俺は強い(強くありたい)というフィルター(確固たる意志)を通すと、弱音が怒りまたは少なくとも怒ってるというポーズに変換されてしまう人なんだなっていうふうに思う。なお、意志をもって弱音を吐かないとしたら、それは強いふりではなく本当に強いということだと私は思うし、早乙女さんは強がっているだけじゃなくて、意志の力で本当に強くある人じゃないかと思う。

◆STAGE20
早乙女さんは暑がり。瀬尾さんは『一度布団被ったら、置物みたいに朝まで微動だにせず寝る』くらい寝相がいい。

パジャマコレクション早乙女・瀬尾

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◆STAGE22
ひかるくんのモノローグを中心に展開する部分。帰省の件でストレスか不安のサインが増えているらしいことに気づかれる潔くん。家族の話になると

慌てることも動揺することもなく静かにその会話から距離を取る。無理に引っ張らないし、深く触らない。誰にでも、僕らも〝そういうもの〟はあるから

というのはひかるくんのモノローグだけど、心理学を扱う瀬尾研のみんなが、普通の人より聡く気づいて思いやる人たちなのだということが描かれる。
帰ってきたら一緒に玲さんが言ってた雲ケーキを食べに行こうと言う志音くん。少し笑ってうんと答える潔くん、そのやりとりを黙って微笑んで見ている瀬尾さんと早乙女さん。ひかるくんから見て

多分志音くんはなにかを明確に狙って、考えて言ったわけじゃないんだと思う。……でも。だからこそ、なのかな

志音くんの『待ってる』に潔くんがほっとしたような表情を見せ、瀬尾さんと早乙女さんの表情もどこか緩む、というひかるくんの観察。
潔くんが黙って立ち向かおうとしている何かを無事に終えた未来の話を『約束』にすることには、明確な意図はないとしてもきっと意味はあって、潔くんの心は軽くなったんだろうという想像ができる。この場には玲ちゃんはいないけど、STAGE10で玲ちゃんが瀬尾研のみんなのやりとりを見て

それが、どんなに何気なく漏らされた一言でも、決して取りこぼさない。適度な距離感から、お互いのことをそっと見守っているような柔らかな雰囲気を改めて感じて私まで優しい気持ちになる。

っていう感想を持つことに、ここでもまた自然に共感する。

パジャマコレクション日向・可愛・宝生

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◆STAGE24
たこ焼きパーティーから一夜明けた月曜日、場面は変わって捜査一課。驚異的な速さで資料を確認し、驚きの寝つきの良さを発揮するだけで、揺るぎない存在感を見せつける服部さん。

◆STAGE26・STAGE28
服部さんの知り合いが趣味でブレンドしている、睡眠の質が上がるというハーブティーの存在から、睡眠に何らかの難があることが示唆される槙くんと羽鳥さん。早乙女さんのほかにこの二人もSSRだからね、悪夢を見る展開が待ってるよね。
睡眠の質が上がると聞いて早乙女さんにあげたいと思う玲ちゃんと、渡すついでに羽鳥さんに口添えするという、気遣いが素晴らしすぎる槙くん。拝む玲ちゃん。

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◆STAGE30
Revel。変な夢を見るチーズの試食会(泊まりがけ)が桧山邸で開催される。Revel仲良しだな。

パジャマコレクション桧山・槙・大谷・神楽

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今回カードのない神楽さんだけはパジャマじゃないけどまあパジャマにも見えてきた。神楽推しとしてひとこと余計なことを添えるならば、ホーム台詞がプンスコしてて実に良いRカードですね。前夜祭で入手可能になっててよかった。
Revelの仲の良いところが見られ、好奇心が強くて決断が早く実行力がある桧山さんに潤滑油の槙くん、羽鳥さんにいじられる神楽さんという様式美で前半マップ終了するけど、早乙女さんのマジトーンから言っても羽鳥さんと槙くんの二人がただでは済まないだろうという予感がある。

◆STAGE31
BGMは3周年のアンドリーニア、羽鳥さんの夢は『よく聴いてた曲のはずなのに、思い出せない』バイオリンの旋律で始まる。以下、ほぼ丸ごと引用。
おとぎ話に出てくるような『満たされない』人達に気まぐれに星のかけらを撒く羽鳥。

