すごいデカいクソがでた。

タイトル通りである。すごくデカいうんこがでた。
自分で生産したものに驚きを隠せず、このエッセイを書くに至っている。
たった今出たのである。夕飯は自粛ムードの中飲食店が再起をかけ力を入れているからあげを食べた。げんこつサイズで少し有名なお店のメチャウマからあげである。それが10個。
私の取り分は5個であった。
5つの拳は咀嚼と嚥下を繰り返した結果、胃から腸へ圧力をかけ、貯蔵されていた昼ごはんのうどんとブリトーを肛門へとおいやった。
うどんとブリトーだけではあんなサイズは出ないだろうから、昨日の夕飯の野菜ラーメンもあるのだろう。
沢山の野菜を摂取したためかスムーズであった。

しかし、いくら食物繊維を取っていたとはいえ、サイズがサイズである。成人の男性のふくらはぎみたいなのが出てきた。
5つの拳が押し出したふくらはぎは容赦なく私のブリティな尻穴を引き裂いた。
しかも、大中小とサイズも様々に三本もでてきた、哀れな私の尻穴は朽ち果てたのである。
強烈な排便感から開放されたあとの安堵、臀部への鋭い痛み。

私の頭の中ではツインテールでピンクのワンビースと麦わら帽子を被った幼子が大声で
「こんなのと!こんなのと!こおおおおんなのが!!!でた!!」
と嬉しそうに報告している。
メイよ、嬉しそうに報告しているがそれは私のうんこである。

私は意を決し、尻を拭いた。
拭き終わったあとの純白のトイレットペーパーは真紅に染まっていた。
「分かっていた…分かっていたのだ…」
さめざめと泣いた。一度や二度ではないのだ。
便器内の水がハイビスカスティーのようになっていることも、便器内がチューリップ畑の様相をしていることも、そしてこの真紅に染まったトイレットペーパーも。
うろたえてはいけない。冷静に、冷静にせねば。
そう、血を流すなら高貴であるべきなのだ。
スコットランドの女王メアリ・スチュアートは処刑される際、黒のローブを脱ぐと真紅のドレスを着ていたという、理由は諸説あるが「首を切られた際に血が飛び散るとその身が真っ赤に染まり美しいから」という説を唱える者がいる。

私は全トイレットペーパーメーカーに言いたい。トイレットペーパーを赤くしろ。
そうすればこんな気持になることはない。
スコッティ、ネピア、エリエール。聞いているか。
トイレットペーパーを赤くしろ。

そうこうしている間に尻穴の鋭痛は鈍痛へと変わった。
こんな悪夢から抜け出そうと便器の洗浄レバーを上げる。
成人男性のふくらはぎと、桐谷美玲のふくらはぎと、寺田心の足の裏は便器の底へと流れていった。
詰まることを期待していた君たちには申し訳ないが、この便器とはもう長い付き合いである。彼も私への理解を深め仕事をしている。信頼しあっているのだ。たかだか排便ごときで仕事を放棄するようなやつではないのだ。
ただレバーは三回ひいた。彼の仕事はマイペースなのである。

そして私は何事もなかったかのような顔をし、座面がドーナツ型になっている座椅子に腰掛け、この文を書いている。
食べ過ぎには気をつけよう、そう強く決心した。

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