かけらを浴びた彼らはみんな笑顔になって、空に向かって祈る。そうしてすぐに忘れて、数日後にはまた俯く。俺はまた、退屈しのぎに星を撒く。

「このご恩は、一生忘れません」という言葉には「……。忘れていいよ」と返す。

(一生とか、ずっととかそんなものはないんだから)

誰かの言葉

「――羽鳥。どんなものにも、永遠はないんだよ。終りがある。だからここにあるものは、すべてかけがえながなく、大切なんだ」

タイトルを思い出せないバイオリンソロが、少しずつ近くなる。ふと振り返ると、一挺のバイオリンが浮かんでいた。

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瞬間、ずるりと三日月から落下する。ポケットに入れていた星のかけらは、ひとつとして自分に降り注がずに空へ吸い込まれるように消えていく。バイオリンが遠ざかって、見えなくなる。(……ああ、そうだった。あれは――とっくの昔に終わりが来たんだった)

STAGE31はまるまる羽鳥さんの夢だけど、『満たされない人達』『気まぐれ / 退屈しのぎ』『星のかけら』『一生 / ずっと / 永遠はない』『羽鳥自身にはひとつとして降り注がない星のかけら』『バイオリン≒とうさん』という、まるでキーワードだけで構成されたような濃密な話。
ところで羽鳥さんの家族構成に関しては(私が未読のどこかで既に触れられているかもしれないけど)、このSTAGE31の内容からも推察はできる通り、おそらくご両親は離婚していて、羽鳥さんはお母さん方に引き取られて大谷を名乗っているっぽい。従姉妹の恵流さんの名字が大谷で、お母さんの話をしているときに「そういう血筋なんでしょ。メグ達もそうだし」と神楽さんが言う、つまり父方ではなく母方の従姉妹と羽鳥さんが同じ名字ということがわかるシーンがある(2018年保育園イベント「カレもお子様!?本気のわんぱく合戦」)。名字の件は婿入りという可能性もないわけではないけれど、両親が離婚したからこそのSTAGE31の内容だと思えばやはりしっくりくる。

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◆STAGE34・37・40
普通の夢を見て3時に起きてしまった槙くん。寝るのを諦めて明かりをつけたところで庭に出ていた羽鳥さんからLIMEが来て、庭に集合する。夢の話をする気はないという羽鳥さんの牽制と、それを感じ取ったら本当に訊いたりしない槙くん。
STAGE37は羽鳥さんと槙くんの大学時代の話。いろいろ濃い。

大学時代。羽鳥がまだ、『特定の彼女』を作っていたころ―― 同じマンションに羽鳥の浮気相手が住んでいて、それを理由に羽鳥がよく家に来ていた時期があった

羽鳥は元々寝つきがいい方じゃないけど、時々ひどく悪くなる。夜中にこっちを訪ねてくるのは、どうしても寝付けなかった時なんだということに気付いたのは、羽鳥がその浮気相手と切れて、家に来なくなった後のことだった。

この情報の量と質……羽鳥さんが推しの人はある程度覚悟はしてるものなのかもしれないけど、女関係で酷かったよってはっきり描かれるのはやっぱり思うところあるのではないかしらなどと思う。あと寝付きが悪いという設定も知ってるといろいろ捗る系の情報なので重要。
羽鳥のお父さんは飛鳥さんという名前でリサイタルをやるような職業、話を総合するとつまりバイオリニストであり、桧山さんを誘って羽鳥さんはこれまで何度も一緒にリサイタルを観てきた(何らかの理由で、日頃羽鳥さんは一人でリサイタルに行かない)。そして『恐らく、羽鳥が今回あのハーブティーを必要とした原因』。
STAGE40では、槙くんがもう朝まで起きてるつもりであることの理由が、やはり夢だということがわかる。

◆STAGE41・44・47・50
寝付けなかった神楽さんがショートスリーパーの桧山さんにLIMEを送ったことで、結局四人が揃ってハーブティーを飲みながら桧山さんの見た『普段とは違う夢』の話を聞く。
何が何を象徴しているのか(それとも特に象徴的なものではなくて、不思議な印象なのは夢だからか)わからないけど、どこかの洋館で蜘蛛の糸に捕われた桧山さん自身と、同じく捕われた蝶たち、逃がそうとするが閉め切られた部屋では蝶たちは逃げられず、天井からは捕食者の物音がする。ドアの側に橙の尾を引く美しい蝶がいて、捕われないように呼び寄せると指に止まり、安堵する……という内容。
それから槙くんの『夜中に一度起きたら必ず見る夢』の話になる。
槙くんのことを「けいちゃん」と呼ぶ(神楽亜貴っぽい)クマのぬいぐるみと、「マキ」と呼ぶ(大谷羽鳥っぽい)キツネが言い合いになる。仲裁しようとする槙くんに「問題ない。いつものことだろう」と言う(桧山貴臣っぽい)王冠を被ったライオン。槙くんはその子供部屋から出られないままノックの音を聞いて目を覚ます。
最近はあまり見てないという槙に、いい傾向なんじゃないかという桧山くんと同意する二人。
あとは羽鳥さんの寝付きの悪さと眠りの浅さが改善すれば、という話に戻る。〝何だかんだ〟で三者三様に羽鳥さんを気遣い、羽鳥さんはそれに感謝し、「再来週の週末って空いてる? 槙と上海行くんだけど」と桧山さんと神楽さんを誘う。神楽本編BGMが流れて、羽鳥さんと神楽さんのいつものような攻防のあと、「ありがとう」というときの羽鳥さんの笑顔の差分が一段回ほんとうの表情らしくなる。Revel……

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◆STAGE51・53
〝鳥籠〟の中にいる服部さんと、捜査一課の三人+玲ちゃん。玲ちゃんがハンマーでぶっ叩いても壊せない鳥籠の中から「もういいって言ってるのに」と制止しようとする服部さんと、何とか逃がそうとする四人。
“ふいに聞こえた、調子外れの鼻歌に鳥肌が立つ。”
さっきより格段に切迫した、冷たいとも取れる態度で退避しろと迫る服部さんと、頑なに諦めない四人のもとに、誰かの声が聞こえる。

早く、逃さないと。このままここにいたら、いつか―― 「――いつか…… 死んでしまうかもしれないから?」
服部「……!」
泉「え」
朝霧&荒木田「危ない!」
服部「――やめ、」

という場面で荒木田さんに起こされる服部さん。たぶんだけど、仲間だったりマトリちゃんだったりが自分を〝諦めなかった〟せいで危険に晒されるというのが、服部さんにとってはおそらく自分が死ぬより余程嫌なことで、それが起こりかけてる感じというか。こわいものなどないひとが、心底恐れていること。これはガチの悪夢。
目を醒ました服部さんの首筋に汗があることに気付く荒木田さん。服部さんから仮眠してくるように言われ、交替で起こす菅野くんについて

服部「……こんな状況じゃ、多少眠れてたところでロクな夢見てないだろうから、一応、気をつけること」

と念を押され、荒木田さんは仮眠室に向かう。

◆STAGE55・57
呼んだくらいじゃ起きない菅野くんを揺り起こそうと近づいた荒木田さんは

飛び起きるように身体を起こすと同時に首を掴んでこようとした夏樹の手をギリギリのところで掴んで止める。

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服部さんの言葉を思い出し、「……お前。何かあったか」と菅野くんに声をかける荒木田さん。

荒木田「ないならいい。でもあるなら言え。急に暴走されても、潰れられても困るんだよ」
菅野「……。それって……『別に心配なんて、してないんだからねっ!』っていうツンデレですか?」
荒木田「蹴っ飛ばすぞ」
菅野「アハハ、冗談ですって。ありがとうございます。忙しいと、ストレスですぐ夢見悪くなっちゃうんですよねー。こう見えて繊細で」

瀬尾研もRevelもそうなんだけど、こういう『普通』のやりとりにすら際立ってキレがあるのはさすがに藍田さんだと思う。どのキャラクターもしっかり、この話の外でも生きていた感じがする。語られていない部分の生活、ひいては人生みたいなのが立ちのぼってくる感じがする。いや私が藍田せんせいのこと好きすぎるからっていうだけで全部妄想かもしれないけど。
話は戻って、「どうせコンビニ行くなら抹茶ラテも買ってこい」と言う荒木田さんに

菅野「もしかして耀さんも、何かありそうでした?」
荒木田(……〝も〟ってなんだよ)「……別に。さっき起こした時に、珍しく寝汗かいてたから。喉乾いてんじゃねーかって。それだけだ」

そして喉かわいてる時に抹茶ラテはどうか、とか、耀さんがどんな夢見てるかわからんけど夢見悪そうとかいうやりとりのあと、

そのまま出ていくと思ったら、ドアに手をかけた夏樹がふと立ち止まって振り向いた。

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ここから流れるSeason4のBGMに菅野夏樹という男は、菅野ってやつは……(何かこみ上げる)。
菅野くんが出ていったあとの荒木田さんはため息をついたあと、

(……分かんねーやつだな。なんかある前に言えって言ってんだよ)『一人でどうにかしようとするな。』そう思った自分に、少し驚く。(……こんなこと、考えるようになるなんて思いもしなかった。でも――)俺は長い間『言われる側』で、その裏にあったのはだいたい敵意だった。(……でも。耀さん達に言われて、そう感じたことって一度もねーな)
そもそもあの人達は、滅多にこの言葉を使わない。それは多分―― 自分でどうにかするしかないこと、自分でどうにかしないとケリがつかないことはあると知っているから。

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荒木田さんが今、大事なことを考えました! 大事なことなので書いておくし貼っておきます。本当にこんなのたった10日で消費していい内容とは思えないよありがたい話だけどもったいないよ。あと荒木田さんは夢も見ないで寝たよ。


◆STAGE59
早乙女さんのターン。

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玲ちゃんが『渡したいものがある』と言って持ってきたのは

「ええと、経緯がちょっと複雑なんですけど…… 槙くんと羽鳥さん、それから服部さんのご厚意で譲ってもらったハーブティーなんです。これを飲むと、とてもよく眠れるそうで」

その後もよく眠れてないと聞いたからお納めくださいと玲ちゃんに言われて、電源が落ちたみたいにフリーズする早乙女さん。ふっと吹き出す瀬尾さん。

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たかだか夢見が悪いとか、それだけのことでお前に心配されるほど落ちぶれてないと言う早乙女さんに、そんなこと言ってないし思ってもいないと返した玲ちゃんは、こう続ける

「……ただ。個人的には、悪夢は『それだけのこと』ではないと思うので」
「あの、ほら。夢だと分かってても怖いものは怖いし! 別に、『たかが夢だから平気』じゃなくてもいいと思って。悪い夢を見ても平気、というのはむしろこう、なんといいますか…… うまく言えないんですけど、人として、何となく不健全な気がするので」
「だから、夢自体が良くなるといいなって。そう思っただけです」

『平気じゃなくてもいい』は、強がりの権化である早乙女さんに『強がって無理すんなよ』と言うのとはわけが違って、選ぶ単語も違えば、意味するところもちょっと違ってきてしまうというか、いや同じなんだけど、より寄り添っているというかね。平気じゃなくてもいいっていう言葉遣いをする玲ちゃんのこと、すごく好きだなと思う。それと、最終的には夢が良くなればいいというのが望みであって、そもそも強がる必要もなくなるところが玲ちゃんの見ている、あってほしい未来だというのが、希望が持ててすごく良い。
(Season4でも羽鳥さんが記憶を失ってることを知った玲ちゃんに「大丈夫じゃなくてもいい」というシーンがあったけど、あれも好きだったんだよね。大丈夫じゃなくてもいいって、救われる)
聞いていた瀬尾さんは

「……面白い意見だ。でも、確かにそうかもしれない。夢を構成するのはその人の記憶だと言われているし、そうだとすれば夢というのは内容にかかわらず、その人の大切な心の断片だと思うから、自分の心を、『見えたまま』に認識しないというのは―― 負担がかかることかもしれないね

と玲ちゃんの言ったことを分析する。

◆STAGE60
端折るところがないくらい瀬尾さんが大事なことしか言わないから困りながら大部分引用するんですけど……

瀬尾「夢については、いろいろな考え方や捉え方があるけれど、現実の出来事に影響されて見る悪夢はその人が抱えているものとの誰にも見えない戦いの軌跡であり、戦った証―― そんな風にも、捉えることができるんじゃないかと思う」

瀬尾「夢は明確な救いや結末を持たないことが多いけれど、それは現実も同じだ。誰しも生きていくうえで、『ままならない』と感じることは少なくないはず。明確な結末を迎えずに、後味の悪いまま終わりゆく物事も、中にはあるだろうね」
早乙女「……むしろ、そっちの方が多いでしょう。あがくだけ無駄、いつまでも囚われるだけ無駄。そんなこと山ほどある」
瀬尾「そうだね。だからこそ、戦い続けるのは簡単ではないし…… そうやって戦い続けられる人のことを、俺は本当に、とても強いと思うんだよ。けれど、繰り返し研がれた刃が段々と薄くなるように、人の心も戦えば相応に摩耗していく。強くなると同時に、脆くなっていく。悪夢というのは、その〝脆さ〟の可視化なのかもしれないね」
瀬尾「……何ができるわけでもないから、いつか報われてほしい、と祈ることしかできないけれど。立ち止まることしかできなくなった時、せめて手を取れる相手でありたいと、心から、願うよ」

瀬尾さんの言葉は、早乙女ビジョンで見たならばおそらく早乙女さんに対する圧倒的な肯定だろうと思う。いいことを言ってやろうという気が一ミリもない、むしろ何もできない俺と謙遜しまくりの瀬尾さんだけれど、早乙女さんをめっちゃ肯定していると思う。私が強がって生きてるマンだったらあまりの報われた感と心強さに絶対ここで泣いちゃう。
早乙女さんときたら、これを聞いて……

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まるで砂糖細工のような繊細な空気を粉砕するように、盛大な溜息をついたあと早乙女さんは、はっきりと言った。
早乙女「長年、俺の嫌いな人間ランキングトップランカーの因縁のヘタレが、俺の同窓会参加を聞くなり『遠縁に不幸があった』とかしょうもない嘘で出席を取り消したらしく、クソヘタレ根性が1ミリも変わってないことにイライラして夜も眠れなくなりました」
早乙女「イライラしながらなんとか寝付けても、そいつが夢の中でしょうもないことを繰り返すので、そのたびにイラついて目が覚めていただけで、別に何かと戦ってたわけじゃありませんよ」
早乙女「他のやつのことは知ったこっちゃありませんが―― 俺は、誰にも見えないところで一人でチマチマ戦って一人で崩れるなんてバカバカしいことには絶対なりません」

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早乙女さんは泣いたりしないし、悪態をつける。つよいね。

突然明かされた悪夢の理由と、勢いよく繰り出された瀬尾さんに対する文句。それは、全部ひっくるめて――『だから自分は大丈夫だ』という瀬尾さんへの語り掛けに聞こえた

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ここでパズルがはさまって、クリア後に後日談があったのだけど、スペステが出現するとスルーされるのでcolyちゃんはこの仕様だけは何とかしたほうがいいと思うの。

泉(……そういえば、早乙女さんの同窓会って明日じゃなかったっけ? お茶、どうだったかな。翌日のLIME既読スルーされたっきりだけど)「ちゃんと眠れたかな……」
着信:早乙女さん
早乙女『……』『……用件だけ言う』『…………。この間は……あ、あり……』
早乙女『あり……ありあまる富を持て余すアッパークラスの人間が認めた嗜好品だけあって、茶〝は〟よく効いた。褒めて遣わす!』
早乙女『人が礼を言ってんのにどういたしましてくらい言えねーのか、このポンコツ社会人』
泉「いまのお礼だったんですか!?」
早乙女『喧嘩売ってんのか』
泉「どちらかというと早乙女さんが…… いえ、いいです。とにかく、よく眠れたってことですよね? よかったです!」
早乙女『声がでかいんだよ能天気女。次会った時覚えてろよ。この借りは百倍にして返してやる』
泉「……。もしかしてそれ、お礼してくれるって言ってますか?」
早乙女「……ッ。ハアァ?何だそれ、バーカ。インチキ翻訳は可愛で間に合ってんだよ』
泉(あ、なんか照れてるなこれ)「あはは。それはすみません」
早乙女『おい、お前今なんか無礼なこと考えてるだろ』
泉「か、考えてませんよ」(何で分かるんだろうか……)
早乙女『……借りは返す。だから、俺に恩を売ったこと覚えとけ』
泉「……?」
早乙女『忘れたら死んでも祟るぞ』
泉「えっ、怖い……」
早乙女『フン。さっさと仕事に戻って、せいぜい働け。……今回は助かった』
泉「……え」
早乙女『――……とう』 プツッ
泉(……切れた。けど。最後、なんか……え? 聞き間違い? 『ありがとう』って、聞こえたような…… ……。夢かな?)

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表情差分のクマが消えた早乙女さん。

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締めの空ポエムパートの担当は早乙女さん。いやほんと、この後日談部分があるとないとでは大違いなので! 全部書いといた! 読めてない人絶対いるよねこれ……
事件ものとかではないし、物語的にすごく起伏があるわけではないので、パズルしながら途切れ途切れに読むより、動画で続けて読んだほうがよく理解できるし沁みますね。私はたいそう好きでした。引用しすぎて力尽きたのでここで唐突に終わるんだよ……